オオカミのとおぼえブログ

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【フィギュア団体】カナダとロシアの壁に敗北か

2018年ピョンチャンオリンピック

 

いよいよ開幕しました!冬季オリンピック!!

ここまで行きつくにあたり、ロシアのドーピング問題による出場見直しや、朝鮮半島での不穏な動き、開催都市ピョンチャンでの不十分な設備・気温対策、ノロウイルスの感染拡大、など様々な不安要素がありましたが無事に(?)開会式を終え、続々と競技がスタートしていますね。なかなか天候に恵まれず、苦しい思いをしている屋外競技もありますが、選手にとっては四年に一度しかないor一生に一度しかないチャンスをベストな環境で悔いなく終えれるように、何とか運営側には頑張っていただきたいところです。

 

さて、そんな中、さっそくですが、このブログではお決まりの「フィギュアスケート団体戦」についての感想を書いていきたいと思います。実はわたくし、またまた大雪の影響でか、テレビアンテナに続き、今度はネット接続にも不具合が起きたため、言いたいことが盛りだくさんあったのにも関わらず、更新が出来ない日々を送っていました。その間の歯がゆさといったらもう・・!

 

・・というわけで、今回は団体戦を観戦しながら抱えていた思い全てをまとめて、熱弁を繰り広げさせていただきます!長~~くなるので要注意!

 

それでは、以下からどうぞ↓

 

金はカナダ!銀はロシアから来た超人たち

まずは総合結果から。金メダルは強豪カナダの合計73ポイント。アイスダンスの圧倒的な強さが目立つかたちとなりました。続く銀メダルはOAR(ロシア)で合計66ポイント。初日の男子シングルショートで波乱があったもののメドベージェワ・ザギトワの二台柱の安定感を誰も打ち破ることが出来ずに、その存在感をただただ見せつけられてしまいました。そして、日本が狙っていた悲願の銅メダルは、アメリカの手に。合計62ポイントで、全種目の総合力がそのまま成績に繋がった結果となりました

 

日本は、4位のイタリア(合計56ポイント)に次ぐ5位の合計50ポイントで団体戦を終え、選手たちの表情からも少々悔しさがにじみ出ていました。五輪初出場の選手たちにとっては、とても緊張した時間であったと思いますが、ここでの経験や課題をぜひ個人戦に生かし、ステップアップしていただきたいな、と日本から応援しています。

 

金 カナダ

銀 OAR

銅 アメリカ

冷静な宇野、期待大か

ここからは日本勢の成績をおさらいしたいと思います。まず、初日の男子シングルショートプログラムに登場した宇野選手について。

私はこのブログでもず~っと今季の宇野選手のハードスケジュールを案じていて、オリンピックではベストコンディションで挑めることだけを願っていたのですが、団体戦での動きを見る限り、一時期の疲労感は姿を消し、精神的にも良い状態でピークを持って来られているのかな?という印象を受けました。男子は皆がガチガチに緊張をしてミスを連発する中、宇野選手は冒頭のジャンプでミスがあったものの、比較的冷静に演技をこなしていたように見えました。本人も「オリンピックという場でどんな気持ちになるのかと思って滑ったが、特別感はなかった」とインタビューでも答えているので、ここまで来るのに相当メンタル面では、現実と向き合う強化をしながら、着実に準備してきた様子がうかがえ、頼もしい限りです。また、今回上手くいかなかった選手も個人戦では、団体戦での経験を踏まえ、調子を合わせて来るかもしれないと気を引き締めているところを見ると、宇野選手の集中力の揺るがなさも確認でき、一安心ですが、個人戦でライバル選手たちがハイパフォーマンスを繰り広げた場合は、あまり頭で考えすぎず、いつもの宇野昌磨らしく、ありのままで滑ってほしいな、と思います。

 

ショートでは「いつもより慎重にいっているのかな?」と感じましたが、アクセル着氷後からはスピードも上がり、動きもリラックスしているように見えたので、やはり知らぬ間の緊張感はあったのでしょうね。それでも、最後まで、美しく演じ切るという宇野選手の熱意が伝わってくるスケートには、ジャッジや観客の印象にも好意的に映ったのではないかと思います。個人戦までに時間はわずかしかありませんが、4回転ジャンプを仕上げて、ノーミス演技の成功を祈っています!頑張れ宇野昌磨

