オオカミのとおぼえブログ

主にフィギュアスケート、BSやNHKの歴史・紀行番組について書いています。オオカミだけど一匹じゃないブログ目指します!

関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅「イギリス編」まとめ

 

NHKBSプレミアムにて2017.1.2、2.18にそれぞれ放送された「関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅  イギリス編」のまとめと感想です。


イギリスは4つの連合王国からなる島国です。イングランドスコットランド北アイルランド、そしてウェールズイングランドからスコットランドまでの3080km、20日間の旅の様子をお送りします。まずは1/2放送分の前編からどうぞ!

 

 

Wikipediaより

f:id:goldenretrievers:20170122172044j:image
 

 


イーストロンドン

出発前にロンドンの街を散策することにしました。5分ほど歩くと異文化に溢れる光景が。ここはイーストロンドンという場所で、移民が多く住んでいます。フードマーケットにはアフリカや中東などの多国籍料理が並んでいて、お腹が減った関口さんは列車で食べるお弁当を買いにベトナム料理店に寄ります。そこで激辛カレーを購入し、リバプール・ストリート駅に向かい旅のスタートです!

 

 

リバプール・ストリート駅

140年以上前に建てられた歴史ある駅ですが今は近代的に改装されています。

 

ここでは外国人旅行客用のブリットレイルパスが使用できます。このパスひとつで北アイルランドを除く国内を使用期限内なら自由に乗り降りできるのです。

 

 

コルチェスター

コルチェスター駅で下車します。さっきまで晴れていたのに今はすっかり雨模様。歩いていると"ローマの壁の散歩コース"とかかれた看板を見つけました。

 

117年頃、ローマ帝国の支配はイングランドまで広がっていました。ここにはその壁の一部が残っているようです。そんな中ある変わった建物が目に入った関口さんは立ち寄ってみることにしました。

 

中に入ってみるとそこはパブでした。ローマ壁が浮き出ている建物なので不思議に思い、店員さんに聞いてみると歴史に詳しいお店のご主人が喜んで話してくれました。どうやらこのお店はまだ、ローマ壁の上に建物を建てても問題がない時代に建てられたものであるためこんな外観になっているそうで、他にも見せたいものがあるからと自宅に招いてくれました。

 

実はご主人のジェスさんはローマ兵士のコスプレマニア。コレクションの一部の兜や鎧を関口さんに着せて喜んでいます。

 

この地域ではノルマン人やアングロサクソン人が侵略し、様々な文化が入りまじった過去があるのです。ジェスさんはそんな歴史に魅力されているのだそう。帰るときには、この街で発掘されたローマ時代のコインをプレゼントしてくれました。

 

何とも面白い出会いですね。日本でいうオタクってやつでしょうか。関口さんはそんな本日の出来事を次のように綴っています。

 

 

ジェスさんによれば、イギリスは色々な民族が混ざって成立したらしいけど、こちらに来ると、あのローマ人でさえ性格が変わりそうな気候。雨は多いし、寒いし、日は短いし…。どうりでこれまでイギリス人が、色々な民族がもととなっているように思えなかったわけだわ。

 

 

 

ノリッジ

お次はノリッジ駅で下車した関口さんは教会が多いことに気づきます。偶然教会前にいた男性に話を聞いてみると、彼は廃墟となった教会を手入れし、他の用途で使えるよう仲介役をしている人だとわかりました。

 

こうした教会はアングロサクソン人が支配していた時代に建てられたもので、今ではアンティークショップやカフェに改装されています。灰色の石でつくられた教会はノリッジでできた物、その他の石は外国からやってきた物だと教えてくれました。また、ノルマン人がやって来た時代には彼らの祖国の石で教会を建てたそうです。

 

こうしてヨーロッパ大陸の文化を受け入れ続けてきたイングランド人は、建物を修復する作業においても海外研修を通して得た知識や技術をとても大切にしているんだそうです。


旅は3日目、ピーターバラ駅→スリーフォード駅と乗り継ぎボストンへ向かいます。

 

 

ボストン駅

イギリスにボストン?!と思いますが、この街からかつてアメリカに渡った人たちが同じ名前をつけたとか。そんなボストン、実はEU離脱を支持した人が1番多い場所だとご存知でしたか?その理由はやはり移民が増え続けたからなんです。ボストン周辺は仕事が見つけやすいんだそうですよ。

 

街にはリトアニア語のかかれたお店が目立ちます。関口さんがベンチで休んでいるとイギリス人の彼氏とポーランド人の彼女のカップルに出会いました。少し話をしていると彼氏の方が「寒いから家にコーヒーでも飲みにこない?」と誘ってくれました。優しい!

