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NHKBS1「スポーツ データ・コロシアム フィギュアスケート」のまとめ

 

NHKBS1で20017.1.28に放送された「スポーツ データ・コロシアム フィギュア&箱根駅伝」よりフィギュアスケートについてのみまとめた記事になります。

 

2016年11月某日、札幌で行われたNHK杯フィギュア。この日、日本の羽生結弦選手とアメリカのネイサン・チェン選手による4回転対決が繰り広げられていました。

 


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フィギュア4回転時代

会場では3種類×4回の4回転を予定している羽生選手と4種類×5回の4回転を予定しているチェン選手に注目が集まります。

 

羽生選手がフリーで予定していた構成は以下の通り

 

※()は基礎点

 

【前半】
4Lo(12.00)
4S(10.50)
3F(5.30)
【後半 基礎点×1.1】
4S-3T(16.28)
4T(11.33)
3A-2T(10.78)
3A-1Lo-3S(14.74)
3Lz(6.60)

合計 87.53点


チェン選手が予定していた構成は以下の通り

【前半】
4Lz3T(17.90)
4F(12.30)
4T(10.30)
4T2T2Lo(13.40)
【後半 基礎点×1.1】
4S(11.55)
3A(9.35)
3F3T(10.56)
3Lz(6.60)

合計 91.96点


ご覧の通り羽生選手が4T、4S×2、4Loというジャンプ構成の中でチェン選手は4Lz、4F、4T×2、4Sという構成のため種類も本数もリードしています。また、チェン選手は羽生選手にはない4Lzと4Fといった基礎点の高いジャンプを持っています。

 

ちなみにジャンプの基礎点一覧

4A(15.00)
4Lz(13.60)
4F(12.30)
4Lo(12.00)
4S(10.50)
4T(10.30)


こうしたことから必然的に全体の予定しているジャンプの基礎点に差が出ている状況です。しかし、実際試合を終えてみるとチェン選手のミスが続いたのもあり羽生選手が大差をつけて優勝したのです。

 

その理由は?

"チェン選手のミスがあったから"というのはもちろんですが、なぜ構成の低い方の選手でも勝てるのか(羽生選手も十分高いけどw)と言うと、その理由はズバリ"出来栄えの差"になります。

 

出来栄えの差とは?

出来栄えとはイコールGOEと呼ばれるジャンプの質に対して与えられる評価のことです。例えば基礎点10.30の4Tに対して、"それが良質なジャンプだったら+1の加点をつける"といったものを出来栄え点or GOEと言います。羽生選手はこのジャンプのGOEによって得点を稼いだのです。

 

ちなみに羽生選手とチェン選手の演技前のジャンプの基礎点は先ほども書いた通り、【羽生 87.53点】【チェン 91.96点】ですが、演技後の二人の点数は【羽生 86.36点】【チェン 80.19点】となっています。羽生選手が86.36点というスコアに対しチェン選手は80.19点という予定していた基礎点から10点近く低いスコアになっていることがわかります。

 

羽生 87.53→ 86.36
チェン 91.96→80.19

 

この差はもちろんGOEの差によるものだけではありませんが、こうしたジャンプの出来栄えによりスコアは大きく左右されます。

 

では、次に4回転の基礎点についてもっと詳しく見てみましょう。現在ルール上ではジャンプを半分以上回り切った場合に基礎点の70%を与えるアンダーローテーション(以下UR)というものが施されています。そのため選手たちは、よりリスキーな技でも得点を大きく失うことがなく積極的に挑戦できる空気ができているのです。

 

基礎点の70%だった場合の得点一覧

4A 15.00 → 10.5
4Lz 13.60 → 9.5
4F 12.30 → 8.6
4Lo 12.00 → 8.4
4S 10.50 → 8.10
4T 10.30 → 8.00

 

3回転ジャンプの基礎点がおよそ4.30~8.50ですので、それを考えるとUR判定でもお得な感じがします。

 

実はこのルールが取り入れられる前は3/4未満の回転のジャンプに対してはダウングレード判定(以下DG)なるものが下され、DGされたジャンプは3回転分の基礎点しかもらえませんでした(正確にいえばそこからさらにマイナスされていた)ですので「おしい!あと少し」という4回転でもまったく得点にはならないような状況でしたので、もちろん選手の4回転離れが加速してしまいました。そりゃ体力だけ奪われて得点に繋がらないことなんて進んでやりませんよね。

 

しかし、ルール改正が行われてからは一転します。2010年に一度ルールが見直されてから、2011-12シーズンには4回転を跳ぶ選手が急激に増えたのです。それからというもの男子は現在に渡って4回転時代が続いています。

