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見えない"貧困"~未来を奪われる子どもたち【NHKスペシャル】

2017年2月12日にNHK総合で放送された「NHKスペシャル 見えない"貧困"~未来を奪われる子どもたち」の簡単なまとめと感想になります。

 

 

番組あらすじ

子どもの6人に1人が「相対的貧困」と言われる日本。しかし、具体的に何に困り、どういった支援が必要なのか明らかにされてこなかった。今年度、自治体や国が初めて大規模調査を実施。調査から「新しい服が買えない」「アルバイトで家計を支えている」など具体的な状況が初めて可視化された。「見えない貧困」の実像に迫り、子どもたちにどのような支援が必要なのか、解決の道筋を探る。

 

引用元 http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586894/ NHK公式サイト

 

 

相対的貧困とは?

相対的貧困とはその人が暮らしている社会においての普通の生活水準と比較して下回っている状態の事を言います。その水準というのは国や地域、あるいは時代によって異なるため絶対的貧困ではなく相対的貧困と呼ばれています。具体的な数値は以下の図の通り


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収入の低い人~高い人まで並べていき、真ん中の人の水準を基準として、その半分以下の人を貧困とすると何と6人に1人が相対的貧困となります。

 

 

相対的貧困の家庭の年収は?

1人世帯が122万円、親2人子ども2人の4人家族では244万円未満/月額およそ20万円以下を貧困としています。

 

 

大規模化なアンケート
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今年1月大阪で全43市町村の小学5年生~中学2年生までの生徒と保護者5万世帯に「子どもの生活に関する実態調査」を行い、中間発表をした結果、世帯の手取り収入の中央値の半分未満、相対的貧困にあたる困窮度1の世帯は12.3%におよぶことがわかりました。また、この調査では「剥奪指標」についても調べました。

 

 

剥奪指標とは

「剥奪指標」とは経済状況が標準的な家庭と比べて、貧困状態におかれた子どもたちは何を奪われているのかを調査したものを言います。実際にどんなものがあるかと言うと

 

医療機関に受診できない
新しい服や靴を買えない
本がない(教科書やマンガは除く)
運動用具がない
学校から帰っても親がいない
家族旅行ができなかった
誕生日を祝えない
学校行事に参加できない

 

などその他もろもろになります。一方、スマートフォンやゲーム機器、TVといったコミュニケーションツールを持つ割合は一般的な生活水準家庭とかわりはありませんでした。特にスマートフォンに関しては、子どもの安全確認のためにと貧困家庭の方が持っている割合は高いことがわかりました。

 

 

見えない貧困

上記のようなことを並べると、スマホやゲーム機を持っているなら貧困じゃないんじゃないの?と思うところですが、一般的に日本人がイメージする栄養も全くとれず痩せ細っていて、服もボロボロで、お風呂にも入れないみたいなことは「絶対的貧困」にあたるんですね。このような絶対的貧困という言葉は現在、発展途上国に対して使用されているようです。

対して「相対的貧困」とは社会を生きていく上で周りが当たり前に持っているもの(TPOにあった服・スマートフォンなどの通信手段・人付き合いなど)を持つこと、行うことが困難な状況を言います。ですから一見誰が貧困なのかわかりにくい状態ではあります。

 

 

番組を見て

正直、番組タイトルを見た時はもっと困窮度の高い家庭に対してスポットを当てるのかと思っていました。ネットの反応を見ても、そういう意見が多かったように見えましたね。

守秘義務もあってここでは詳しく書けませんが、私は仕事で「貧困」に当たる子どもをたくさん見てきた中で、現実はTVとは違う印象だなぁと気がします。

できれば「本を持っていない」とか「制服がお古」とかでなく、「学校行事に親が(他の家庭と同じようなクオリティの)お弁当を用意できずに子どもを欠席させる」とか「身なりが貧困を隠せていなくていじめられている」とかもっとリアルな部分を見たかったです。

大学進学に悩んでいた子もいたけれど、今は…というか私の年代でさえ既に奨学金を利用するなんて当たり前化していましたよ。しかも入学金もろもろ少しでも安く済むようにと、金銭的に困っている人ほど国公立を目指す人が多い印象を受けましたね。そもそも入るとしたらそこしか選択肢がないといった感じでした。