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観客とジャッジの剥離

男子の次は女子のショートプログラムの感想を書いていきます。ショートには日本のエース宮原選手が登場しました。美しい所作から始まるSAYURIの世界観には、動の選手がいる中で、ひとり静の表現力がまぎれて居るという独特のオーラがあり、宮原選手がリンクに立った瞬間、会場の雰囲気がガラッと変わったような不思議な感覚になりました。公式練習からジャンプを見る限り、今季の中でベストな状態であったように見えましたが、試合では、ミスなく全ジャンプを着氷したものの冒頭の3Lz3Tで両方とも回転不足(UR)をとられてしまいました。これには個人的に、セカンドジャンプは回転不足だったかな~と見えましたが、ルッツに関しては少々厳しい判定に感じてしまいました。というのも、今回のルッツより危なげなのも今までは認定されてきていましたし、今回はそのどれよりも良質なジャンプだったからです。例えボーダーラインと判断したとしても、選手にとって有利な判定にしてあげるのがお約束じゃないかと・・。それでもジャッジが判定したことなので、回転不足には変わりないのですが、普段フィギュアスケートを観ない層の方からすると、こういうのが競技の面白さを感じさせない部分なのではないかな、と思ってしまいます。また、PCSの低さについても至る所で不満の声が上がっていますね。

 

68.95点 TES 34.33点 PCS 34.62点

 

これについてはどうでしょう??私はいつもより緊張していたからか、ステップの距離やリンクの使い方が小さくなってしまったのが、直前に滑走したコストナーと比べられたことと重なり、他トップ選手とも差が出たのではないかと思います。また、全日本以降、スピンの入りから終わりの流れが、「はい!ここでスピン!」と一度区切りが出ているように見えるので、そこが復帰明けの時のクオリティの良さとくらべると、今は「サトコのベストはこれじゃない!」と、もっとハイレベルなものを期待されているのではないかと推測します。(今はややUR防止のためジャンプにスピードの流れが集中気味かな??)ただ、オリンピックの雰囲気にも慣れて、良い感じに肩の力が抜けてきたら、もっと宮原選手ののびのびとした滑りが出せるはずですし、同じく点数も伸びてくると思いますね。やはり動きのエレガントさや、身のこなしの丁寧さはピカイチですし、プログラム自体がとても深いです。私が今季そう思えるプログラムとスケーターは、タイプは違えど宮原選手とコストナー選手のふたりだけなので、個人戦ではその個性を世界中の観客に届け、魅了してほしいなと思います。

なぜオズモンドがサトコの上なの?

ここで先ほど申した「こういうのが競技の面白さを感じさせない」といった補足になるのですが、試合後一番ネットで疑問にあげられていたのが、「ショートでミスを重ねまくったカナダの選手が、なぜノーミスの宮原より上にきているの?」という点です。このカナダの選手というのは、スケートファンにならお馴染みのオズモンド選手のことですね。見た目はとても可愛らしいのに、演技はダイナミックというギャップを持った私も大好きな選手です。そんなオズモンド選手の演技内容はというと、

 

3Fotトウつきからの3T<ot 3Lz /2A

71.38点 TES 35.10点 PCS 36.28点

 

冒頭のコンビネーションジャンプのファーストジャンプで派手にオーバーターンしてしまい、なかなかセカンドジャンプに繋げられない中一度トウを付き、「跳んじゃうのか?!」と言う場面から、もう一度仕切り直して「それはセカンドなの?サードなの?」というジャンプを跳ぶ展開に「これでも高得点が出るなんて・・」「これって連続ジャンプとしてみなされるの?」という意見がチラホラありました。そうですね~。あれはセカンドに入るまで、完全に独立したジャンプやん!となるくらい時間も距離も出ちゃってた感が半端ないのは否めませんが、一応ルールとしては、体重移動を伴わないタッチフット(トウをつく)は問題ないということらしいので、あれは普通にコンボとして認定されるんですね。思いっきし体重移動してなくてもジャンプ姿勢にかまえたら(トウをつく)一緒じゃない??というところですが、ISUテクニカル・パネル・ハンドブックによると

体重移動を伴わないようなフリー・フットのタッチ・ダウン
体重移動を伴わないようなフリー・フットのタッチ・ダウンがあり、コンビネーション中のジャンプとジャンプの間で2 つのスリー・ターンがあるもしくはターンがないような場合、その要素はジャンプ・コンビネーションのままである(しかしエラーであるためジャッジはGOE を減点する)。

らしいので、オズモンド選手の採点は問題ないということになります。しかし、ここで問題なのは、この乱れたジャンプに+3をつけているジャッジがいることですね。押し間違えでもあってはならないことですが、こういうところが、ちょいとこの競技が「フィギュアスケートがオリンピック正式種目なのに、なぜ犬ぞりはないんだ?」と皮肉られる原因なんだと思います。また、問題のない宮原選手のループジャンプに-3をつけているジャッジがひとりだけいたのですが、-3って余程のことがないとされない減点ですし、ひとりだけ目線が違うというのもおかしな話です。こういった観客側が置いてきぼりの、ルールブックを熟読しないと分からないような競技のままだと、ますます会場に空席が目立ってしまうのではないかと危惧してしまいます。

