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ザ リアル ボイス 「ダイナーからアメリカの本音が聞こえる」

今回はNHKBS1で2017年1月22日に放送された「ザ リアルボイス ダイナーからアメリカの本音が聞こえる」のまとめと感想です。


番組紹介

その場所でしか聞けない本音「リアルボイス」を求めて旅する番組。今回はアメリカのカリフォルニア州 テキサス州 アリゾナ州 ミシガン州といった四つの州の大衆食堂「ダイナー」でトランプ大統領に関する声を聞いてきました。※丁寧な言葉に書きかえた表現が多数あります。


2017年1月22日(日) 午後7時00分(110分) NHKBS1

 
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カリフォルニア州 ロサンゼルス

まず初めにやってきたのはアメリカ第二の都市ロサンゼルス。選挙後、納得しない人々が声をあげ続けている場所です。ここは民主党の地盤でもあることからトランプ大統領は選挙で3割の票しか獲得できませんでした。そんな反トランプ派の町の大衆食堂ダイナーで人々の本音を探ってみました。

 

反トランプ旋風の町

さっそく地元の大人気食堂「オリジナルパントリー」にてトランプ大統領の抗議デモに参加したと言う何人かの学生に話を聞いてみます。

 

学生①「抗議デモに参加したわよ。ちょうどこの辺りでした。私は戦いが始まってしまう感じがする。起こるべきではない暴動がね。大混乱が起こりアメリカが分裂してしまうんじゃないかしら。」

 

学生②「トランプは少数派コミュニティーについて厳しいことを言っています。何が起こるかわからないので少し心配だわ。」

 

若い子の間ではアメリカの未来に対する不安と恐れがあるようです。一方、支持はしないがこうした抗議活動には反対するという意見もありました。

 

「私は起きている抗議の多くに賛成できないんだ。抗議する側の理由や権利は分かるけどね。でも抗議の方法をよく考えた方がいいよ。デモをしたってニュースなどで他人に勝手にコメントされてしまうだけだ。でもソーシャルメディアならメッセージが直接伝わるよ。」

 

おっしゃる通りだと思います。なんだろう…学生たちのデモの中には何となく大きな声を上げて、とにかく戦えばいい感が拭えないのよね。

 

ちなみに抗議デモについては、こんな意見もありました※()はスタッフ

 

「がっかりして凄く嫌な気持ちになったよ。逆の立場のデモがあったとしても良い気分はしないな。」

 

(分断に繋がると言うことですか?)

 

「そうだ。デモをすると人の立場の違いが浮き彫りになり溝が深まるんだ。デモは人々を分断させるだけだよ。スポーツの新シーズンが始まる感じだ。どうなるか楽しみだ。最高の結果になるよう祈って見守るんだ。彼に何ができるのかをね。」

 

こちらの方、最後の部分は自分に言い聞かせているようにトランプ大統領に対する期待…というか祈りを話していました。こうして話を聞いてみると、ロサンゼルス内でも抗議デモについては、二つの意見に分かれているようです。

 

またトランプ大統領をわりと好意的に見ている方もいました。

 

「トランプは興奮とサプライズをもたらしました。これからもっと驚かせてくれると期待しています。今までと違う流れになることはいいことですよ。これから彼が私たちの大統領なんです。彼は王さまではありません。この国にはきちんとした制度があります。例えどんな野望を持っていても好き勝手はできませんよ。でもアメリカを再び偉大にするというのはいいことだよ。」

 

うーん、そんな軽く受け止めちゃっていいのかなぁと気もしますが…。ただ実際こういった意見も一定数の方が持ってるんですよね。

インタビューではトランプ大統領に嫌悪感を抱いているため、そんな話など口にしたくないとノーコメントを貫く方も多数いました。そう言った方たちとの温度差もアメリカ国内では今後広まっていくんだろうなぁと思うと気が重いですね。

 

さらにインタビューをしに回っていると、ある若者たちがSNSで呼びかけている反トランプ抗議デモについて教えてくれました。彼らいわく、ツイッターなどの情報からデモに参加する人は多いのだとか。今はちょうど"女性たちの行進"というデモの呼びかけがされている真っ最中だとサイトを見せてくれました。そこで少し女性たちに意見を聞いてみることに。

 

