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羽生逆転V、宇野は2位「世界選手権の感想と日本人選手活躍の裏側」

世界フィギュアスケート選手権2017男子シングルの結果が出たので感想を書いていきます。まずは総合結果から。

 

1 羽生結弦 321.59 
2 宇野昌磨 319.31 
3 ボーヤン・ジン 303.58 
4 ハビエル・フェルナンデス 301.19 
5 パトリック・チャン 295.16 
6 ネイサン・チェン 290.72 
7 ジェイソン・ブラウン 269.57 

 

(その他)

 

8 KOLYADA
9 ケビン
11 コフトゥン
12 ミーシャ
14 ラトデニくん
16 テンくん
19 田中刑事

 

 

フリーをふりかえって

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 1 羽生結弦 223.20 126.12 97.08

 ショート5位からの大逆転!いやぁ~正直なところ今回はメダルすら厳しいと思っていました(すみません)まさかフリーでノーミスくるとは思っていなくて…それくらい4Sは不調だと思っていました。しかし実際は違いましたね。冒頭の美ループから次々と要素をこなし、アクセルからの3連続ジャンプの頃には観客も大興奮!TESはなんと126.12点という驚異的なスコアを叩きだしました。凄すぎます。

ショートではネイサンを意識してか「ジャンプにしか意識がいっていないのでは…」と心配でしたが、フリーでは気持ちをきちんと整理して乗り越えてきた辺りはさすがだと思いました。羽生選手おめでとう!

 

2 宇野昌磨 214.45 120.03 94.42

ルッツが惜しかった~。けどショートもフリーも体がよく動いていたし、表現は指先まで行き渡っていて素晴らしかったです。音ハメもきまっていて、まさに氷上のアーティスト!今大会一番魅了されたフリーでした。

彼の強さは集中力。ひとつひとつの動作でちっとも雑になる瞬間がありません。そして若いのに緊張を見せない落ち着つきはとても頼もしいですよね。最初から最後までスピードが落ちなかったのも良かったです。

 

3 ボーヤン・ジン 204.94 118.94 86.00

ボーヤンはずっと可愛かった。観ている人が幸せになるスケート。技術はあんなに高いのに他の選手とはPCSで差がついてしまい悔しいところだと思いますが、まだまだこれからの選手なので頑張ってほしいです。

4Lzの質の高さは後に歴代最高と語り継がれるんじゃないですかね。ショートとフリーあれだけ揃えても3位なんて恐ろしい世界です。しかしボーヤンはここ最近で安定感が出てきたので、これをメドベージェワ並みに続けていけばジャッジに良いアピールができると思います。日本勢、来季はボーヤンに要注意!

 

4 ネイサン・チェン 193.39 110.61 84.78

急な羽生VSネイサンの煽りに押しつぶされちゃったかなという気がします。ネイサンは大人っぽく見えるけどまだ17歳。ネイサンも緊張するんだな、と当たり前なんですがそう思った大会でした。

フリーはショートのミスを巻き返そうと4回転を6つ組み込む構成で挑みましたが、さすがにこれはジャンプのことで頭いっぱいという感じで上手くいきませんでしたね。苦手な3Aを避けるための作戦でもありましたが、本来ネイサンはジャンプだけの選手じゃないということにも気づいてほしいな。しかしミスがあっても193点も出せるなんて凄い!今回は残念だったけれど、ネイサン・チェンの名はきっちりと世界に残せたシーズンだったと思います。

 

5 パトリック・チャン 193.03 98.11 94.92

ショートは4回転ひとつでも100点超えで痺れました。フリーではミスが出てしまって順位を落としてしまいましたが、やはりパトリックのスケートは別格ですね。エッジの傾き方からして他の選手とは大人と子どもくらい違うと思います。SSの項目では他の選手と1点以上の差がないと納得できません。ジャッジはちゃんと各項目ごとに評価してるのかな?トップ選手が必ずしも全項目飛び抜けているとは限らないのに!と疑問に感じます。

もうパトリックは今の構成でひたすら安定感を磨いていけば良いと思いますね。来季のプログラムはまた「四季」のような深みのある感じのでお願いしたいです。頑張れパトリック!