 

また、一番気の酷なのは批判を浴びてしまうオズモンド選手本人です。点数を出すのはジャッジですので、選手に罪はないんですよね・・。オズモンド選手も、あそこはルールを承知の上でセカンドを跳んだ方がベターだと判断したのでしょうし。何より、個人戦では文句なしに称賛されるような演技をすることで、点数と実力を証明してほしいと願っています。

坂本=勢いではない

女子ネタが続きます。ここ最近やたら坂本選手を「ノリがいい」だの「テレビでも活躍しそう」だのふざけた報道が目立ちますが、彼女と限らず、オリンピックに来ているアスリートたちは皆、タレントではなく、アスリートなので、変な理由で持ち上げるのはやめていただきたいですね。坂本花織のスケーターとしての強みやその逆が何かを調べもせずに「坂本選手は勢いだから」「勢いを止めなければ銅メダルがとれる」と、勝手な重圧をかけるのは、もし結果が伴わなかったときに、お馴染みのオリンピック名物「期待外れ」というワードを用意しているようで不快なものがあります。坂本選手だって、ずっと安定していたわけではなく、練習を重ねての現在なんですから。念のために言うと、坂本選手の真の魅力は、勢いではなくジャンプです!!しかし、今回はオリンピックの緊張感がマックスに高まってしまったため、その持ち味であるジャンプを発揮することが出来ませんでした。

 

試合内容 131.91点 TES 65.51点 PCS 66.40点

冒頭に予定していた3F3Tのフリップの着氷がで堪えるかたちとなり、セカンドが付けられませんでした。(URあり)また、ルッツではエッジで!をとられました。後半のフリップにリカバリで3Tを付けましたが、 予定していた2A3T2Tで三連にならず・・しかしラストでリカバリーして何とかコンビネーションジャンプを余らせることなく終えました。

 

私は五輪代表が決まるまでは、ずっと表現に力を入れてきた樋口選手を応援していましたが、坂本選手が代表に選ばれたからには、坂本選手を全力で応援しています。その辺は他の記事にも書いたので省略しますが、坂本選手が代表に選ばれた一番の理由は高い加点の貰えるジャンプが跳べるからだと思っています。しかし、それと同時に坂本選手はジャンプがきまらなかったらプログラムが生きてこないという不安がセットになっていたのも事実です。彼女はシーズンベストとワーストの差も広い。今回はそれが現実化してしまい坂本選手が落ち込んでいないかとても心配なのですが、何とか気持ちを前向きに頑張ってほしいです。

 

だって凄いですよ。初めてのオリンピックであんなに緊張していたのに転倒することなく、冷静にリカバリーしながら滑り切ったのですから。PCSの点数だって想定内。初めからそんなことは分かっていて、坂本選手を育てるために信じて連盟は代表に選んだのですから今更「トップと比べて・・」とグチグチいう必要はないのです。それにフリーのプログラムもかなり詰め直してきましたね。外国人選手の演技を見て顔芸だと、馬鹿にする人もいるかもしれませんが、今回の坂本選手の演技には今までになかった表情が見えて、それがとても良かったです。フィギュアスケートが採点競技である以上、スポーツと芸術であると宣言する以上、フィギュアスケートにはフィギュアスケートなりの表現を確立する必要があります。バレエをちょっとかじっただけで、バレエ的などと言ったり、かと言えば顔芸や小芝居と批判したり・・転倒してもミスだらけでも、PCSで勝てる場面があったり、、色々な矛盾が、この競技がスポーツ面からも芸術面からもその立ち位置を否定されることに繋がっているのではないかと思います。確かに現在はジャンプ重視で、PCSもそれに連動している感はありますが、それでも坂本選手が今回四大陸後からの短期間でオリンピックのためにと用意してきたものは、今後のためには間違っていません。あとは、ジャンプを揃えて個人戦に挑んでほしいなと思っています。

 

やはり緊張すると、さすがにジャンプも小さくなってしまいますね。デールマンのジャンプを見た後だと、さすがの坂もっちゃんのジャンプも大人しく見えちゃいました。カナダはスピードもグイグイ出し、パフォーマンスも大胆で迫力があります。坂本選手にも「日本人でもこういう演技が出来るのね」と言われるような選手になってほしいです!それでも個人戦では誰が笑うかはまだまだ分からない!少しでも上の順位を目指して頑張れ!

