オオカミのとおぼえブログ

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関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅 イギリス編 第2回 20日間のまとめ

2017年2月18日にNHKBSプレミアムで放送された「関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅 イギリス編 第2回」のまとめと感想になります。

 

その前に

今回は2017年1月21日に放送された「関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅 イギリス編 第1回」の続きになります。こちらからどうぞ↓

 

あらすじ

イギリス編第2回の旅はスコットランド南西部のグラスゴーを出発。海を渡り、かつて独立闘争の舞台となった北アイルランドへ。再び海を渡りウェールズを経てイングランドに戻り、最後はヨーロッパ大陸を望むドーバー海峡を目指す。「ヨーロッパ鉄道の旅」の最後に、関口知宏さんの胸に去来する思いは?

引用元 イギリス編 第2回|関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅|NHK 

 


グラスゴー 

旅は11日目。グラスゴーから出発する前にブキャナン・ストリートを散策します。ここはミュージシャンが多くいる通りでバグパイプを演奏する二人組に投げ銭をしてから旅はスタートです。

 

まずはグラスゴー中央駅からエアに向かいます。

 

エア

クライド湾の近くにある町に到着し、スコティッシュパブに行った関口さん。そこには日本でも有名な「蛍の光」を歌うお客さんたちがいました。しかし声をかけたらなぜかむちゃぶりでソロで歌わされることになってしまい、ちょっぴり恥ずかしい旅の幕開けとなったのでした。

 

ストランラー→ケアンライアン港

12日目。今日は港からフェリーに乗り、北アイルランドへ渡ります。フェリーでは隣の席にいたお兄さんにアイルランドで有名なものは何かと質問すると【ロンドンデリーの城壁】だと教えてくれました。

 

ロンドンデリーの城壁…1688年プロテスタントが住む町にカトリック軍がおしよせたため軍隊の侵入を防ごうと城壁の門を閉じ抵抗したという歴史ある場所。カトリックは一度撤退はしたものの再びおしよせ105日間の戦いの末プロテスタントが勝利しました。

 

このお兄さんはプロテスタントの勝利を祝うイベントがあるので一緒に祝いをしに行こうと持ちかけてきましたが、関口さんは時間がないから、とお断りしました。すると突然「我々は降伏しない!」と乾杯してきたお兄さん。うう宗教は色々と難しいですね…。

 

関口さん「チャーチルだけじゃないんだな。そんなこと言う人。」


ケアンライアン港→ベルファスト  

港に到着し、北アイルランドの中心都市ベルファストにやって来ました。ここでは【北アイルランド紛争】で33回も被害を受けたホテルや【ピース・ウォール(正式名:インターフェイスストラクチャー)】と呼ばれる壁を見に行きました。

 

北アイルランド紛争とは…

北アイルランドの少数派カトリック系住民の差別撤廃を目指す公民権運動が,1968年10月プロテスタント系住民と衝突して以来尖鋭化して起こった一連の事件。1921年にアイルランドがイギリスから独立した際,北アイルランドの人口 150万の 3分の2に達するプロテスタント系住民が支配的地位を占め,カトリック系住民との宗教的対立や差別問題が生じた。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ピースウォール…プロテスタント住宅街とカトリック住宅街の間に隔たる巨大な壁のこと。宗教対立の象徴でもあり、現在は観光地になっている。

 

関口さんは以上のことを含め、さっそく今までの旅から見えた思いを綴ります。

 

北アイルランドの壁は、紛争が単なる過去ではないことを物語っていました。僕は、単純に「早く壁が無くなるといいですね。」とは思わなくなりました。壁が無くなった後も、それぞれに必要なのは「それぞれの自由」であり、そもそも紛争も、それが侵害されたと両者が思うことから始まったはずだからです。しかしこの「自由」、この国の旅では常にテーマであり続けています。

 

ピースウォールは今も尚、決まった時間だけは門を閉じることになっています。

 

 

 ポートラッシュ 

13日目。ベルファスト中央駅からポートラッシュへ向かいます。ここでは世界自然遺産の【ジャイアンツ・コーズウェー】を見たかった関口さん。


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 ジャイアンツ・コーズウェーには活火山によって出来た世界でも珍しい幾何学的な形の石が柱状になって大量に存在しています。関口さんは、近くにいたおじさんになぜ"ジャイアンツ"というのか詳しい話を聞いてみると、ここはかつて巨人の棲みかで、スコットランドに住む別な巨人と戦うために海を渡る手段として石で道をつくったと教えてくれました。実はこの話はスコットランド北アイルランドの対立の歴史を描いたものなんですが、今回の旅ではふとした場面でも何かとこうして歴史問題が絡んでくることがわかります。

 

ニューリー

続いては北アイルランドアイルランドの国境に接する町ニューリーにやって来ました。ここでは【CUSTOMS】と看板を掲げた小屋があったので、不思議に思い小屋の管理人に話を聞いてみると、北アイルランドアイルランドEU離脱によって国境を行き来できなくなるのではないかという不安を訴える役目を自主的にしているとのことでした。ここはアイルランド紛争が起きた地だからなのか平和でいたいという願いが強いのだろうなと感じました。

 

ダブリン港

15日目。フェリーで3時間半かけてウェールズにあるホーリーヘッドへ向かいます。

 

ホーリーヘッド

ここはウェールズの海の玄関口であり、イギリスの中の異国と言われている町でもあります。例えば駅の看板表記なんかもウェールズ語と英語の2種類に分かれています。

 

