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【ユーロ】メドベージェワの復帰戦をザギトワが阻止!

欧州選手権2018

 

遅くなりましたが、欧州選手権(女子シングルオンリー)のまとめを載せます。

 

さっそく総合結果から↓

 

1位 アリーナ・ザギトワ(ロシア) 238.24点

2位 エフゲニア・メドベージェワ(ロシア) 232.86点

3位 カロリーナ・コストナー(イタリア) 204.25点

4位 マリア・ソツコワ(ロシア) 201.81点


優勝はロシアのアリーナ・ザギトワ。なんとケガで暫くの間、競技から離脱していた女王メドベージェワをあっさり抜いてしまいました・・!!予想通りというか、五輪シーズンあるある展開とでもいうか・・若手が五輪開幕寸前でベテランを破るというお決まりのパターン?になってまいりました!!

 

 

以下からは、注目選手の感想になります。

 

 

アリーナ・ザギトワ

SP 80.27 TES 43.00 PCS 36.28

ショートはノーミス!3Lz3Loのクオリティが高すぎて驚きです。全要素に高い加点がつくのも納得の技術。ここでノーミスできたのは大きいですよね。きっと先輩たちの姿から心技体たくさんのことを学んでいるのでしょう。演技構成点を出すにあたっては、ジュニアっぽいんだけれど、やっていることは全くジュニアじゃないと悩ませるジャッジ泣かせの選手です。

FS 157.97 TES 82.67 PCS 75.30

続くフリーでも絶好調。フリーは揺らがな過ぎて逆に怖いです。五輪本番でミスがこないように祈っておかなければ!そして気になるのは、フリーのスコア!157.97点。これは世界歴代2位につくハイスコアなわけですが、私が思うにメドベージェワが持つ世界歴代最高点の160.46点は、国別対抗戦で出したお祭り大サービス点であることから、実質は今回ザギトワが出したこの157.97点が女子シングルの最高点と考えて良いのではないでしょうか。現在メドベージェワは154点辺りがマックスといった状態に踏みとどまっていますし、スケーティング以外の技術ではザギトワの方が有利に思えます。何といってもフリーでは弱点となる演技力(シニアらしい芸術性)を圧倒的な技術でカバー出来、才能を惜しみなく発揮できる場と化しているため、ノーミスされたらPCSはどんどん上がっていくことから、かなりの警戒が必要です。

 

エフゲニア・メドベージェワ

SP 78.57 TES 40.43 PCS 38.14 

ケガから2試合ぶりの復帰戦。アクセルでミスがあったものの、プログラム全体の滑り込みは素晴らしかったです。メドベージェワのショートは完成度が高く、作品として見せようとしている様子が分かります。ザギトワとの違いはまさにソコで、ショートプログラムにおいて、このふたりがノーミス対決ならメドベージェワが上にくると思います。しかし、仮にメドベージェワがショートでつまづいてしまうと、フリーで逆転するというのは、ザギトワが大きなミスでもしてくれない限りは難しくなるでしょう。五輪では、ショートでいかに差をつけられるかが大切になってきます。

FS 154.29 TES 77.15 PCS 77.14

3F 3Lz! /3F3T 3Lo 2A2T2T 3S3T 2A
ルッツに!、アクセルは・・やはりバッチリとは言えませんでした。特に3連はどうしても苦手そうに見えてしまうくらい力んで跳んでいます。衣裳も黒の方が好みだったなぁ。今回はジャンプに専念!という感じで、いつもより退屈な演技に見えてしまいましたが、ひとつひとつの動作を細かく見ると、シニアデビュー時よりも洗練されて、とても良くなっているんですよね。今のメドベージェワは技術だけでなく、表現面でもしっかりと力がついてきているので、五輪ではそれら二つが融合したものを見られることに期待したいです。