 

お言葉に甘えてお邪魔すると彼氏のお父様がいらっしゃいました。もちろん会話の流れはEU離脱について。実はこの家では息子カップルは残留派を支持し、お父様は離脱派を支持したのだとか。お父様自身、ポーランド人の彼女との結婚には大賛成ですが、EUに関しては独立国の一員として、民主主義の立場から離脱に投票したと言うのです。イギリスがEUの他の国から遠隔的に干渉されるのが嫌ということですね。

 

しかし親子で意見が分かれても仲良くできるものなの?と疑問に思う関口さんにお父様は"イングランドは他の人の意見も受け入れる文化があり、どちらの主張にもそれぞれの意見があるので問題ない"と答えていらっしゃいました。また、「パブで一緒に飲めば気にならない!」とも(笑)さすがに彼女の方は少し不安だったみたいですが、お父様は理解ある人で良かったねと思いました。ちなみにEU離脱で、この先実際どうなるのかは"正直さっぱりわからない"らしいです!う~ん、もしかしてあまり深くは考えていない??

 

お家をお邪魔した後はノッティング駅まで行き、この日の旅は終了!明日はシェフィールド駅からスタートします。

 

 

翌日 5日目の朝
シェフィールド駅で目の不自由なおじいさんのお手伝いをする関口さんはそこからリーズ駅→ネーズバラ駅へと向かいます。

 

 

ネーズバラ駅

ここでは王室御用達の工房があると聞いてやって来ました。作っているのは有名なあのユニオンジャック。31枚のピースを縫い合わせて作ります。実はこのユニオンジャックには連合王国の1つウェールズの国旗が入っていません。ウェールズ連合王国ができる前からイングランド支配下にあったのでイングランドの一部として考えられていたからです。そのためウェールズの国旗も入れるべきだ!という声もあるのだそう。

 

ちなみにウェールズ国旗はこちら。


f:id:goldenretrievers:20170122164714j:image

 デザインに入れるとしたらかなりイメージ変わりますね。

 

 

ヨーク駅

次に来たのはヨーク駅。駅のすぐ近くには世界最大といわれる国立鉄道博物館があります。ここには王室ゆかりの列車が展示してあり、1869年製のビクトリア女王のためにつくられた華やかな車両等が置いてあります。実際にビクトリア女王はこの列車でロンドン―スコットランド間を行き来していたみたいです。また、1941年製の王室車両もあり、こちらには冷房つきの当時の最新設備が備わっており先ほどの豪華でクラシカルなデザインとは違い、とても革新的です。

 

こうしたことから見えるのは、伝統好きなイメージがあるヨーロッパの中でもイングランドは積極的に発展をしていくということ。歴史という土台があるからこそ変化を惜しまないのでしょうか。

 

 

翌日、バイキングの稽古場に見学しにやって来た関口さん。

 

9世紀頃ヨークに侵攻してきたバイキングの支配下で、町は北欧へ広がる貿易航路の拠点へと成長しました。バイキングは巧みな軍事技術や航海技術をイングランドに伝えたと言われています。ここでもバイキングのコスプレをするこになった関口さんは、そのまま戦いの儀式を体験することになりました。ここで稽古した内容は毎年開かれるバイキング祭りで披露するんだそう。

 

そこで関口さんは「なぜ外から来る文化を誇るのか」を問いました。すると一人一人がこう答えます"イングランドには、たくさんの民族が侵攻してきたため土着の文化がない" だからこそ"多様で豊かな歴史かある"まさに、アメリカと同じ人種のるつぼなんだと。

 

おそらく様々な民族が渡って来る度にその文化を受け入れてきた歴史が、今のイングランドを作っていると考えているのでしょうね。

 

