オオカミのとおぼえブログ

主にフィギュアスケート、BSやNHKの歴史・紀行番組について書いています。オオカミだけど一匹じゃないブログ目指します!

フィギュア国別対抗戦 PCSとGOEが競技を壊す

2017年フィギュアスケート国別対抗戦の結果が出ました。

 

1 Team Japan
2 Team Russia
3 Team U.S.A.

 

優勝は日本、2位はロシア、3位はアメリカとなりました。日本勢は男女シングルの活躍がチームに素晴らしい結果を運んでくれ、女子に関しては今大会で三原・樋口の両選手ともパーソナルベストを更新しました。

ロシアは2位となりましたが、女子シングルのメドベージェワがショート、フリーとも歴代最高点を記録し、圧巻の演技で今季を締めくくりました。

 

しかし皆さん、「フィギュアって毎回誰かが世界記録を更新していない?」って思いませんか。

いくら採点競技だからって短期間で、そんなに評価が変わるものなの?と自然に思いますよね…。

正直、今回に限っては私も擁護できないくらい採点システムが破壊していたと思います。確かに国別対抗戦はお祭りムードではありますが、一応「記録」として残るスコアなんだからジャッジまでお祭りムードではいかんだろうと不安になったのです。一体この競技はどこに向かっているのでしょうか。

 

 

積極加点の行く末

現採点システムでは質の良いものには積極的に加点をしよう!という傾向にあり、加点を得るための対策をしてきているプログラムには惜しみなく点が与えられます。そのため対策さえとって、きちんと滑りこなせれば誰にでもチャンスはあるよということでもあるんですね。

しかしこの積極加点。例えばジャンプをする時に片手をあげたり、両手をあげたりして跳ぶメドベージェワみたいな選手にはバンバンつけていかないとね!となった結果、今ではこんな風になっちゃいました。

 

今大会国別対抗戦の女子ショート結果

1 Evgenia MEDVEDEVA 80.85

 

(越えられない壁)

 

2 Elena RADIONOVA 72.21
3 Mai MIHARA JPN 72.10
4 Gabrielle DALEMAN 71.74
5 Wakaba HIGUCHI JPN 71.41

 

ルールにそって積極加点しまくった結果、メドベージェワが80点台の男子並みのスコアを記録してしまいました。

ちなみにトリプルアクセルもルッツも4回転もないプログラムで、です。

つまり現採点システムではそれらの技なしでも、ルールを上手く使いこなすことでここまで得点を出すことができるんですね。

ただ、この積極加点。基礎点なんて関係なしにポイポイついていくので競技としては時々マズイんじゃないかと思います。もう少し加点の基準を厳しくするとかしないとスポーツとして正しく評価されるべき技術の本質を見失ってしまうのではないかと思います。

実際にメドベージェワ以外の選手もタノジャンプをするようになったら、そこから頭ひとつ出すには結局、高難度ジャンプをするか、表現面を重視するか、加点の安売りをやめるかしかありません。

国別では一見、日本勢が70点台を叩きだして「高い!やったー」と感じるかもしれませんが、トップと比較すればそれほどでもなく、むしろ今の女子では至って普通のスコアであると言えます。どちらかと言えば、世界選手権でのスコアが恐ろしく低かったという方が正しいかもしれません。

それにしてもメドベージェワのショートは世界選手権よりもクリーンではなかったのに歴代最高点とかよくわからない世界です…。ジャッジはどこを見て評価しているのでしょう。

 

 

表現力って何?

続いてフリーの結果を見ていきます。フリーではメドベージェワ、三原、樋口の3人が上位に立ちました。

 

1 Evgenia MEDVEDEVA 160.46 TES 82.40 PCS 78.06 SS 9.61 TR 9.50 PE 10.00 CO 9.79 IN 9.89

注目はまたしてもメドベージェワ。フリーで160点ですから驚きです。注目はPCS。俗に表現力と言われる部分です。PCSとは具体的にスケート技術(SS)、技と技と間のつなぎ(TR)、身のこなし(PE)、振り付け(CH)、曲の解釈(IN)を各項目別に評価し、合計した点数のことを言います。また、PCSはTES(技術点)とは異なり10点満点制です。なんとメドベージェワの今大会のPEはその満点なんですね。

ではPEって具体的に何なのかってことになりますが、言葉通りに言えばPerformance /Excution、動作/身のこなしのことになります。音楽、プログラムに合った動きができているかという辺りでしょうか。表現の要という部分でもありますね。曲の持つ感情に合わせてスピードにも緩急をつけたり、プログラム中の動作をひとつひとつ丁寧に隙なく演じることが評価のポイントになっているような気がします。メドベージェワのPCSを見る限りこのようにPEや、CH(振り付け)、IN(曲の解釈)といったプログラムのストーリーを表現するような項目がとりわけ高い評価を貰っています。

 

CH…振り付け/構成
調和のとれた演技構成になっているか
IN…曲の解釈
音楽を理解し、それに合った演技や表現ができているか

 