カロリーナ・コストナー

SP 78.30 TES 39.93 PCS 38.37

3F3Tを投入して80点に迫るハイスコア!というより、そのうち80点出そうな気もします。PCSは高くて納得ですが、あまり上げ過ぎるのも競技のためにはいかがなものかと思うので、このぐらいで止めてほしいな~というのが個人的希望です。(もちろんコストナーだけでなくトップ選手全体で、です)採点競技で満点ってなかなか出るものではないと思うんですよね。どんなに素晴らしくても、満点というのは簡単に出していいものであってはいけない。競技の質を高めるためにも満点というのは、ここぞというときにひとりにだけ出して欲しいなぁと思いました。何だかこのままだと、ジャッジはオール満点とか実践してしまうのではないかと感じたので・・。もちろんショートで一番のPCSがコストナーということには納得ですし、当然だと思います。

FS 125.95 TES 51.86 PCS 75.09

3Lzfall 3F2T 3Lo/ 2T 2A<hd 2A 3S2T 2T

フリーではジャンプが大崩れしてしまいました。ミーシンコーチから離れた影響でしょうか?前半は、ジャンプ前にかなりスピードが出ていたように見え、後半はそこを調整しようとしたのか、やや減速したら回転を上手くかけられなかったように見えました。残り少ない時間で改善できるか少々心配なところでありますが、コストナーの場合は構成を下げても勝てる強みがあるので、本番までどう挑んでくるか分かりませんね。ギリギリで構成を変えるなんてことも考えられます。また、衣装は全身ラメの黄緑パンツverになっていました。まだ見なれませんが、超コストナースタイルといった感じ。あの衣装で表彰台に立ったら話題になりそう・・と思いました。


マリア・ソツコワ

SP 68.70 TES 35.13 PCS 33.57

今季途中で回転不足を克服し、好調だったソツコワも、さすがにピークアウトか?!と感じた試合でした。この結果が後を引きずらなければいいけれど・・と思っていたら予感は的中。フリーでも伸び悩んでしまいました。

FS 132.11 TES 65.30 PCS 67.81

フリーではルッツで転倒。久々のミスで、最近モリモリ上がっていたスコアもあっという間に落ちてしまいました。そうかぁ~。そうなのかぁ~。やはりノーミスでないと上位3選手にミスがあろうと食い込むことは難しいよなぁと、まるで日本人選手を見ているような気持ちになってしまいました。それだけTOP3(オズモンドを入れれば4強)の存在感が凄すぎるんですよね。まぁここまでは、色々と疲れもあり、モチベーション的にも一度落ち着く頃だったのでしょうから、またここから気合いを入れて頑張ってほしいです!リンクでもソツコワらしい雰囲気みたいなものが出てきて、プログラムを少しでも良く見せようと、衣裳やヘアスタイス等にも意識している様子が伝わるので微笑ましいですよね。そんなソツコワには、ジャンプの安定性を強みに、決してロシアの3番手とは萎縮せずに、メダルを狙っていってほしいです。

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時代はエテリ・トゥトベリーゼ

私がロシア選手権の感想を書かなかった理由はただひとつ。どうせユーロがロシアナショナル化する。これにつきます。もうユーロというよりロシア選手権なんですよね。しかも今回に至っては五輪メダル候補のガチンコファイトではありませんか。もっと言えば、ピョンヤンチャンオリンピックの前哨戦ことエテリンピックですよ。メドベージェワといいザギトワといいエテリコーチ生なわけですが、このエテリコーチの戦略が今のフィギュアスケートを圧勝圧巻しているといっても過言ではありません。歴代でもタラソワコーチ、モロゾフコーチ、オーサーコーチと多くのメダリストを手掛ける名コーチたちがいまし(す)たが、このままいけばエテリコーチもチャンピオンメーカーの仲間入り決定ですね。エテリコーチのやり方は、とにかく技術を磨け!誰よりも難しいことをしろ!な軍隊的スケートですが、ある意味それは、表現力において未熟な若手でも、つなぎや加点を貰えるプログラム作りをすることで、PCSを稼ぐことを可能にするのです。「ザギトワの演技はまだ未熟だよ」と言っても、採点ルール上のやることはやっているので、PCSを出さなければいけません。これは、ISUにとっても思わぬ事態だったのではないかと想像します。なぜなら、このやり方が主流になれば、五輪後の国際試合の表彰台も、ザギトワと同じような選手、すなわち、エテリ・トゥトリベーゼの生徒で溢れかえってしまうからです。