 

ニューカッスル・アポン・タイン

旅はまだまだ続きます。ニューカッスル・アポン・タイン駅に着きました。かつて炭鉱で栄えたこの街ですが、炭鉱の閉鎖と共に高い失業率に悩んでいました。しかし、今は観光に力を入れて復活を果たそうとしているとのことで、ビクトリア・トンネルという第二次世界大戦の遺産を訪れることにしました。

 

ビクトリア・トンネルとは空襲を避けるために掘られた防空壕までのトンネルのことです。関口さんは案内役のおじいさんと一緒に当時の様子を再現された場所まで行きます。ニューカッスルは軍艦をつくっていたため度々空襲の被害にあったそうですが、おじいさんいわく「戦争はエキサイティングな時代だった!」そうです。

 

いや~戦争をエキサイティングと表現できちゃうなんて凄いなぁ。イングランド人は幾度もの困難を乗り越えて来たからこそ、こうした不屈の精神があるんでしょうね。

 

 

離脱を選んじゃったあのお父さんも、バイキングの人たちも、防空壕での経験を"エキサイティング"と言ったおじいちゃんも誰も自分やイギリスを誇るために生きているのではない。こちらの人たちにとって大切なのは、単純に客観的に現実に向き合うことのようです。

 

 

カーライル駅

7日目、カーライル駅からカーライル城に向かいます。

 

1707年、経済的にも追いつめられたスコットランドイングランドと合同法を結びました。その一方、スコットランドの北部ハイランド地方ではジャコバイトと呼ばれる反対派の人たちがおり、彼らジャコバイトはこのカーライル城の部屋に幽閉されていたという歴史があります。食事も水も与えられなかったジャコバイトたちは壁についた水を舐めていたため壁の一部が削れています…。

 

Wikipediaより
f:id:goldenretrievers:20170122165847j:image

ジャコバイトの敗退によりイングランドは強力な連合王国となっていきました。そのような歴史を踏まえて関口さんは、いよいよスコットランドの地に足を踏みます。

 

 

エディンバラ・ウェーバリー駅

列車がスコットランドに近づいてくると赤レンガではなく白レンガの家に変わってきました。地形にも起伏が見られ、イングランドとは違います。街に着くと、さっそくタータンチェックの伝統衣装を身にまとった男性を発見!寒そうです。音楽好きの関口さんはバブパイプのお店に行ってみることにしました。

 

お店に行くとレッスンしてもらえることになり、まずは縦笛から吹いてみることに。初めは音を出すのも難しいのに吹けてしまう関口さんは、早くもバグパイプに挑戦するようすすめられました。しかしこちらは難しい!何とか音が出せる感じです。通常扱うのに6~7週間はかかるのに1日で吹けたことが凄いと褒められた関口さんは、近くにある音楽パブを紹介され、行ってみることにしました。

 

既にバグパイプの演奏中でしたが、演奏後もう1曲お願いすると快くやってくれました。曲はThe Brae of Mar元々ジャコバイトの反乱をたたえる歌でしたが、今は軍事的なイメージを和らげるよう曲調を変えて演奏されています。実はバグパイプも戦士を鼓舞するための物だったためジャコバイトが鎮圧された後は禁止されていました。

 

ここでも関口さんはお客さんたちに質問をします。

 

"スコットランド人はイングランド人のことが好きですか?"

 

すると皆さんこう答えます。

 

"好きです。嫌いになる理由はありません"

 

続いてこう問いかけます。

 

"悲しい歴史があったのに?"