「もし新しい大統領が強引に法律を変えたりしたら何百万人がこの国から逃げ出すことになるわよ。」

 

「自由なアメリカは終わりよ。女性への影響は本当に大きいわ。」

 

ホワイトハウスに女性を人間と認めない人が入るなんて、女性はアメリカ国民ではなく物として扱われている気分です。平等ではないんです。」

 

この女性差別を訴える意見が一番激しく非難されていたかもしれません…。特に若い女性の怒りが目立っていたように感じます。ロサンゼルスは一番反トランプ旋風が吹き荒れている場というのもありますが、選挙後の今もなおトランプ大統領を大統領と認めていない空気を広く感じました。

 

この町には年々ホームレスが増え続けています。その数およそ五万人。トランプ大統領は、この町の不満を打ち消すことができるのでしょうか?

 

 

テキサス州 ウェーコ

続いては共和党の強い、トランプ大統領が大差をつけて勝利した地域テキサス州へやってきました。ここでは選挙の翌日、ベイラー大学の黒人女子学生が白人男性に差別的な発言を浴びせられ、突き飛ばされた事件が起こりました。そんな暗いニュースについてどう思うか、キムズダイナーという食堂で町の人の本音を聞いてきました。

 

人種差別が多発する町

さっそく白人の方の意見を二つほど紹介します。

 

農業経営者
「結果にはほとんどの人が満足している。トランプ時代になってハッピーだよ。この国が再びよくなるためのスタートを切った。」

 

主婦
「今までの政治家と違って自分の望むことを語ってくれる。世直しが上手くいかなくてもいい。」

 

わかりました?恐ろしいですよね。特に主婦の方。世直しが上手くいかなくても、自分たちの不満を口にしてくれれば満足ってことですよ?実はテキサス州ではトランプ大統領に投票した白人の割合が69%もいた地域。彼らはトランプ大統領の非白人に対する過激な言動を支持しているのです。

 

では、ベイラー大学の事件について大多数の人は問題ないと考えているのでしょうか?偶然ベイラー大学の学生二人組がいたので話を聞いてみました。

 

(あの事件についてどう思う?)

 

学生①「すぐに皆で抗議運動をしました。最初は事件に対する抗議でしたが、次第に差別を助長するトランプ大統領の言動への抗議に発展しました。するとトランプ派の人たちと争いになってしまいました。」

 

学生②「民主主義が上手くいかなくなった気がします。勝者と敗者が反対し合ってばかりで平和的に解決できなくなりました。中立な立場の人間がいないのです。」

 

こちらは先ほどのロサンゼルスよりも、すでに派閥同士の温度差が広がっていますね。そして抗議が意味を為していないことまで行き着いているようです。この動きがアメリカ全土に広まった時、国はどうなるのでしょう。

合わせて非白人の方々の意見をご覧下さい。

 

「私のいとこがベイラー大学の事件と同じようなことを白人男性にされました。彼は"アメリカを再び偉大にする"とかかれた帽子を被っていました。」

 

「11歳のいとこが学校で白人の女の子とケンカした時に"あんたはどうせメキシコに帰るのよ"と言われました。」

 

「厳しい差別があった50年代は白人と黒人は同じ食堂には入れなかった。それが偉大なアメリカだと考えられていた。偉大なアメリカという言葉は豊かさだけでなく差別があった時代も連想させるんだ。」

 

子どもは一番本音を語ります。その子どもが考えなしに何気なく口に出してしまう言葉からアメリカの真実が浮き彫りになってくるのかもしれません。また、最後の方の意見は時代が完全に後退しかかっていることを指摘していますが、私も同感です。結局今までの"人種差別をなくそう"という白人らの姿はニセモノだったのでしょうか。

 

それでは最後に白人客に事件について話を聞いてみたいと思います。

 

(全米でヘイトクライムが増えているが…)

 

「それはマスコミや民主党のでっち上げだ!人種差別は選挙の前からあった。人種差別と選挙は関係ない!負けた悔しさで騒いでるだけ。警察に止められたら大人しくするどころか拳銃を奪おうとするやつらのすることだ。」

 

※この方はもっと酷いことを言っていたのですが、カメラの前では流すにたえない内容だったので少し省略しました。

 