メドベージェワのプログラムはドラマチックでストーリー性のあるものが多いですよね。それがジャッジからかなり評価されているように感じます。

逆にSSやTRではメドベージェワ比では他の項目からすると低めになっています。

 

SS…スケート技術
スケーティングの質やスピード、エッジの使い方やその変化などの技術。

TR 要素のつなぎ
要素と要素の間などのつなぎ。ジャンプ前後の入りにステップを入れるなど、プログラム中に何もしない瞬間がないほど良い。

 

メドベージェワはあれだけの濃いプログラムを息切れもせずに毎回ノーミスで仕上げられるのは凄いと思います。同じことをやれと言われても、なかなかできる内容ではありませんからね。ただ欠点があるとしたら後半もスピードを落とさずに滑ることはできますが、スケーティング技術として見ると滑らかさには欠け、滑るだけで美しいという域にはまだまだ達してはいないところと、ジャンプ前の沈み込みですね。実は私、メドベージェワはジャンプに関してはそんなに質の良い選手ではなく、タノジャンプをすることでそこを上手くカバーしている策士だと思っています。だってロシアの選手ってジャンプの着氷が詰まり気味だったり、姿勢がおっとっとな子が多いんですもん。

 

 

日本人選手はどうなの?

次にメドベージェワのPCSに対して日本人選手の評価はどうなの?ということについて見ていきたいと思います。単刀直入に言うと今大会のフリーのスコアはお祭り点であり、めちゃくちゃ高かったと思います。

 

2 Mai MIHARA 146.17 76.07 70.10 8.75 8.57 8.96 8.82 8.71

三原選手は146点。これは日本女子の歴代最高点です。技術点が76点もありますから凄いです。確かにジャンプは回転不足とは無縁の流れるような美しさではありますが正直、三原選手は今大会より世界選手権のフリーの方が出来は良かったです。だから本人もスコアを見て「?」になっていました。(ん~こんなスコアを出されて逆に来季のプレッシャーにならなきゃいいんだけど)世界選手権と国別で同じノーミスでも全然スコアが違うのは紛れもなくPCSの違いなんですよね。なんと今まで60点そこそこだったPCSが国別では70点にもアップしちゃっていますから驚きです!ジャッジは来季もこの評価を維持してくれるんでしょうかね?お祭りだからサービスしたとか無責任な行為だけはしないでいただきたいものです。

 

3 Wakaba HIGUCHI 145.30 75.65 69.65 8.75 8.46 8.89 8.75 8.68

同じく樋口選手もパーソナルベストを更新。樋口選手の場合はまず、このプログラムをノーミスで仕上げた場合の目安がわからなかったので今回のスコアはかなり本人にとっても重要だと思うんですよ。選手はノーミスなら来季も今回並みの評価を期待してきます。どうかジャッジは試合によって評価をコントロールしないでほしいですね。しかしながら樋口選手が今回ノーミスで安定感あったのは体を絞ってきたからかな?

 

 

ちなみに二人のPCSの評価を考察してみます。

 

三原さん (70.10)
8.75 8.57 8.96 8.82 8.71

わかばちゃん (69.65)
8.75 8.46 8.89 8.75 8.68

 

スケーティング技術 (SS)

共に8.75

二人ともスケーティング能力は高く、エッジコントロールも流れがあり、正確ですよね。三原さんは今+パワーやリズムを使った動きになれば9点台に行くと思います。わかばちゃんはつなぎを入れてもスピードが出せるようになるとかなり良い選手になると思います。

 

要素のつなぎ(TR)

三原さんはプログラム全体をもう少し濃くする必要があります。独創性のある動きがあると良いかなと思います。わかばちゃんはとにかくスムーズにこなしていくことが重要です。

 

演技力、実行・遂行力 (PE)

音楽や振付けの表現面ではわかばちゃんの方が上かなと思いました。動作の質が上がればもっと点数が貰えそうです。

 

振付け (CH)

わかばちゃんのシェヘラザードは大人っぽい仕上がりではありましたが、少々背伸びした感がありましたね。来季は本来のキャラクターに合ったプログラムがくればもっと上手くいくのではないかと思います。三原さんのシンデレラはよーく考えてプログラムの起承転結がデザインがされています。上半身の動きをもっと丁寧に、感情を乗せて滑ると全体的に綺麗になりプログラムの世界観が広がると思います。

 

曲の解釈 (IN)

テンポよく滑るのは三原さん。メロディと調和させて滑るのはわかばちゃん。

無理のない流れを表現するのは三原さん、効果的な動作をするはわかばちゃん。

多分、キャラクターを演じる力があるのはわかばちゃん。要素を360度に散りばめて観客との一体感を出して与えられたテーマをスムーズにこなしていくのが得意なのは三原さん。どちらもパフォーマーというタイプではありませんが、個人的にはわかばちゃんが意外にも化ける選手ではないかと期待しています。

 