 

さらに答えます。

 

"だからといってイングランド人を憎む必要はありません。確かに問題は起きますが、それは人と人との間での衝突ではありません"

 

大人~!!大人ですね!!東アジアの関係とは大違いです!羨ましい。そしてとても不思議です。

 

 

8日目、出発前にモーニングコーヒーを飲みにカフェに行き代金を払う時、関口さんはあることに気づきました。同じポンド紙幣でもイングランドスコットランドでは違うのです。イングランドにはエリザベス女王が、スコットランドには作家のウォルター・スコットが描かれています。また、スコットランド紙幣の裏面には世界遺産のフォース橋が描かれ、20ポンドと印刷された0の部分には橋の建設に関わった日本の渡邊嘉一が描いてあるのです。

 

 Wikipediaより
f:id:goldenretrievers:20170122170913j:image

 

この橋は次の目的地に行く際に通るとのことで楽しみに列車へ向かいましたが、列車に乗っている限り橋の姿は乗客からは見えないことに気付き残念な関口さんでした。こうしてダンディー駅→アーブロース駅へ。

 

 

アーブロース駅

ここはアーブローススモーキーというタラの燻製が有名な街。さっそく食べにお店に向かいます。ここでもEU離脱について話を聞いてみることにした関口さんはお店のシェフに調理までの間質問しました。

 

関口 EU離脱について、ここは関係ありますか?

 

シェフ 経済水域をコントロールできれば私たちにも恩恵があるかもしれない。この北海での漁獲量の50%は外国船によるものだ。ほとんどの漁師は離脱に投票したんだ。理由は経済水域の管理権を戻したかったからだ。

 

北海近くのこの地域では、この地域ならではの意見があります。なるほど~と考えている内に燻製が完成しました。食べてみると、ごはんが欲しくなる美味しさ!日本人にはこの表現が美味しさの最上級ですよね!

 

9日目、アーブロース駅からアバディーン駅へ。

 

 

アバディーン

油田がたくさんあるこの地は、スコットランドの中でも未だ独立派が多く、北海油田の圏域を訴え続けています。しかし、油田はいつか枯渇し、いつまでも頼れません。そこで近年は新たに地ビールに力を入れているそうです。せっかくなので噂の地ビールを飲みに行くことにしました。

 

お店では何種類か試飲させてもらいましたが、どうやらスコットランドの地ビールは香りに特徴があるようで、特にお花畑の香りがする変わったビールが印象的でした。油田が下火になっている今、地ビールは雇用の助けになってくれるのかも知れません。そこで直接オフィスの方へ話を聞きに行くことにしました。

 

オフィスに着くと、サイモンさんという方と、そのマネージャーさんが待っていてくれました。お二人が語ってくれたのは"ここでは油田産業でリストラされた人たちがアバディーンに留まって働いている。スコットランドイングランドより小さい国だけれど共に世界に羽ばたいていきたい存在だ"ということ。なんだろう嫌いだから独立したいとかではなく基本的には共存なんですよね。でも自分たちの大切なものも守っていきたい、そんな感じがします。関口さんは次のように綴られていました。

 

 

 日本で聞くスコットランドは常にイングランドとは違うという話。しかし現地で感じるのは「なんだ仲良いじゃん」ということ。何かが一緒だぞということ。何が一緒かというと、残っている伝統がアイデンティティーのためというより、単に必要なものが残っているだけということ。

(伝統のウイスキーじゃなくて、ビールでいいんですもん…)

 

 

 キース駅

10日目、タータンチェック生地の製造で有名なキースにやって来ました。というわけでキルトの作り方を教えてくれる学校へ行くことにしました。お店に行くとすぐにキルトの試着をすすめられます。ズボンを脱がされ、スカート姿になった関口さんは、パンツも脱ぐように言われましたが、流石にお断り。さらにルーズソックスのような白いゆるゆるな靴下を履かせれ、そんな姿を見たお店のおばちゃんたちは大爆笑です。

 

実はこのキルトもジャコバイトが多くいたハイランド地方の伝統衣装でした。キルトは反乱の象徴でもあったため禁止された歴史がここにもありました。

 

それでも今はこんなに楽しい雰囲気で誰でもキルトを身につけられるようになり、多くの人たちから愛されています。すっかりおばちゃんたちに気に入られた関口さんは、帰りにスコットランド語で"自由をお供にウイスキーを!"と書かかれている杯をプレゼントされました。直訳で杯を交わしましょうという意味ですね。そんな素敵な出会いを経て、いよいよ鉄道旅の前半イングランドスコットランド間最後の場所へ!