 

6 ハビエル・フェルナンデス 192.14 98.62 94.52

ショートがキレキレ過ぎてそのまま優勝するかと思っていたら、フリーでは驚くほど崩れてしまってもったいなかったですね。少し前まではショートで圧倒的な点差を見せていたら逆転なんてなかなかされなかったのに、今はみんな基礎点が高いし、その分ひとつのミスで大幅に失点もするので、フリーが終わるまでは本当に結果はわからないと改めて思いました。

今大会の流れは全体に「ショート&フリーはノーミスしないと争いの場にも立てない」という認識を生んだと思います。そして来季の問題は全員ノーミスなら誰が勝つかになるのでしょう。個人的にフェルナンデス選手は世界選手権にピークを合わせてくる選手であり、生で観るよりTV画面で観る方が良いという印象があります。来季の前半で油断してミスが続くと、下から追い上げてくる選手たちに表現面で差をつけられなくなってしまうのではないかと心配しています。

 

7 ジェイソン・ブラウン 176.47 88.27 89.20

ショートもフリーもため息が出るくらい美しかったです。4回転なしでも高いPCSがでるのは納得です。むしろSS以外はもっと評価してくれていいのにとさえ思います。

今の男子は技術は向上したけれど10年後も記憶に残る演技は少なくなったように感じます。過去に高橋大輔選手なんてひとりで一体いくつ名プログラム持ってるんだ?というくらいスケートファン以外も知っているプログラムを多く生み出していました。そんな中でジェイソンの「ピアノレッスン」は派手なジャンプがないため今のスケート界では埋もれてしまうかもしれませんが、私の中では何年経っても記憶に残るプログラムになっています。

しかし来季もし、クリーンな4回転を試合で安定して入れてくることができれば、彼は平昌で歴史的名プログラムを生んでくれるかもしれません。4回転がなくても美しいのですが、やはり少し期待をしてしまうのも事実です。

 

その他

コフトゥン…6分間練習中にケガをしつつも、今できるすべてを出しきって感動。

テンくん…ジャンプの調子が上がらない間に評価がどんどん下がっていって悲しい。一度評価が下がると上げるのが難しいこの競技。どこまでかつての勢いを取り戻せるかが鍵になりそうです。

ミーシャ愛の夢もくるみ割りも大好き!どちらも本人の納得いく演技で終われて良かったですね。彼は振り付け師としての才能は抜群だと思うので、今後の活躍に期待しています。しかし今回のプログラムは振り付け師としてのかなり良い宣伝になりましたね。

 

 

日本人選手活躍の裏に

以上が上位選手の簡単な感想になります。いや~今思い出しても羽生選手の追い上げには鳥肌たちますね!そして日本人選手1-2フィニッシュにも感動!これがオリンピックだったらどんなに最高か!

そんな今大会には、たくさんの日本人ファンがヘルシンキまで応援に駆けつけました。あれ?ここ日本かな?っていうくらい侵略してましたよね(笑)日の丸のオンパレード!

ただ気になるのは観客の多くは日本人、リンクの看板に載るスポンサーも日本、メダリストも日本人。もはや男子シングルは日本人による日本人のための競技になりつつあることです。

私はここに「なんで日本人ばかりこんな盛り上がってるの?」というよりは「もうフィギュアスケートは欧米では見向きもされない競技なのか」といつも残念になってしまいます。

もちろん日本男子が強いのは嬉しいですよ!日本だって羽生‐宇野時代が終わればどうなるかわかりませんしね。ただ男子フィギュアの競技人口の少なさと欧米での人気のなさがとてもとても虚しいのです。

 

 

偏見

欧米でフィギュアスケートなんていえば女のするスポーツとか「ゲイ」のするスポーツだという偏見があってなかなか男の子がやりたがるスポーツではありません。(というか別にゲイだっていいじゃんと思いますがね。一生懸命にしてる人をバカにするなよと思う。)

