オオカミのとおぼえブログ

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男子フィギュアがオカマのスポーツという偏見

競技人気の復活を考える③

 

フィギュアスケートにおける競技人気の復活を考える第3弾!!

 

今回は、前回に引き続き、競技人口減少の危機をテーマとし、その中でも、男子スケーターに対する世間の偏見をなくすことに重点を置き、話を進めたいと思います。

 

さっそくですが、男子スケーターに対する偏見とは?について説明していきます。

 

【目次】

 

世間からの偏見

実はオリンピック期間中、ネットでショッキングな書き込みを見つけてしまいました。それは、男子シングルで日本の羽生選手と宇野選手がワンツーフィニッシュを決め、日本中が盛り上がっていた中の出来事でした。

 

某スポーツニュースのコメント欄を見ていると、普段はフィギュアスケートを観ない層の方からたくさんの祝福の声で溢れていました。私はただのファンながらも、とても喜ばしい気持ちになりましたが、次にあるひとつの投稿を見た瞬間、とても悲しく、憤りを感じました。その内容とは・・

 

フィギュアスケートなんて運動神経のないオカマがする競技

こいつらが野球部に入っても球拾いすら出来ないレベル

他競技の奴らがフィギュアすれば5回転回れるんじゃね?

そもそも人口競技が少ない競技でメダル取ったって価値ないし

スポーツじゃない、インチキのお遊戯

 

正直、唖然としましたね。フィギュアスケーターがヒラヒラの衣装を着ていたり、どうしても女子メインのイメージがあることから、男子=オカマかゲイしかいないという風に見られているのは知っていましたが、他の競技と比べて大した苦労をしていないようなこの言いぐさには怒りを通り越して悲しくなりました。

氷上では皆、子猫ちゃん

はっきり言おうフィギュアスケートをヒョロヒョロしたヤツが、くるくる舞っているだけのお遊戯だと思っている君へ。陸上ではスポーツ万能の君も、氷上では子猫ちゃんでしかない。少なくとも氷の上では、陸で当たり前のようにしているその動きの半分以下しか体を自由に操れないだろう。そして、フィギュアスケーターは無筋肉質でひ弱な体型だとバカにしている君!フィギュアスケートにどれほどバランス能力が必要だと思っているんだい?スピン、ジャンプ、ステップはどれも体幹レーニングの賜物だ。ここがしっかりしていなければ回転などできっこない。スケーターは男女共に、その華やかな衣装の下に美しい筋肉を隠している!無駄のない体脂肪率から分かる通り、だらしのない体型をしている選手なんていないんだぞ!いくら運動神経があってもジャンプのセンスがなければ五回転なんて無理ですから~!!

 

・・と、少々熱くなってしまいましたが、男子スケーターにこんな偏見がある限り、世界的にみても男の子の憧れの競技にはなれないよなぁ~というのが心配事です。

腐ってもメディア、利用しなければ損!

では、↑上記のようなことを、どうしたら世間の皆様に知っていただけるか。と、いったら、それはやはりメディアの力が必要なのではないかと思います。

 

よくあるスポーツニュース内のフィギュアスケート特集。ここでは大抵、「今季の目標は?」「選曲は?」「衣装はどんなイメージで?」といったインタビューか、学校生活の様子、チームメイトと談笑する姿、取材用の練習シーン、プライベートショットの画のどれかしかお目にかかれません。

ここには、アイドルの宣伝に近い効果しかなく、アスリートとしての本当に理解してもらいたい部分が、分かりにくく映し出されています。しかし、私はここでこそ、大々的にスポーツとしての男子シングルの真剣さ=カッコよさを伝えてもらってはどうかと考えます。

ハードさが応援に結び付く

例えばコーチが怒るシーン。フィギュアスケートは華やかなイメージが強く、リンクでコーチがガンガン怒鳴っている姿なんて世間からは想像もできないらしいです。当たり前ですが、そこら辺の中学校の部活のコーチですら大会前は鬼なのに、トップアスリートを育てるコーチが終始ニコニコ指導しているわけなんてないんですよね。

