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ホームレス大学生 アメリカ カリフォルニアからの報告 ドキュメンタリーWAVE

2017年3月26日にNHKBS1で放送されたドキュメンタリーWAVE「ホームレス大学生~アメリカ カリフォルニアからの報告」のまとめと感想になります。

 

 
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10人に1人がホームレス経験者

ここ最近、アメリカのカリフォルニア州立大学に通う46万人中5万人の学生にホームレス経験があるという衝撃の結果が明らかになった。

 

 

一体なぜアメリカでそんなことが起きているのか?

その背景には授業料と家賃の高騰があった。ロサンゼルス内では都市開発が進みアパートは高級志向でプールやジム、屋上施設などが併設されている。それにより家賃は月に約22~28万、1DKですら11~13万もかかり、中流家庭層でも大学に通うのが難しい状態になっているのだ。さらに授業料も以前より2倍も上がっている。

 

 

シェルターも入居待ち状態、結果ホームレスに

番組の取材に協力してくれたヘンリー(仮名)もそんなホームレス学生のひとり。

幼い頃に父親が家を出て行ってからずっと貧しい生活をしていた彼は13歳で自立を覚悟、その後は職を転々とする毎日だった。

学歴がないヘンリーには安定した職業に就くことが難しかった。結婚し、息子が生まれてからも貧困層からは脱け出せず、離婚。以後、家庭を経済的に支えることが出来なかった自身を悔やんだ。息子には同じ人生を歩ませないためにも貧困から抜け出そうと考えた彼は大学進学を決心、そして現在に至る。

13歳からいつも鞄に必要なものすべてを持ち歩いていたヘンリー。出生証明書に、もしもの時の護身用のカッター。そして教科書。お腹が減ったたら紙を食べて水を飲みお腹を膨らませたこともあった。

しかしこんな生活をしている事実をヘンリーは誰にもうち明けることが出来ず、ずっと友達を作ることを拒絶している。

 

 

支援

そんなホームレスたちを支援する働きのひとつとして政府発行の低所得者向けのカードがある。このカードでは月に食料品を189ドルほど使えることが出来る。しかし、このカードだけでお腹を満たすことは難しいのが現状だ。

また、生活に困っている学生への緊急支援として、食料や日用品を無料で提供する取り組みもある。 手続きは学生証を見せ、名前を書くだけで細かなことは聞かない。 ホームレスと知られたくない学生への配慮だ。

こちらでは調理しなくても良い缶詰めやパンなどを用意し、 1回あたりひとり5品まで持ち帰ることが出来る。1日の利用者は30~40人。多くのホームレス学生の助けとなっている。

 

 

学歴社会の中で…

アメリカでは中卒~高卒、専門学校卒~短大卒、四大卒~院卒まできっぱりと収入差、失業率がわかれている。中卒は大卒の収入の半分以下、失業率は3倍に及ぶ。高卒と大卒では生涯年収は約1億1千万円も違う。安定した生活を送るには学歴が大切だからこそ、皆ホームレスになってまでも大学に通いたいのだ。

 

 

ギリギリの大学生活

金銭面をバイトでカバーしたくても授業が多く思うようには働けない。そんな中で友達の家を転々とする人も多い。

幼い頃に父を亡くし、母子家庭で育ったロージーは、母を少しでも楽にしたいと スポーツトレーナーを目指し仕送りを受けず大学に通っている。もちろんホームレスだということは先生も友達にも秘密にしている。

ロージーは支援施設から食料品や日用品の補助を受ける他に学生ローンを利用している。

彼女はこのローンにより大学の寮に入ることが出来たため、ホームレス生活を免れたが、4人でシェアするこの部屋の家賃は36万円。 9万をローンで払っている状態だ。

1学期ごとに40万のローンを組んでいる彼女。ローンは卒業後6ヶ月の猶予があるが、その後は毎月返済しなければならない。しかし現時点の生活では食費だけでも外食で月4500円、 食品の買い物で約7000円、家賃と合わせて月10万ほどかかっている。そのため80万借りたローンの残りは既に18万しかない。これは家賃2ヶ月分の金額だ。このようにローンを組んでも、結局はホームレス生活に戻る学生は少なくない。

 