コンウィ 

コンウィという町まで来ると、要塞のようなものがズラーっと建っていました。その中にはコンウィ城もありました。実はイングランドウェールズを征服した13世紀後半に17の城がここコンウィに要塞として建てられたそうなんです。
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また、コンウィでは200年前から行われている伝統的なムール貝漁があると聞き、ムール貝の加工処理場に足を運んだ関口さん。幸運なことに作業員さんたちから大きく身のつまったムール貝をご馳走してもらったのでした。

コンウィからはスランディノ・ジャンクション→クリューと乗り継ぎスランドリンドッドを目指します。

 

スランドリンドッド

16日目。スランドリンドッドにある農場へお邪魔した関口さんは、そこで大量のアカトビを目にします。なぜアカトビ?となりますが、実はこの農場の名は「アカトビ保護センター」といい、かつて農場経営が苦しかったときに、偶然絶滅危惧種であるアカトビがこの自然豊かな農場に住み着いてくれたことから、国から農場を保護センターとしてアカトビの管理をしてくれないかと頼まれるようになったんだそうです。現在野生のアカトビはイギリス国内ではウェールズでしか見られないこともあり、アカトビはウェールズ人にとって守りたい伝統の一つでもあります。

 

スウォンジー

前回ユニオンジャックの中にウェールズ国旗が含まれていなかったことが気になっていた関口さんは、スウォンジーにあるウェールズ国旗の工房を訪ねました。そこで聞いた話によると、当時はイングランドスコットランドアイルランドは王国ですがウェールズは王国ではなく公国だったためユニオンジャックに入る資格がないとみなされたそうです。何とまぁな理由ではありますが、そんなこともありウェールズではユニオンジャックを掲げることはあまり良く思われないようです。

工房を後にし、カフェで休んでいると突然隣にいた男性が歌い出しました。すると、それにつられて他の男性も歌い出します。実はこれ、ウェールズで最も古い男性合唱団による軽いドッキリのようなもので、常にこのようにして色々な場所でサプライズ合唱をしているんだそうです。ちなみに、ここでも合唱団と一緒に歌うことになった関口さんなのでした。

 

ウェールズは平和で自然が多くて文化好きなので、自意識は強くなくておっとりしているのかなぁと思ったらとんでもありませんでした。ウェールズ人意識は何に出会っても強く滲んでいるし、ウェールズ語は日常会話ができるほど復活させちゃうし。でも、もしウェールズだけウェールズ人意識が薄かったら、実は逆にユニオンは無かったのかも。この地に来るとそんな気がさせられます。

関口日記より

 

カーディフ 

18日目。イギリスといえばサッカーやラグビーが有名ですが、関口さんはこの町で女子ラグビー部の練習を見学することになりました。最初は見学だけのつもりがコーチから練習に参加するように促され「(歌をうたわされたり)なんでこうも実践的なの?」と言いつつも楽しそうな関口さんでした。

 

バース・スパ 

19日目。バースには、ローマ帝国時代の浴場の遺跡があると聞いて「温泉に入れるかも?」と期待し、やって来た関口さん。バース・スパのバースとはそのままお風呂の「Bath」を意味するらしいです。実際この浴場で入浴はできませんが、近くの温泉では可能ということでローマ人の気分を堪能しに行ったものの感想は「ぬるい…」やっぱり日本の温泉とは違うんですね。
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パディントン

旅は最終日。今日は旅の出発点ロンドンに戻ります。パディントン→セント・パンクラス→そして、ドーバープライオリーを目指します。

 

ドーバープライオリー

ドーバープライオリーに到着し、関口さんが旅の最後にやってきたのは、ドーバー海峡が見渡せる崖の上でした。そこからヨーロッパの景色を眺めようとしたところ悪天候で何も見えません(笑)最後の最後までイギリスの空は気まぐれでした。

 

イギリスは「自由」の国でした。しかしその「自由」は、不便が無いこととは全く別のもので、「他と一緒くたにされることをこよなく嫌う」ことと、シンプルに同様のものでした。それは四地方の共通した気質であることを、この国の各地の個々人から或いはこの国の気候や風土から感じさせられました。しかし同時に、今この国は転機を迎えているようにも感じました。ただ他人や他国と別々で自由なだけでは、新しい可能性は何も開かない。そういう段階に来ている。果たしてイギリスは、これからどんな未来を選択するのか。それを僕は故郷に戻って見守ろうと思います。

関口日記より

 

 

感想

今回は2回に分けてのイギリスの旅でした。イギリスはイングランドスコットランド北アイルランドウェールズの4つで1つの国なので、そのそれぞれに違いがあることが歴史の奥深さを感じました。

しかし前編と後編では旅の印象が全然違って見えましたね。前編のイングランドスコットランドで感じたことと言えば「互いの意見を尊重する」という共通点でした。イングランドは外からやってくる多様な文化を受け入れ発展させていく不屈の精神を持っているし、スコットランドは伝統を守りつつも未来志向な考えを持っている。違うようで限りなく似ている感性に、どこか楽天的で個人主義なまるでイギリスの天気みたいな人間模様がそこにありました。

後編の北アイルランドウェールズでは、北アイルランドは悲劇の歴史とそれに立ち向かった強さを誇りに思っていること、ウェールズでは文化を引き継ぐための目に見えない結束が確かに存在していたことがわかりました。この2つには前編のような仲間意識に近いものは感じませんでしたが、「いつも決断は自分たちにある!」という力強さは感じました。

前編・後編まとめて振り返ると、つまりは皆さん関口さんもおっしゃる通り「自由」なんですね。でもこの「自由」というものの扱いは難しく、気をつけないと簡単に崩れてしまいます。なぜならこの「自由」の中には複雑な不自由さが混在しているのも事実だからです。

大国だけに歴史や文化がつまって見ごたえあるイギリス編は過去から現在まで比較してみても、この世の中の今の姿を象徴する出来事が見えてくるある意味最先端な旅でした。