ロシアは倒れない

カナダの凄さを再認識した後になんですが、ロシアはもっと異次元でしたね。メドベージェワ選手の演技には、ちょびっと泣けちゃいました。上手くやっていたようで、どこか手探りで滑っていたような彼女のオリンピックへのただならぬ思いと重圧と緊張がひしひしと伝わってきました。点数はやたらめったら高い(81点台)と思いましたが、そのぐらい努力して出しているスコアなんだよな、と納得。復帰後さらに痩せたようで、フリーはジャンプが持つのか心配なのですが、どうでしょう?アクセルのフリーレッグの処理も気になり、まだ100パーセントとは言えなさそうです。

一方、驚異のザギトワ選手ですが、練習ではセカンドループに高さが足りないのでは?とやや心配していたのですが、本番ではハイジャンプ&フル回転の絶好調で凄いとしかいいようがありませんね。この勢い、これぞ勢いをどこまでキープできるのか。もうホントそれしかありません。

羽生の敵はどこか

女子はカナダとロシアの壁がありますが、男子はどうなのかに話を戻したいと思います。宇野選手の活躍はもちろんですが、我らが羽生の状態はどうなんでしょう?というのが、最近の注目の的となっていますよね。負傷後は、その状態や復帰のめどもよく分からず、もうダメなんじゃないかという報道が相次ぎましたが、私はこれを情報戦なんじゃないかなと、そう重くはとらえていませんでした。だってオーサーコーチのコメントといい、現地入りした本人のコメントといい闘志メラメラじゃないですか。そういった点から既にケガは完治し、準備満タンと考えると、羽生選手の敵は彼がベストさえ尽くせば二連覇できるんじゃないかなと思います。ただ、気になるのが長いこと試合に出ておらず、個人戦一発勝負になるところ。他の男子選手は団体戦を見る通りガチガチの緊張でミスを重ねましたが、2回目となるとメンタル面では免疫をつけ、目を覚ましてくる可能性があります。特にネイサン・チェン選手あたりは構成を大きく変え、勝負してくるように思えてなりませんね。彼は今追い詰められているだろうし、奮い立たせてもいるでしょう。そういう時の力は怖いものです。だからこそ周りはあまりネイサン選手の構成に惑わされず、自分のその日できる構成で挑んでほしいですね。基本的に男子は女子よりあがり症に見えるので、どうなるかは全く分からないのですが、日本男子にはメダルを獲得してほしいです。(何気に温存中のボーヤンが怖いのよね。キてる気がする)

日本のペア・アイスダンスなど

最後にこの団体戦のカギを握るカップル競技の感想をして終わりたいと思います。日本勢に関しては、もしかしたらお茶の間からは「シングルの足を引っ張っている!」と思われているかもしれませんが、出来る力は出し切ったよね、とファンとしては感謝しています。だって日本以外の予選通過メンバーを見てくださいよ!いやいやオリンピック(本番)の最終グループでもおかしくないでしょ!な顔ぶれですよ。そこに怖気づいてしまうことなく立派に滑った選手たちを誇りに思いたいです!確かに他国と比べたら日本は勝負にならないレベルかもしれませんが、このスタートが、日本の未来のスケーターを生み出してくれる瞬間でもあると信じています!今後も新たなスターを育てるきっかけになる存在に哉中&クリス、海羽&龍一がなってくれたらいいですね。

 

そして、この男「田中刑事」。おそらく田中選手をはじめて知ったという方も多かったんじゃないかなと思います。しかし彼の実力もまだまだあんなもんじゃない。個人戦では四回転をきめて日本は羽生・宇野だけじゃないと見返してほしいです。

おわりに

団体戦のカナダの金は、ソチで惜しくも銀メダリストになったP・チャン選手を思うと、嬉しくて涙が出そうになりました。P・チャンのあの笑顔を見たら本当に良かったとホッとしましたよ。それくらいカナダ勢はガチンコメンバーで挑んできたので、当然の結果といえます。テッサ・ヴァーチュ&スコット・モイア組の常にマックスな演技にも、このふたりをずっと見ていたいし、一分一秒も見逃したくないと色んな意味で思うと、ここでも涙が溢れてきちゃって大変ですよ!このふたりからは、スケートへの愛がとてつもなく伝わってきます。前からそれはそうだったのですが、今季は特別なんです。特別、違うんです。ああ、こうしてひとつひとつ競技が終わっていくのが寂しいくらいですよ。楽しみなようで、まだ来てほしくないような不思議な気持ちです。これから始まる競技の一瞬一瞬を大切に見ていきたいです。カナダ勢おめでとう!!

 

日本勢も負けじとメダルを狙っていきたいですね!トリノの再来と言われないように、日本の全競技合わせてメダルがとれるように祈っています!!

 

頑張れ、日本!!

 

おわり