 

ランビエールの嘆き

私の好きなステファン・ランビエール氏も雑誌のインタビューで、現在のフィギュアスケートの在り方について不安を口にしていました。やはり関係者から見ても、後半にジャンプを詰め込むという方法は、点を稼ぐには間違いではありませんが、全体的なバランスといった面で考えると芸術的要素は欠けて見えてしまうんでしょうね。

 

ランビ「難しいプログラムでもバランスがとれていれば美しいよ!」

 

ということですが、要するに、背伸びをして技術でスコアを高めるよりは、技術と表現のバランスを釣り合わせてやっていこうね、そうすることで初めて後半ジャンププログラムが生きてくるんじゃないかな?という優しいアドバイスですね。確かに表現を技術で補うやり方も、その逆も間違いではないけれど、どちらかに偏ったものではTESとPCSのふたつで判断する競技とは言えないのかもしれません。

 

ランビ「メドベージェワのショートは好き。動きに感情表現がある。」

 

実際に同じエテリ生のメドベージェワのショートには太鼓判を押しているランビエール氏。決してエテリコーチのやり方の批判ではなく、詰め込み型の構成でも、そこに表現が加わり上手くできていれば、とても素晴らしいものになるんですよ!ということ。だからこそザギトワがジュニア時代のプログラムを今季も使用したのには、若手が挑戦しないなんてもったいないと感じたようです。(参考フィギュアスケートLife・Dancing Poeta — ステファン・ランビエール:「リンクを揺るがすスケーターが必要だ」

 

きっと多くのファンや関係者も、「間違いではないけれど、何かが違う」とフィギュアスケートの方向性について少なからずの不安を抱えているのだろうな、と思います。それでもザギトワ自身が、ジャンプ以外での見せ方も頑張ろうと励んでいるのは伝わりますし、スケーティングもシーズン初期より上手くなっているのは分かります。個人的には、ドン・キホーテは金メダルを狙えるプログラムだと思うので、五輪シーズンに使用したのは正解だとは思います。どちらかと言うと、ショート・フリーで同じようなイメージでいってしまったことの方が気になったかな・・。ショートはバレエプロではなく、他のパフォーマンスによってほしかったです。

 

エモーショナルな演技を好む流れ

私はエモーショナルな選手が好きです。一方でロシアのようなジャンプ技術・スピン技術に優れた選手も大好きです。ザギトワのジャンプ技術は本当に素晴らしいですし、あんなに難しいことを、あれほどクリーンに行える選手はいません。ザギトワなら後半ジャンプ作戦なしでも魅力的なスケーターになれるでしょう。(それまで続けてくれるかは分かりませんが)

 

問題はスコアを稼ぐために、ロシアを真似て後半ジャンプやタノジャンプ、過剰なつなぎをする他国の選手たち。上手くいけばスコアは上がりますが、それでもロシアを超えることはないでしょう。私は、このルールは今だけで、そのうち大きく変わると思うと、真似るよりは表現を大切にした方が良いと思います。ジャンプをバランスよく跳びなさいルールになったら、表現を磨いていない選手は大ピンチになってしまいますよ。ロシアはそうなったら、そうなっただけの対策(4回転・セカンドループ・正確なレベルとり)を練れそうですが、そうでない選手は、リスキーな道は選ばない方が良さそうです。

 