多分一般的には男のくせにヒラヒラした服を来てクネクネ踊ってる採点競技なんてスポーツじゃない!という印象が強いんですよね。しかし実際のフィギュアスケートって別にヒラヒラの服とか着なくていいし、レゲエでもヒップホップでもブルースでもマンボでもどんな「ダンス」をしてもよくて、採点競技といえど4回転なんてめっちゃスポーツなんですよね。

それにフィギュアスケートの練習を見てみれば、あれが優雅な習い事なんて思わないはずです。実際ステファン・ランビエールさんも過去のインタビューで学生時代、自分が真剣に練習をしていたことをクラスメイトたちは知っていたからフィギュアをしているからといってからかう人はいなかったと語っています。

 

現在の男子フィギュアは高難度4回転時代。羽生が技術を上げ、男らしくて強いネイサン(ネイサンはモテる)がいて、ちょっとアーティスト風な宇野(外国人に人気)がいて、ヒラヒラキラキラの衣装を着ないパトリックやフェルナンデスがいる。ロシアはTHEロシア。(+アジア系以外の選手がほしい…)様々な個性が揃った中でオリンピックでは「フィギュアスケートはスポーツで、男子シングルはカッコイイ」というイメージを世界中の人に残したいところです。

もう今のままじゃ日本人選手の引退と共に(男子は)競技の存続が危うい気がして心配なので、ISUには何とか人気復活のための手立てをうってほしいです。

 

 

そのためにできること

具体的にどんなことが必要かといえば「誰にでも勝てるチャンスがあるルールと採点方法」ですかね。

もっと言ってしまえば「誰にでもわかりやすい採点結果」が必要なんだと思います。「あれ?なんでこの人良かったのに点数低いの?」とか「この人ミスしたのになんでこんな点数高いの?」というギャップをなくすことです。正直ここら辺が競技人気の低迷に繋がってきたのではないかと思います。

ミスした選手にはきちんと予め定められたマイナスをつけて、基礎点が関係なくなるようなGOEの付け方をやめた方が勝ち負けもハッキリするんじゃないかなぁと思います。ジャッジによってマイナスにしたりプラスにしたりとバラバラな競技なんてのはおかしいですよね。

 

女子なんて3T-3Tと3Lz-3Tでは、やはりどんなに質が良くても明確な差があるべきだと思うし、むしろ3T-3Tはシニアではなしにしてほしいくらいです。あと5種(または6種)トリプルを揃える選手にはボーナスがあった方が技術向上のためには良いとも思いますね。

さらに例として、ジャンプ技術は足りなくて下位にいる選手にもステップが上手ければきちんと加点を与えるべきだし、いくらトップ選手でもステップがそこまで上手くない選手には高い評価を与える必要はないと思います。それはPCSの項目でも同じで、もっと正確に見ていったらひとつひとつの項目により点数がバラけても良いはずなんですよね。

やはりこの競技はどうしても選手のネームバリューや国籍によって評価が変わるところがあるのでジャッジと観客の印象に差が出てしまうのではないでしょうか。そういった部分を変えていくだけで、もっと多くの選手にチャンスが広がるし、見ている方もワクワクする競技になるのではないかと思います。

きっとどんなルールにしても基礎がしっかりしている選手なら変わらず強いはずなので、いつか大きな改革があるといいなと願っています。

 

 

おわりに

2016-2017年シーズンの世界選手権は日本男子は3枠確保、金・銀メダル獲得という素晴らしい成績で終わりました!羽生選手の追い上げと今季それに僅差まで食らいついた宇野選手の頑張りにはファンとして嬉しい限りです!特に宇野選手は来季になるともっと評価されると思うので楽しみにしています。

また羽生選手にはあまり若手の躍進を気にせずに、ジャンプだけでなく総合力の羽生として力を入れていってほしいなと思います。

 

今年の世界選手権もハラハラドキドキの楽しい大会でした。選手の皆さん感動をありがとう!今季の経験を次に生かしてオリンピックでは全員がベストを尽くせることを願っています。お疲れさまでした。

 

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