嘘がトランプ大統領を生んだ!?ネット時代の危険性【外国人記者は見た+】
今回は2017年2月5日にBS-TBSで放送された「外国人記者は見た+日本inザ・ ワールド 嘘がトランプ大統領を生んだ!?ネット時代の危険性」のまとめと感想を書きたいと思います。
(大統領としての公式の肖像 Wikipediaより)
番組概要
ネットに嘘の情報が拡散される今、私たちはどのようにして嘘と真実を見分ける力をつければ良いのでしょうか。毎日メディアを賑わせているアメリカのトランプ大統領。そんな彼もネット上の嘘から誕生したと言われています。今回はネット社会に溢れるフェイクニュースついて外国人記者たちが話し合いました。
ポスト・トゥルース
皆さん「ポスト・トゥルース」という言葉をご存じですか?日本語で「真実は二の次」という意味ですが、今のネット社会はまさにポスト・トゥルース時代と呼ばれています。
そのポスト・トゥルース時代の最先端に立つ男といえばアメリカ第45代大統領ドナルド・トランプ氏。
ポリティファクト(政治家の発言の正確性を検証するサイト)調べによると、トランプ大統領の過去の発言を検証した結果、7割が嘘だと判明しました。
では、トランプ大統領の過去の発言からどのような嘘が隠れているのでしょう。次にいくつかの例を見ていきたいと思います。
入国禁止令
大統領就任後にさっそく出された中東などの7か国の外国人に対するアメリカ入国禁止令。トランプ大統領はこれを「テロを防ぐため」と発言しました。
(入国禁止となっている国)
イラク、シリア、リビア、スーダン、イエメン、ソマリア
しかしこれらの国の人々にテロリストがいるのでしょうか?むしろ実際に9.11アメリカ同時多発テロの実行犯となった人の19分の18はサウジアラビア、エジプト、UAE国籍だったのです。ところがこれら3か国は入国禁止令からは除外されています。よって「テロを防ぐため」などと言う意見は理由にもならないことがわかります。
また、今回この一件で空港は入国できない人々で大混乱となりました。しかしそれについてもトランプ大統領はツイッターで
空港の混乱は航空会社のシステムダウンと抗議デモが原因だ
と呟き、デタラメを拡散してしまいます。
責任転嫁のプロ?
さらに選挙中にはオバマ前大統領に対し「オバマはアメリカで生まれていない!」と発言していましたが、オバマ氏が出生証明書を提出し、トランプ氏の嘘だと判明したとたん「それはヒラリーが言っていたんだ!自分が正しいのか証明してやったんだ!」とヒラリー氏へ責任転嫁してまうという騒ぎまでありました。
ですが、これらの発言を嘘ではなく真実だと受け止める人も少なくはありません。
嘘の黒幕
実はトランプ氏のこうした発言の裏にはトランプ陣営の黒幕とも呼ばれるスティーブ・バノン氏が大きく関係しているということが話題になっていますね。
このバノン氏は、まさにフェイクニュースで世論を操る達人で、自身が経営しているニュースサイトでも以下のような記事を掲載していました。
科学証明「デブは辱しめれば痩せられる」
もちろん上記の内容には何の根拠もありません。ただこのようなインパクトある見出しで人々の心を煽るのが得意なのです。その狙いは広告収入。バノン氏は利益を得るには嘘か真実などは二の次で、人々に刺激を感じさせるような記事を書けばいいことを知っていました。
実際に右寄り、左寄りのそれぞれの人間は極端の意見を好んで読みたがり、自分の求めている意見であれば嘘と見分けがつかず信じ混む傾向にあるそうです。特にその内容が恐怖心を煽るものであればあるほど人は洗脳されてしまいます。
では次に、このような嘘が社会にどんな効果を及ぼすか見ていきたいと思います。
フェイクニュースによる被害
選挙中、ある噂がネット上に拡散されていました。
ローマ法王がトランプ氏支持を表明
クリントン氏を調査していたFBI捜査官が自殺
もちろんこれらはフェイクニュースの一部に過ぎません。しかしこのニュースは選挙に大きく影響してしまいました。社会はこうした情報が嘘か真実か疑うことのないまま翻弄されてしまったんですね。
また、被害にあうのはメディアも同じです。メディアの情報が中抜きされSNSであっという間に拡散されてしまうと、そのうちいつしか情報はどんどん変化をとげ、一人歩きしてしまうため信憑性の薄いものとなっていく危険性があります。
73億総ジャーナリスト
なぜこんなに嘘が蔓延する時代になったのか。そこにはfacebookなどのSNSの登場が考えられます。
ドイツではホロコーストを否認するのが違法にもかかわらずfacebook上では検閲機能がないため、違法とされる文が自由に書き込みされ、読める状態であるといいます。一度書き込まれた記事に対し、今やSNSでは訂正が追い付かずどんどんと拡散されていく状態です。
スマホひとつで誰でもジャーナリストになれる現在、フェイクニュースは留まることを知らず、身近な親しい人からの情報であればあるほど人は洗脳されやすくなっていきます。
日本でも熊本地震の際にツイッターで「動物園からライオンが逃げたした」というフェイクニュースに惑わされた人は多かったと思います。
また、中国でもネットの生中継で貧しい村人にお金を寄付している様子を配信した人がいましたが、後にヤラセだったことが発覚しました。
もはや画像や映像があれば信用できる時代ではなくなってしまい、自分で見極める目を育てることが必要となっています。
そのためには
私たちはどのようにして情報を判断していけば良いのでしょうか。そのためにはメディアの役割が大変重要だといいます。きちんと信憑性のある新聞やサイトを無料で読めるようにしたり、客観的に正しいニュースの読み方を教えることが大切になってくるそうです。
政治家が記者を選ぶようになってしまった今、メディアの在り方そのものを見直す必要があるのかもしれません。
感想
もう嘘だらけの世の中ってことですね。ネットで真剣にあさっているその情報も便利ではあるけれど、信憑性があるかと言ったら100%ではありません。むしろ不安を煽ったり、攻撃的な内容の方が、嘘か真実かは置いておいて「もしも」のために知識を得ようとするのが人間かもしれません。
ここでフェイクニュースばかりだ!と叩かれているトランプ大統領もまた、同じくフェイクニュースの被害者でもあります。ポジティブな内容は一切報じられなくてもネガティブな情報や噂は真実は二の次で報道されています。結局、フェイクニュースは印象操作のひとつで、どちらが正しいとか正しくないではなく、どちらも都合のいいことしか言っていないだけなのです。
誰でも簡単にジャーナリストになれてしまう今、そのほとんどには「お金」が見え隠れしていますよね。私がブログをしている中でもよく見かける「好きなことを書いているだけ」という言葉。でも実際は広告収入のためによーく計算されて書かれているブログだなぁなんてことは珍しくありません。そんな風に考えると人から支持されるモノというのは、洗脳力なのかなという気もします。
記事の見出しなんかも同じで、人の心理をつくようなワードが書ける人っていうのはある意味カウンセラーのような力があると思います。
人が求めていることを書くことも大切ですが、その欲求のために合わせた言葉を発信していく中で、フェイクニュースが生まれてしまうなら…やがて人は正しいモノは何かを求め出すのでしょうか?
私もネット利用者として情報の扱いには気をつけていかなければならないと改めて思わされた特集でした。
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