上記のことを書いてもPCSの評価ってかなり曖昧でわかりづらいものであります。たくさん動きを入れている選手なんかを見て、あ~この選手の表現は素敵だなぁと思っても技術的には少々足りなかったり(エッジが浅いとか、ポジションが甘かったり)すると点数はのびなかったりするので、表現+技術はやはり大切なんですよね。

三原さんもわかばちゃんも、あっという間に宮原選手に届いちゃったけれど欲張りなことを言うと、表現面ではまだ課題があると思うので今回の点数を意識せずに来季に向けて対策していってほしいです。

特に三原さんは宮原さっとんよりも質の良いジャンプとスキルがあると思うので、腕の使い方なんかをレベルアップして表現の幅を広げられると良いのですが、こればかりは本人のセンスもあるので、誰か衣装やヘアメイク等含めサポートしてくれると良いんだけどなーと思います。

わかばちゃんはカナダ系のプログラムが絶対似合うと確信しています。安藤ミキティ路線よりデールマンとかオズモンドみたいなプログラムカモンです。

 

私は今大会の日本人選手のスコアを見て「世界選手権は何だったの!」とお怒りモードですよ。国別みたいなお祭りスコアは嫌だけどもう少しあっても良かったんじゃない?と思っていましたからね。まぁ今回は日本2枠になっちゃった罪滅ぼし的なことなんでしょうか。それはそれで嫌ですが、何だか色々と悶々しちゃう大会でした。

それにしてもフィギュアスケートって国籍に点数がかなり反映していますよね。重要なのはどこの国の選手か。ここ、かなり闇な部分だと思います。

 

 

さいごに

私、さすがに今季中に三原樋口組が宮原選手のスコアを抜いてくるとは思いませんでした。だって世界選手権まではそんな風な格付け絶対にされてませんでしたよね。急な新二大エースに「そんなに宮原選手のケガは深刻なのかな」と心配になっちゃいます。さらに来季はまりん風が吹き荒れるかな?と思いきや、ここに来て三原樋口組が2枠の席にドシンと座りましたから、わけわかりません。ここまで団子状態だと平昌は誰が行くかわからなくなかったなぁという状態です。(その前に五輪があるのかが心配)

まず今の日本女子、この選手のジャンプは優れているけれど、表現ではあの選手の方が良いなぁ~とか、この選手は表現に長けているけれどジャンプに不安があるなぁ~とかで、それぞれ強みが違うから代表に誰を選ぶかは来季の採点傾向にすべてかかってますよね。

段々と採点も観客から距離ができすぎて予想がつかないし、男子は男子でミスしても積極加点のおかげで要素が抜けても点数は高いままだったり…競技として破綻しているので、平昌後のルール改正は相当考えないとファンが減っちゃいそうです。

噂では技術と表現でカテゴリー分けするとかしないとかみたいですが…それならショートは課題を出して、ミスしたり要素抜けならがっつり減点、フリーはジャンプも自由にしてガチンコバトルにしたら面白いのにな。そしてPCSの評価はもっとがっつり厳しくやっちゃってほしいですね!なんだかんだでSSはパトリック・チャンが基準じゃない?と私は思っちゃう。パトリックが満点出さなきゃ他も満点はダメだな(極端)という感じです。もっと言ってしまえば、PCSとGOEで勝負が決まるのはつまらないので、PCSとTESが連動しまくっている流れを阻止するべきではないかと思われます。いくらジャンプ跳べても、それ以外がまだまだジュニアさ満載なら容赦なく低いPCSで良いし、いくらシニアの熟練者であってもあまりにもグダグタな演技の時はがっつりPCSを下げないと競技とは言えません。

早くも平昌通り越して、ルール改正に目がいっちゃいますが、来季は来季の違う風が吹くと思うので楽しみにしています。

 

あまり不満とかは書きたくないのですが、今大会があまりにもお祭りムード採点だったのでつい書いてしまって見苦しくなってしまいました。読んでくださった方には申し訳ありません。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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おまけ

私チョイスの「表現」として好きなプログラムをひとつだけご紹介

 浅田真央愛の夢

異論はあると思いますが、真央ちゃんの傑作はコレ。佐藤コーチになってから真央ちゃんのスケーティングは神がかった。そのスケーティングの美しさが一番生きていたのが「愛の夢」だと確信しています。ファンから人気の「仮面舞踏会」と比べてみてもこちらの方がステップ含め真央ちゃんの長所をよーく散りばめられているプログラムだと思います。決してタラソワプログラムがダメとかいうのではなく、タラソワコーチのプログラムは競技プログラムよりエキシビションの方が好きなんです。

ちなみにタラソワコーチのプログラムで好きなのは「Por una cabeza」←(これショートプログラムにしてほしかった)やショパンの「バラード1番」、競技用プログラムでは「白鳥の湖」や「バイオリンと管弦楽のファンタジア」です。

以上、余談ですが私が好きな表現が詰まったプログラム紹介でした(突然おわり)