言ってしまえば、スピンなんかは、美しいかどうかでなく、レベルがとれるかどうかが今のルール。それでも何か工夫は出来ないかと、振付師や選手は考えてプログラムを作って練習していますよね。前にも書きましたが、コストナーを見ていると、ロシアのやり方だけがすべてではなく、自分にあった方法次第でスコアは大きく変わると思います。例えばタノジャンプで勢いをつけようとした日本の本郷選手も、実はタイプ的にはロシア路線よりも、コストナー路線に寄ると魅力が生かせるのでは?と感じますし(コストナーもスピンはそんなに強くないけどスコアが出せるようにしてるので研究してみるといいかも)、逆に坂本選手はロシアの後半ジャンプイケイケスタイルで成功しました。三原選手はロシア風コテコテ表現プロとつなぎを実践した結果、勢いが落ちてしまいましたが、本来は正統派北米スケーティング路線が似合うでしょうし、樋口選手はそれと同じパターンからの脱却で成功しました。(三原はアメリカ系華やかスケートで樋口はカナダ系元気スケートですが)

 

エテリ時代の後は、エモーショナルなスケーターが評価される時代がくると思います。そのためにも、その選手に合ったスタイルで選手を育成していけるようにしていただきたいなと思いました。皆が皆同じじゃつまらないですからね。

 

おわりに

メドベージェワは今、焦りが出ていると思いますが、彼女はそれにいつまでも振り回されるほど弱い人間ではないでしょう。今回はケガ明けということもあり、さすがの女王にも緊張があったと思うので、五輪ではザギトワとノーミス対決が出来ることを願います。そう考えると、11ヵ月も試合に出れなかった宮原のNHK杯での演技は強靭的なメンタルすぎると改めて実感しましたね。宮原知子のメンタルの強さは現在女子ナンバーワンかもしれません・・。

 

さて、こんな凄い試合を見せられた後に四大陸選手権が始まるわけですが、出場選手には戦意喪失せずに、1点でもスコアを更新してきてほしいです。メンバーを見ても日本人メダル独占を期待されると思いますから、そこがまずひとつの五輪プレッシャーへの練習として頑張ってきてほしいです!日本勢が油断すると、(調子が良い時)さりげなく好位置につくトゥルシンバエワもいるので要注意!韓国選手も少しでも五輪のために活躍しなければ・・とやってくるでしょう。この時期のモチベーションは作るのに大変かもしれませんが、応援しています。

 

ただ、我が家、このスーパー豪雪でテレビアンテナが雪で崩壊してしまいました。修理したくても、すぐに積もるのでなかなか出来ません!一度光にしたのですが、使い勝手が悪くやめてしまったのを後悔。五輪までに修理が間に合いますように!

 

もちろん四大陸はPCで観戦します。今夜も降りそうで泣けてきます。五輪だけは生で大画面で観戦希望・・。

 

唐突ですが、おわります。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

と見せかけて、補足

コストナーのような空間を操る演技だったり、鈴木あっこちゃんのようなエモーショナルな演技というのは、コーチでは教えられない本人の「センス」が必要だと思います。その点エテリコーチは、ザギトワにはまだ、上のふたりのようなセンスや、リプニツカヤやメドベージェワのような「演じる力」が目覚めていないと感じ、持ち前の柔軟性と可愛らしさを生かしたバレエプログラムで攻めることにしたのでしょう。実際「ドン・キホーテ」としてプログラムを見るには、とてもよく表現されているのは確かですよね!ショートもバレエプログラムにしたのは、「勝つためにはまだそれでいくしかない」とした決断だったのかな、とは思います。ただ、ザギトワはそれこそプログラム次第で凄く化ける子なんじゃないかなとも見えて仕方がない・・。私はコーチでもなんでもないので、勘でしかありませんが、この選手こそ長く続けていく上で、とんでもないエモーショナルなスケーターになる気がするのです・・。

 

 

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