 


インバネス

最後に訪れたのはジャコバイトと連合王国の新政府軍との最終戦カロデンの戦いが行われた舞台です。ここにはジャコバイトが身を潜めていた防御壁が残っています。ジャコバイトは今のスコットランドイングランドの仲の良さをどう思っているのでしょうか?ちょっと日本人的な思考とは違った答えが返ってきそうな気がしますね。

 

 

 

前編の感想

以上が第1回イギリス編になります。今回はイングランドスコットランド間という歴史的にも興味深い地への旅ということで、とても面白かったです。イギリスは日本と同じ島国ですが、色々な人種が入り交じっている辺りではやっぱり違いがたくさん生まれているなぁと感じます。

 

しかし端から見ると、ごちゃごちゃしているようでも実際は皆サッパリしていて後腐れない感じで羨ましい気もしますね。少し楽観的?というか行動派?というか…まぁ心配はありますけどお国柄の違いですかね。

 

でも日本との共通点もあります。それは古いものと新しいものの融合に関しては前向きなところ!伝統も大事だけど技術の向上も惜しまない姿勢は同じなんじゃないかな。あとは前回のポルトガル編とは違う大人さというか寛容さに近いものが、この国にはあると思いましたね。

 

それにしても関口さんのトークスキルって半端ないですよねー。前にも言ったかもしれませんが、自分の意見をハッキリ言えることって当たり前なんですが、とても大切です。それを態度に出すことも、人に流されないことも。この方、海外旅行のプロですわ…。

 

 

続いては、2/18放送分の後編になります。

 

  
 

グラスゴー 

旅は11日目。グラスゴーから出発する前にブキャナン・ストリートを散策します。ここはミュージシャンが多くいる通りでバグパイプを演奏する二人組に投げ銭をしてから旅はスタートです。
 
まずはグラスゴー中央駅からエアに向かいます。


エア

クライド湾の近くにある町に到着し、スコティッシュパブに行った関口さん。そこには日本でも有名な「蛍の光」を歌うお客さんたちがいました。しかし声をかけたらなぜかむちゃぶりでソロで歌わされることになってしまい、ちょっぴり恥ずかしい旅の幕開けとなったのでした。



ストランラー→ケアンライアン港

12日目。今日は港からフェリーに乗り、北アイルランドへ渡ります。フェリーでは隣の席にいたお兄さんにアイルランドで有名なものは何かと質問すると【ロンドンデリーの城壁】だと教えてくれました。
 
ロンドンデリーの城壁…1688年プロテスタントが住む町にカトリック軍がおしよせたため軍隊の侵入を防ごうと城壁の門を閉じ抵抗したという歴史ある場所。カトリックは一度撤退はしたものの再びおしよせ105日間の戦いの末プロテスタントが勝利しました。
 
このお兄さんはプロテスタントの勝利を祝うイベントがあるので一緒に祝いをしに行こうと持ちかけてきましたが、関口さんは時間がないから、とお断りしました。すると突然「我々は降伏しない!」と乾杯してきたお兄さん。うう宗教は色々と難しいですね…。
 
関口さん「チャーチルだけじゃないんだな。そんなこと言う人。」

 

ケアンライアン港→ベルファスト  

港に到着し、北アイルランドの中心都市ベルファストにやって来ました。ここでは【北アイルランド紛争】で33回も被害を受けたホテルや【ピース・ウォール(正式名:インターフェイスストラクチャー)】と呼ばれる壁を見に行きました。
 
北アイルランド紛争とは…

北アイルランドの少数派カトリック系住民の差別撤廃を目指す公民権運動が,1968年10月プロテスタント系住民と衝突して以来尖鋭化して起こった一連の事件。1921年アイルランドがイギリスから独立した際,北アイルランドの人口 150万の 3分の2に達するプロテスタント系住民が支配的地位を占め,カトリック系住民との宗教的対立や差別問題が生じた。
出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

 

ピースウォール…プロテスタント住宅街とカトリック住宅街の間に隔たる巨大な壁のこと。宗教対立の象徴でもあり、現在は観光地になっている。
 
関口さんは以上のことを含め、さっそく今までの旅から見えた思いを綴ります。
 


北アイルランドの壁は、紛争が単なる過去ではないことを物語っていました。僕は、単純に「早く壁が無くなるといいですね。」とは思わなくなりました。壁が無くなった後も、それぞれに必要なのは「それぞれの自由」であり、そもそも紛争も、それが侵害されたと両者が思うことから始まったはずだからです。しかしこの「自由」、この国の旅では常にテーマであり続けています。
 