男子の場合は華やかさだけでなく、あのピリピリした練習モードを公開した方が、他カテゴリーから共感を得るのではないかと思いますね。(もちろん撮影は練習に支障がない程度に)以前「情熱大陸」で宮原知子選手がコーチにビシバシしごかれるシーンがあった時、ファンからは「これはちょっと・・」と不評でしたが、スポーツ経験者からすれば、あれはよくあるシーン。逆にあのやりとりをみて、「フィギュアって大変なんだな」と、いい意味で思ってもらえたら嬉しいです。

 

どんなことにおいても世間というのは、とにかく他人のハードな姿に「苦労しているんだな」「凄い世界だ」と敬意を示す傾向にあるといえます。男子シングルもそのハードでサバイバルな様子を見せることで、「こいつら真剣なんだ・・」と理解してもらえれば、冷やかされたり、からかわれたりせず、応援し、受け入れてもらえるのではないかと考えます。

欧米では深刻な問題に

ただ、これらの印象をいくら植え付けたとしても、一度偏見を持たれると、なかなか改善できないのが難しいところです。あれだけ優秀なスケーターを生み出しているカナダでさえ、フィギュアスケート=女性のスポーツ、男性スケーター=オカマという偏見が根強くあり、フィギュアスケートをやっていたことでいじめにあい、自殺してしまった選手までいます。

これは辛い・・。本当に悔しい。あの日本でも有名なパトリック・チャン選手やジェフリー・バトル選手ですら、このような環境で競技を続けて来た現実を知ると、これは「偏見」の一文字では済まされない問題だと思います。

オカマだゲイだと、からかう前に彼らは立派なアスリートであり、オリンピアンなのに。努力を知らない者こそ努力している者を叩く。おかしいですよね。また、欧米ではゲイに対しての強い風当たりもあることから、すっかりそのようなイメージのついたフィギュアスケートは、習いたくても「やりたい!」と親に頼めない空気もあるそうです。残念です・・。彼らはずっとこのストレスと付き合わないといけないのでしょうか。

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脱却しよう

昨季から今季にかけて、長年フィギュア人気が低迷していたアメリカで、急にネイサン・チェン選手が注目されたのは、彼が男子の醍醐味といえる四回転ジャンパー(それも数種×複数持ち)だったからだと言えます。つまりは、演技が男らしいからですね。

フィギュアスケートは時々、技術か芸術かと議論されることがありますが、こうしてみると男子に至っては、強い者=高難度ジャンプであり、技術こそが求められ、受け入れられているのだな、と感じます。だからといって、男子から芸術性を取れというわけにはいきません。それでは、競技競技しすぎて遊びの要素がなくなってしまいます。従来からのフィギュアファンが感じるスケートの魅力と、世間が求めるスポーツ性、このふたつの欲求を満たす方向に変えていくには、かなり思い切ったルール改正が必要になってきそうです。

演技時間の短縮

ひとつの案として演技時間の短縮が挙げられます。現在の時間よりも短くすることで、少々忙しめに要素をこなしていこうという作戦。これにより一般層からは、スケーターが演技中は常に何かの技をしているので退屈ではないという印象を与えられると同時に、今まで振り付けで使っていた時間は多少カットされ、彼らの言うヒラヒラした踊りの要素が薄まります。また、ジャンプから次のジャンプを跳ぶ間隔も短くなり、より迫力が出て、男らしさが出せるというメリットも。しかし、これらはファンからすると「これ以上時間を削ったら美しさが消えてしまう!こんなのフィギュアじゃない!」という嘆きに変わってしまいます。そりゃそうだ!

ステップを見せ場に

逆にこちらは演技時間を変えないか、ちょっとだけ延ばすかにしてステップをフリーの見せ場にしよう!という案。女子は体力的にきついけど、男子だからこそ出来るんだ!というスタミナのオンステージ!ステップはレベル設定を細かく変えて、課題で全員サーペンタインしてみてね(鬼)とかだったら面白いんだけどなぁ。ひとつは規定通りに、もうひとつはショー並みに自由に技を解禁させれば、パフォーマンスの幅も広がりそうです。

衣装でオシャレアピール

ここ近年はゲイだと思われたくなくて地味~な衣装を着るスケーターが急増中です。そのうち全員が同じ衣装になるんじゃないかというくらい真っ黒だらけ。ただ、これもまた偏見がありますが、皆が皆白馬の王子様みたいなレースつき衣装を着なければいけないルールはないし、美川憲一ばりのスパンコールを散りばめる必要もないんですよね。