 

さらに4回転ジャンパーが増えただけではありません。ジャンプもより高難度のものへと進化しています。

 

1888年にカート・ブラウニングが4Tを、1998年にティモシー・ゲーブルが4Sを成功させた後しばらくは新しい4回転ジャンプの成功は見られませんでしたが2011年にブランドン・ムロズが4Lzを成功させると2016年には宇野昌磨が4Fをが羽生結弦が4Loをそれぞれ成功させました。(初認定はクラスノジョン選手/初成功は羽生選手と言っていいのかな)

 

さ・ら・に凄いのが今現在活躍している高難度ジャンパーたちは、こういったジャンプをまぐれではなく高確率で成功させているということ。そして一人跳べば次々と後に他の選手が並んで挑戦していくという、まさに「4回転なしじゃ生き残れない!」時代なのです。

 

では、そんな激戦の中でどうやって勝ち上がっていけばいいのか?ってなりますよね。そうなんです。そうした結果、今の選手は複数の4回転ジャンプをプログラムに組み込んでくるようになったわけです。

 

フリーは最大8回のジャンプのうち同じジャンプは2回までとなっています。ですから、より難度の高いジャンプを組み合わせることで他の選手と差を広げていく必要があるのです。

 

そんな選手たちのジャンプ構成の葛藤を2016年12月に行われたグランプリファイナルの様子から比較してみます。

 

ショート・フリー合わせて跳んだ4回転の数【】とその種類の数()

羽生 【6】(3)
ネイサン【6】(3)
宇野【5】(2)
ハビエル【4】(2)
P・チャン【3】(2)
リッポン【1】(1)

 

羽生選手とチェン選手がぶっちぎってますが、ここに中国のボーヤン・ジン選手がまだいますからね。こうして見るとトップに立つにはもはや回数と種類のどちらも必要なことがわかります。

 

じゃあ、そんなジャンプどうして跳ぶんだって話になります。番組ではその秘密を分析していたので紹介します。

 

まずは世界初の4Fを成功させた宇野昌磨選手のジャンプから見てみました。4Fといえば基礎点だけでも12.30点という3回転のコンビネーションジャンプ並みの破壊力を持っている大変オイシイジャンプです。

 

実は宇野選手のジャンプはそれほど高さのあるものではありません。ではなぜ跳べるの?ってなりますが4回転はそもそも回転スピードと滞空時間が鍵になるんですね。

 

宇野選手の3回転ジャンプは回り切るのに0.560秒かかっています。すると1回転あたりの滞空時間は0.189秒ということになり、4回転ジャンプを回り切るのには0.756秒かかる計算になります。しかし実際の宇野選手の4回転ジャンプの滞空時間は0.688秒でした。こうしたことから宇野選手の4回転は回転スピードが速いことがわかります。

 

次になぜ回転スピードが速いのかを分析した結果、宇野選手独特の足のつき方があることがわかりました。

 

宇野選手はジャンプを踏み切る際のつま先の使い方に特徴がありました。それはジャンプの進行方向から、つま先を肩幅をよりも遠くの位置に突くことで遠心力を生み出し、それを利用しながら体を締め付けて跳ぶことでスピードを出しているということでした。遠くでつま先を突くことで蹴りあげる力が増して回りやすくなるんでしょうね。宇野選手はまだまだ若いので、これから筋力がついていけば高さも加わり色々な種類が跳べる可能性があるそうです。

 

続いて分析するのはネイサン・チェン選手です。4種類もの4回転を操るチェン選手は一体どのようにしてジャンプを跳んでいるのでしょう。その秘密は「肩の動き」にありました。

 

チェン選手は肩幅を丸めて小さくすることで速い回転を生んでいました。また、他の選手と違うのはジャンプの際に腕を組む時、普通は胸の高さで組むところをお腹の前で組んでいることがわかりました。こうすることでさらに、肩を強く丸めやすくなる効果があるそうです。

 

以上のことから4回転ジャンプを跳ぶにはある程度の回転スピードが重要だとわかりました。

 

 

まとめ

今回番組では4回転に重点を当てて説明していたため、主にジャンプの出来栄えが勝ち負けを左右するとなっていました。ので、そのようにまとめましたが、実際は4回転や出来栄えだけでなく他の3回転ジャンプとの組み合わせや演技構成点等の点数も合わせて評価されますので、それだけがすべてではないと言うことも付け加えさせていただきますね。

 

4回転ジャンプの質や評価については個人的にもっと語りたい部分があるので、そこら辺は後日また書いていこうと思います。従って今回は番組のまとめのみで終わりにさせていただきますね。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

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