 

ピースウォールは今も尚、決まった時間だけは門を閉じることになっています。
 
 


 ポートラッシュ 

13日目。ベルファスト中央駅からポートラッシュへ向かいます。ここでは世界自然遺産の【ジャイアンツ・コーズウェー】を見たかった関口さん。

 

f:id:goldenretrievers:20170220130751j:plain



 ジャイアンツ・コーズウェーには活火山によって出来た世界でも珍しい幾何学的な形の石が柱状になって大量に存在しています。関口さんは、近くにいたおじさんになぜ"ジャイアンツ"というのか詳しい話を聞いてみると、ここはかつて巨人の棲みかで、スコットランドに住む別な巨人と戦うために海を渡る手段として石で道をつくったと教えてくれました。実はこの話はスコットランド北アイルランドの対立の歴史を描いたものなんですが、今回の旅ではふとした場面でも何かとこうして歴史問題が絡んでくることがわかります。
 


ニューリー

続いては北アイルランドアイルランドの国境に接する町ニューリーにやって来ました。ここでは【CUSTOMS】と看板を掲げた小屋があったので、不思議に思い小屋の管理人に話を聞いてみると、北アイルランドアイルランドEU離脱によって国境を行き来できなくなるのではないかという不安を訴える役目を自主的にしているとのことでした。ここはアイルランド紛争が起きた地だからなのか平和でいたいという願いが強いのだろうなと感じました。
 

ダブリン港

15日目。フェリーで3時間半かけてウェールズにあるホーリーヘッドへ向かいます。
 


ホーリーヘッド

ここはウェールズの海の玄関口であり、イギリスの中の異国と言われている町でもあります。例えば駅の看板表記なんかもウェールズ語と英語の2種類に分かれています。
 

コンウィ 

コンウィという町まで来ると、要塞のようなものがズラーっと建っていました。その中にはコンウィ城もありました。実はイングランドウェールズを征服した13世紀後半に17の城がここコンウィに要塞として建てられたそうなんです。

f:id:goldenretrievers:20170220131739j:plain

また、コンウィでは200年前から行われている伝統的なムール貝漁があると聞き、ムール貝の加工処理場に足を運んだ関口さん。幸運なことに作業員さんたちから大きく身のつまったムール貝をご馳走してもらったのでした。
コンウィからはスランディノ・ジャンクション→クリューと乗り継ぎスランドリンドッドを目指します。
 


スランドリンドッド

16日目。スランドリンドッドにある農場へお邪魔した関口さんは、そこで大量のアカトビを目にします。なぜアカトビ?となりますが、実はこの農場の名は「アカトビ保護センター」といい、かつて農場経営が苦しかったときに、偶然絶滅危惧種であるアカトビがこの自然豊かな農場に住み着いてくれたことから、国から農場を保護センターとしてアカトビの管理をしてくれないかと頼まれるようになったんだそうです。現在野生のアカトビはイギリス国内ではウェールズでしか見られないこともあり、アカトビはウェールズ人にとって守りたい伝統の一つでもあります。
 


スウォンジー

前回ユニオンジャックの中にウェールズ国旗が含まれていなかったことが気になっていた関口さんは、スウォンジーにあるウェールズ国旗の工房を訪ねました。そこで聞いた話によると、当時はイングランドスコットランドアイルランドは王国ですがウェールズは王国ではなく公国だったためユニオンジャックに入る資格がないとみなされたそうです。何とまぁな理由ではありますが、そんなこともありウェールズではユニオンジャックを掲げることはあまり良く思われないようです。
工房を後にし、カフェで休んでいると突然隣にいた男性が歌い出しました。すると、それにつられて他の男性も歌い出します。実はこれ、ウェールズで最も古い男性合唱団による軽いドッキリのようなもので、常にこのようにして色々な場所でサプライズ合唱をしているんだそうです。ちなみに、ここでも合唱団と一緒に歌うことになった関口さんなのでした。
 