男子の衣装は女子と違ってデザイン的にあまり工夫も出来ないし(なかなかワンショルダーにしたり、背中オープンしたりはね・・)、どうせなら思いっきりラフ&自由にしちゃえばいいのでは?と思いますが、紳士のスポーツだからダメでしょうか。スノボ競技みたいにオシャレもカッコよく楽しもうよ~。ダンサーみたいにクール路線なスケーターがいれば、また見られ方も変わってくるのではないでしょうか。

クールな演技を紹介

むはー!!ここまで書いても、例の書き込みを思い出すとイライラが止まらん!!と、いうわけで、ここで唐突ですが、私が思う男子シングルイケてるプログラムをご紹介したいと思います!!こんなカッコイイんだぜ!!チェケラ!!

 

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まずはこちら。2002年ソルトレークシティオリンピックでロシアのアレクセイ・ヤグディン選手が演じた「仮面の男」より。このハラハラドキドキする感じにスポーツを感じない人はいないはず!もうこの動画は何十回みたか分からない!

 

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お次は我ら日本の高橋大輔選手。正直、彼の全プログラムをここに載せたい気持ちですが、さすがに無理なので悩んだ結果、ブルースにしました。フィギュアでブルースって凄いですよね?!全然ヒラヒラしていないでしょ!ダンサーでしょ!他にもヒップホップだったり、マンボだったり、有名なバンクーバーオリンピックの「道」だったり、道化師だったり、ビートルズメドレーだったり・・。このスケーターは男子フィギュアのイメージをとことん変えてくれた存在だと思います。

スターを増やしたい

他にも紹介したいスケーターとプログラムはたくさんありますが、今回はこのふたつまで。言葉だけで紹介すれば、ハビエル・フェルナンデス選手なんかはエンターテイメントを大事にしており、彼もまた、違った形で男子フィギュアの魅力を発信してくれていると思います。

あとは、すいません。ハンサム枠とか美男美女枠とかでいくと、羽生結弦選手やテッサバーチュー&スコットモイヤー組なんかはビジュアルだけでも憧れ要員としてかなりの貢献をしてくれています。

こんなことを言ったら怒られそうですが、最初は容姿からファンになってくれる方というのが女性の場合多いので、そういう魅力も少しは武器にしてもいいのかなと、実力もある両選手だからこそ、この際思いました。やはり、どんな形であれ、スター性のあるものに人は惹かれますから、それが「私もこの人みたいになりたい!」と思ってもらえたり、「フィギュアをもっと知りたい!応援したい!」となってもらえればラッキーではないですか。

この世界は時々、芸能寄りの部分が競技の邪魔をすることもありますが、こうした実力の伴った美男美女の存在は、逆に競技を大いに盛り上げてくれるパワーがあります。「俺もキャーキャー言われたいぜ!フィギュアやったらスターになれるかな?」でもいい。とにかく欧米からもスターよ、カモン!

おわりに

男の子がスケートを習うことは、恥ずかしいことではありません!むしろ恥ずかしいのは人をからかうその本人です!フィギュアスケートと限らずバレエでもピアノでもそう!好きなことに打ち込めるのは幸せだし、胸を張ってください。逆に考えて見れば、女子の方が多くて男子が少ない競技ならハーレムですよ!モテますよ!さっさと変な偏見はなくなって、もっともっと競技人口が増えてくれることを願います。

 

最後に、仮にゲイだとしてもなんだとしてもいいじゃない。その人が人生を悔いなく生きれる方法の中のひとつに、この競技があるなら、他人がとやかく言うべきではありません。その人の人生はその人が生きている。皆が頑張っていて、必死に毎日を歩んでいる。男子シングルはカッコイイ競技でもあり、男らしくもあり、芸術的でもあり、オシャレでもあり、ハンサムもいて、多国籍で、ゲイもいる。いろ~んな人たちが切磋琢磨して楽しく過ごす、未来志向の最新型スポーツということで、まとめます。

 

goldenretrievers.hatenablog.com

 

以上で、競技人気の復活を考えるシリーズは完結です。

最後まで読んでいただきありがとうございました!