人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!【さいとう】
2017年4月6日にNHK総合で放送された「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ! 【さいとう】」のまとめになります。
~番組あらすじ~
6日からスタートした日本の名字について取り扱う新番組!記念すべき第一回目の放送で紹介されるのは【さいとう】さん。日本中のさいとうさんは要チェックです!
目次
1 どの「さい」なのか問題
2 なぜ書き間違いが多いのか
3 日本さいとう史
どの「さい」なのか問題
皆さんは【さいとう】の「さい」の字が書けますか?そんなことを言われても【さいとう】の「さい」といってもたくさんあるし、ごちゃごちゃしていてわからないよ!という方が多いのではないかと思います。実際にこの「さい」の字については、書き間違いなどでイヤ~な思いをしたことがある人の数は58%もいるそうです。
一般的に世間によく知られている【さいとう】さんはこちら。
1 斎藤 or 齋藤
※名字人口15位
2 斉藤 or 齊藤
※名字人口38位
(左が新字体、右がそれぞれ旧字体)
実は1と2の【さいとう】は同じさいとうさんでも意味が違います。例として1の斎藤or齋藤さんの「さい」の字には斎場の「さい」の字を使います。これには「神を迎えるために身を聖する」という意味があります。
一方、2の斉藤or齊藤さんの「さい」の字は「等しく揃う」という一斉の「さい」を使います。一見同じ名字のようで意味は全く別なんですね。
では、次に【さいとう】のバリエーションをみていきたいと思います。現在、戸籍から抽出できる「さい」の字の数は85文字!なぜこんなにたくさん「さい」の字があるの?という疑問についてはいくつかの考えがあります。
ひとつは書き間違いがキッカケで新たな漢字が生まれたこと。【さいとう】さん本人ですら自分の名字を間違ったまま覚えていたりすることも少なからずあったそうです。
もうひとつは書き癖によって変化した文字がそのまま登録されてできたこと。明治時代当時は、まだ筆を使い登録をしていたため人によって字が全く違ったものに見えた可能性があるそうです。確かに達筆な人の文字は同じ字でも違うく見えますもんね。
その他にも、他の【さいとう】さんと区別をつけたくて勝手にアレンジして登録した人がいたりすることから、全国には様々なバリエーションの【さいとう】さんが誕生したと言われています。
4つ足のサイトウさんや、ムが並んだようなサイトウさんも。
このようにして85文字もある「さい」の字ですが、戸籍が電子化されると数パターンにまとめられ少なくなるそうです。※本人の希望で現在の表記のまま残すことはできます。
なぜ書き間違いが多いのか
【さいとう】さんにたくさんのバリエーションがあることがわかった次は、「さい」の字になぜ書き間違いが多いのかを脳科学的にみていきたいと思います。
ちなみに題材はこちらの【齋】の字。複雑そうに見えますが画数は17画と意外に多くなくそんなに難しくはありません。(他にも優や鮮なんかも17画)では、なおさらなぜ書けないの?となりますよね。そこには3つのやっかいな秘密が隠されているのです。
1 パーツが多くて覚えにくい
例えば【明】という字なら左右のパーツが日と月に別れていて覚えやすいですよね。同じように【鮨】という字も魚と旨がくっついたものだとわかれば脳は記憶しやすく楽にマスターできます。一方【齋】の字は左右上下バラバラで覚えるパーツが多いため脳に負担がかかってしまい簡単に覚えることができません。
2 似たパーツを連想しやすい
脳は親しみがないパーツが出てきた時ほど、似たパーツがないか探そうと頑張ります。その結果【齋】の上部分が氏になったりするミスなどを招きやすい傾向にあります。
3 間違っていても「さい」だと認識してしまう
他に似た漢字がないと間違っていても、合っていると脳は認識してしまうそうです。
以上が脳科学的に考えられることなのですが、言われてみればそうかもしれないなと思いました。しかしどれも注意力を持って覚えていけば逆にマスターできるということでもありますよね!何事も集中と確認が大切です。
~どうしたら書ける?~
もし身近な齋藤さんのためにきちんと字を書けるようになりたい方は、【齋】の字を拡大してじっ~~と眺めると良いらしいです。これをゲシュタルト崩壊といい、改めて字を認識することで違和感を持ち、その違和感が好奇心やもう一度やり直そうというキッカケを生んでくれることからミスを減らせるそうです。【齋】の字と限らず覚えにくい漢字がある方は試してみてください。
日本さいとう史
さいごに【さいとう】さんのルーツについて書いていきます。実は名字の中でも【さいとう】さんは、元祖さいとうさんはほぼこの人かな?と断定できるかもしれない珍しい名字なんです!さらにそのルーツは伊勢神宮にあるのだから驚きです。
伊勢神宮といえば天皇家の先祖といわれる天照大神をまつる有名すぎるくらい有名なスポット。ここには遥か大昔に元祖さいとうさんと深い関係にある女性がいたのです。
有力情報1 【斎王】
昔「斎王様」という未婚のお嬢様が天皇のかわりに伊勢神宮のおまつりをお仕いになり、日本の平安を祈っていた。
有力情報2 【斎宮】
その斎王様は伊勢神宮ではなく斎宮と呼ばれる役所で働いていた。その広さは甲子園球場約35コ分もあり、斎王様に仕えるものたちがたくさん働いていた。
有力情報3 【斎宮頭】
斎宮頭(サイクウノカミ)とは斎宮に仕える役職のトップのこと。この斎宮頭に元祖さいとうさんに繋がる鍵が隠されている。
3つの有力情報を見てわかる通り、【さいとう】さんは斎宮で働いていた人たちなんです。
さらに藤原氏の系図によると、歴代の斎宮頭の中のひとりに元祖さいとうさんがいたのではないかと言われています。
藤原氏の系図には斎宮頭を仕めた人物に「藤原叙用」の名が記録され、その脇には「斎藤党等祖」と書かれています。ここから、藤原叙用が自身の名前の藤と役職から斎の字を取り【斎藤】を名乗り出したことがわかるそうです。
つまり同じ藤原でも斎宮頭を看板にしているのは自分たちだけ(特別だ!)というアピールをするために斎藤さんは生まれたんでしょうね。余談ですが、斎宮で番組を撮影中にずっと風が吹いていたのが印象的でした。伊勢神宮といえば風の神様がいらっしゃいますがなんだか不思議な感じがしてしまいます。
以上でまとめはおわりになりますが、自分の名字のルーツを探すって楽しいですよね。実は私も【さいとう】さんとは非常に縁があるので、今回番組で紹介された内容は知っていたのですが、もしご存知でない【さいとう】さんがいたらぜひ読んでいただきたいなと思って書いてみました。
ちなみに私の知る齋藤さんだらけが集まる地域には、齋藤家がズラリと並ぶ真ん中にお宮があるんですよね。そのお宮は今でも普段は近所の齋藤さんたちで管理しているので、昔【さいとう】さんのルーツについて調べたときにめちゃくちゃロマンを感じた思い出が番組をみて甦りました。
もしかしたら皆さんの名字についても特集する回があると思うので興味を持たれた方は、ぜひ番組をご覧になってみてください!
「人名探究バラエティー日本人のおなまえっ!」
毎週木曜 午後7時30分 |
再放送 毎週火曜 午前0時10分(月曜深夜)
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。