ウェールズは平和で自然が多くて文化好きなので、自意識は強くなくておっとりしているのかなぁと思ったらとんでもありませんでした。ウェールズ人意識は何に出会っても強く滲んでいるし、ウェールズ語は日常会話ができるほど復活させちゃうし。でも、もしウェールズだけウェールズ人意識が薄かったら、実は逆にユニオンは無かったのかも。この地に来るとそんな気がさせられます。
関口日記より
 


カーディフ 

18日目。イギリスといえばサッカーやラグビーが有名ですが、関口さんはこの町で女子ラグビー部の練習を見学することになりました。最初は見学だけのつもりがコーチから練習に参加するように促され「(歌をうたわされたり)なんでこうも実践的なの?」と言いつつも楽しそうな関口さんでした。
 


バース・スパ 

19日目。バースには、ローマ帝国時代の浴場の遺跡があると聞いて「温泉に入れるかも?」と期待し、やって来た関口さん。バース・スパのバースとはそのままお風呂の「Bath」を意味するらしいです。実際この浴場で入浴はできませんが、近くの温泉では可能ということでローマ人の気分を堪能しに行ったものの感想は「ぬるい…」やっぱり日本の温泉とは違うんですね。

 

f:id:goldenretrievers:20170220131848j:plain


パディントン

旅は最終日。今日は旅の出発点ロンドンに戻ります。パディントン→セント・パンクラス→そして、ドーバープライオリーを目指します。
 


ドーバープライオリー

ドーバープライオリーに到着し、関口さんが旅の最後にやってきたのは、ドーバー海峡が見渡せる崖の上でした。そこからヨーロッパの景色を眺めようとしたところ悪天候で何も見えません(笑)最後の最後までイギリスの空は気まぐれでした。
 


イギリスは「自由」の国でした。しかしその「自由」は、不便が無いこととは全く別のもので、「他と一緒くたにされることをこよなく嫌う」ことと、シンプルに同様のものでした。それは四地方の共通した気質であることを、この国の各地の個々人から或いはこの国の気候や風土から感じさせられました。しかし同時に、今この国は転機を迎えているようにも感じました。ただ他人や他国と別々で自由なだけでは、新しい可能性は何も開かない。そういう段階に来ている。果たしてイギリスは、これからどんな未来を選択するのか。それを僕は故郷に戻って見守ろうと思います。
関口日記より
 
 

 


おわりに・・

今回は2回に分けてのイギリスの旅でした。イギリスはイングランドスコットランド北アイルランドウェールズの4つで1つの国なので、そのそれぞれに違いがあることが歴史の奥深さを感じました。
しかし前編と後編では旅の印象が全然違って見えましたね。前編のイングランドスコットランドで感じたことと言えば「互いの意見を尊重する」という共通点でした。イングランドは外からやってくる多様な文化を受け入れ発展させていく不屈の精神を持っているし、スコットランドは伝統を守りつつも未来志向な考えを持っている。違うようで限りなく似ている感性に、どこか楽天的で個人主義なまるでイギリスの天気みたいな人間模様がそこにありました。
後編の北アイルランドウェールズでは、北アイルランドは悲劇の歴史とそれに立ち向かった強さを誇りに思っていること、ウェールズでは文化を引き継ぐための目に見えない結束が確かに存在していたことがわかりました。この2つには前編のような仲間意識に近いものは感じませんでしたが、「いつも決断は自分たちにある!」という力強さは感じました。
前編・後編まとめて振り返ると、つまりは皆さん関口さんもおっしゃる通り「自由」なんですね。でもこの「自由」というものの扱いは難しく、気をつけないと簡単に崩れてしまいます。なぜならこの「自由」の中には複雑な不自由さが混在しているのも事実だからです。
大国だけに歴史や文化がつまって見ごたえあるイギリス編は過去から現在まで比較してみても、この世の中の今の姿を象徴する出来事が見えてくるある意味最先端な旅でした。
 
 
長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。 

 

 

 関口さんが旅先で作った曲などはyoutube動画「来来博せ」で聴けますよ!

goldenretrievers.hatenablog.com