ところがどっこい、いつの間にか日本には大学の数がごまんと溢れていて、学部とは全然関係のないものをウリにして勧誘していたり、お金さえあれば大学生になれちゃうようなところがあります。

大学無償化なんてなったりしたら、誰でもカタチだけ大学生になっちゃうんじゃないかと心配です。大学で「英検3級合格できます!」とか宣伝されてもね…。

それなら優秀なのに貧困で進学できないような子に無償化してあげてほしいですね。

 

これはあくまでも私のエピソードですが、大学といっても学費だけではなく仕送りだの何だのでお金はかかります。私の周りでは一人暮らしで奨学金を受けながら仕送りの足しにする生活費のためにバイトに明け暮れる子もいれば、金銭的に仕送りはキツイからと少しでも節約するために実家から長い時間かけて学割を使い通学する子もいました。

前者はバイトしてるのか学生してるのかわからない状況だし、後者は「大学生なんだから自立しなよ」と親からドップリ学費と生活費もろもろ援助してもらっていた層に言われたりします。

本来学ぶためにあるはずの4年間が、いつしか経済的に大学生であり続けるために身を削る4年間になりつつあると思います。しかし今ではこれらが通常化していて貧困なのかどうかもわかりません。そうなると「相対的貧困」って何?日本全体今はそんな感じでしょ?と考えになったりもしますよね。

 

今回番組では子どもの貧困を放置すると進学率の減少→非正規雇用の増加→収入の減少に繋がり、その社会的な損失は42.9兆円にもなると言っていました。

コレはちょっと「大学行かないと貧困になるんだよ、損失だよ」と言っているように思えなくもないんだけど…今の世の中、確かに教養が大切なことに間違いはありませんが大卒だから安泰というわけではありませんよね。むしろ田舎暮らしの人や女性にとってはきっちり仕事に必要な知識を得て、専門職に就いた方が生きていけるんじゃないかなと思います。

どんどん新しい大学を設立していくより、フランスのように働きながら職人になれるような制度を増やしていく方が将来のためには良いいような気もします。

 

 

さいごに

今回は非正規やシングル家庭の「相対的貧困」が主なテーマになっていましたが、見ているうちにどんどん別な方向で改善することがあるんでないの?と疑問が沸き上がった方も多いのではないでしょうか。

一般的に日本人が考える貧困と、「相対的貧困」には差があるかもなぁとも思います。番組を見ると実は日本人の多くが軽い貧困なんじゃない?と感じますからね。

しかし罪のない子どもたちにとって希望のない将来を見て生きさせることには早急な対策が必要だと思います。

多分この問題は「貧困は甘え」で片付けていたら何も変わらないし、どこかで決着つけないと長い目で見ても危険ですよね。

 

今は共働きで生活のために働くお母さんも多いです。子どもが小さい頃は病気がちだし、自分で世話したいと思っても社会のしくみがそこまで整っていません。

そういったことに対し、最近ではまるで保育士と保育園を増やせばすべて解決するかのような報道が多いですが、現場の実態を見ても同じことを思えるのか疑問ですね。

そんなことでますます親と離れる時間を小さな子どもから奪うよりは、働き方や賃金について見直す社会になった方が良いのでは?と思います。

貧困からは金銭的なことだけでなく、心身共に影響を受ける可能性があることを知ってほしいです!

少し番組の特集とは違う内容に脱線してしまう記事になりましたが、メディアで「暗い将来だ」と嘆くよりは、イヤイヤ改善すべきところをどうにかしていこうよ!と思ったのです。少々わかりにくくて申し訳ありませんでした。

色々な意見があると思いますが、何はともあれ「おじいさん、おばあさんになっても楽しく生きていける」国であってほしいと思いました。

 

 

日本は戦後、経済は発展しずっと豊かになったけれど、それと引きかえに日本人の心は貧しくなったと感じます。

何にもない時代にこそ心が豊かで幸福を感じられたのはなぜなんでしょうか?

ふとそんな風に感じました。

 


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