もともと低所得者層のために作られた学生ローンも今では中流家庭層の学生も利用している。その数は全米の70%にあたる4400万人が使ってる。しかし返済滞納率は11%、10人1人が返せていない計算だ。

ますます深刻化するホームレス問題の中で今年1月、ニューヨーク州が全米で初めて公立大学の授業料無償化を決めたりしている。今後は国をあげて、よりこの問題について対策が練られていくのかもしれない。

 

 

ホームレス学生たちの本音

取材を通してホームレス学生たちのほぼ全員はホームレスであることを誰にも知られたくないと答えていた。そこには、あわれみを受けたくないという心境や支援を受けるのは恥ずかしいという思いがあった。

こういったことから社会ではホームレス学生の存在自体が認知されていなかった。しかし少しずつこの問題が世に浮かび上がり支援が広がりつつある今、私たちにとってもどこか他人事ではなく「いつかあり得ること」と受け止めていく必要がありそうだ。

 

今の状態では誰でもホームレスになりえるからこそ真剣に考えていかなければならない。

 

 

感想

この番組を見ながら「日本の将来もこうなるかもな」と思ったり「学歴」について考えさせられたりしました。

以前日本の貧困層を特集した番組がNHKでも放送されました。

  

 こちらでも「貧困層だけど大学に通いたい!けどそのためには奨学金が必要!」という話がありました。私はこの「奨学金」については既に貧困層だからとかでなく、もっと前から日本では中流家庭層の子も多く利用していたよなぁ的なことを書いたのですが、この「ホームレス学生」についても日本でも将来的に全くあり得ない話でもないかなと感じました。

ただアメリカは日本と比べて社会的格差に開きがあるだけに、このような問題も広がり、大きくなっていると言えますよね。

学歴が人生を左右するからこそ、そこから抜け出すために勉強をするという考えは、立派なことであるけれど、そうしないと生きていけない社会にいるからこそなんでしょう。

 

日本はまだこんな風に学歴が必要かどうか争ってるので平和なんだか幸せなんだかおバカなんだかわかりませんね。

 私には日本が他国と比べ学歴社会でないのが良いことなのか悪いことなのかがわかりません。職業差別がないのは良いことだと思う一方(全くないわけではないが)、学ぶことが「真面目」だとか「無意味」だとかで軽視されたり、学歴をあまりにも必要としない最近の流れは好きではありません。一生懸命勉強して大学卒業しても少ない賃金しか貰えないというのも何だかなという気がします。

 

ヘンリーさんやロージーさんは貧困だった環境から抜け出すためホームレスになってまでも大学に通っていました。しかし日本でも貧困層は広がっていますが、なかなかそこから抜け出すための手段として学歴が重要視されているとは少し言い難いものがあります。

言ってしまえば何だかどこかに勉強するのがカッコ悪いという空気があるようにすら思えるのです。

確かに学歴関係なく手に職をつけて満足のいく暮らしが送れれば、それはそれで良いと思うんです。仕事とは生活のためが大半ですから、その目的が果たせれば良いと思います。

ただそうではない人もいる中で、学歴を貧困から抜け出す手段から取り除いてしまう社会の流れは無責任だなと思うのです。だからといってアメリカのホームレス学生が良いというわけではありませんがね。

 

少し話はズレますがアメリカの学生、食費削ってるのに何でみんなふっくらしていたのだろう…。量ではなく高カロリーなスパムとか缶詰めのせい??

 

話は戻って全体の感想をまとめますと、こういった問題を「貧困は甘え」と放置すると事態はますます深刻化して小さいところの問題じゃすまなくなってくるんですよね。だからこそ、どこかできっちり対応していかなければならないのだと感じます。

アメリカのホームレス学生に向けた支援活動でも「なんでコイツらのために」と思う人もいるかもしれませんが、長い目で見てそれで貧困層が減るならとても意味のあることだと思います。

見えない貧困というのは、あちらこちらで存在している中で声をあげられないという現状が問題解決まで遠くなっていると感じます。

別にこのテーマと限らず、「社会に告白しにくい悩み」を持った人の問題は、そこに誰かが気づくまではそのままであると思うと、まずは声に出せる環境があることは必要なのかもしれません。