「メディアは普通のことを書いても誰も見てくれないから、売り上げのために大袈裟に書くのさ。自分の周りでは世間で言われているような事件なんてないよ。」

 

この二つの意見はちょっと信じられないですね。ここまで人間言えちゃうものなの?ってショックです。一方は差別されるような人間に問題があると言い、もう一方は差別などないと言い切ってしまう。彼らが持つこの"差別の感覚"はやがて世界中の人種に対しても及んでいくのではないかと心配です。

 

インタビューの中では選挙後、熱心なクリスチャンだったのにも関わらず白人ではないだけで教会に行けなくなった方々がいたこともわかりました。牧師が突然政治の話をするようになり教会は白人で溢れていく中で、追い出されるような空気に耐えられず教会に足を運べなくなったそうです。アメリカがつくりたい世の中は強いアメリカなのか白人だけのアメリカなのか、読み違えれば大変なことになります。

 


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アリゾナ州 フェニックス

メキシコ国境に近いヒスパニック系の多い町アリゾナ州フェニックス。ここでは移民同士の激しい対立が起きています。驚くことにトランプ大統領に投票したヒスパニック系は31%。一体どのような理由が隠れているのでしょう。ラ・カナスタという食堂で人々の本音を探りました。

 

メキシコ国境の壁の町

まずは一番のテーマ不法移民対策について人々の声を聞いてきました。

 

義理の息子が不法移民の女性
「いつ何をされるのかわからなくて怖い」

 

夫が不法移民の女性
「夫は不法移民として追放され40年間の国外退去を言い渡された。もう二度と一緒に暮らせない。」

 

その他

・幸せな人生のためにアメリカに来た。それなのに今さら家族も友達もいないメキシコに帰れと言われても困る

・トランプは信用できない嫌い など

うーん…これに対しては違法だから何も言えないな。日本でも同じことが起きたら問題になるし反発もあるだろうし。

 

次は反対に国籍を持つ移民に話を聞いてみます。

 

クリーニング店を営む夫婦

奥さん「壁は絶対に必要。私の祖国アメリカを守りたい。私はアメリカで必要とされる人間です。」

 

旦那さん「他の国では今の地位は与えられていなかったでしょう。この国に住めて幸せです。」

 

奥さんの方はメキシコとの国境に壁が必要だとおっしゃっています。これは意外すぎる意見でした。アメリカ人になったとたんメキシコを見下すこの感じ…。そういうものなんでしょうか。おそらくこの層がトランプ大統領に投票したヒスパニック系の31%なんでしょうね。

 

トランプ大統領に投票したという男性

「アメリカには僕らがやりたくない仕事がある(きつい労働やサービス業)移民は金を稼げばいい。教育を受けた僕らが苦手とする労働力になってもらいたい。メキシコに全額仕送りするのはやめてアメリカ経済に貢献してほしい。」

 

残念ながら日本も将来に向けて段々と人手不足の職に対してはそうなっていくのかもしれません。移民問題は今後も世界的に大きな課題になっていきますね。これには正直何も答えがないです。

 

インタビューをしていく中であることに気づきました。それは移民の中には三種類のパターンがあることです。不法移民、国籍のある移民、そして一時的に滞在を認められている移民です。続いては中間の立場である一時的に滞在を認められている方に話を聞いてみした。

 

「五歳のとき両親にアメリカに連れてこられた。普通の高校に入ったけれど次第に自分が不法滞在者だと知った。でも今はDACAという特別な措置のおかげで大学に通えているし、就職もできる。」

 

DACAとはオバマ政権時代による幼少期に連れてこられた不法移民に対する特別延期措置のこで、犯罪などを犯さない限りは有効で、教育も受けられ就職も可能になります。しかしオバマ政権時代の政策をすべて見直す意向のトランプ大統領は今後こうした中間の立場の人々にとっては、どうなってしまうのか非常に不安であるそうです。

 

「これからどうなるのかわからない。姪に聞かれても答えられなかった。」

 

ダイナーで聞いたその他の意見

・ちゃんと法律はあるのに不法移民はそれを破っている。逮捕されるのは当たり前。

・ヒスパニック系だから、アメリカ国籍を持っていても、いつもパスポートを持ち歩いている。いつ職質されるからわからないから。

 

最後にネイティブアメリカン(先住民の末裔)の声を聞いて下さい。

 

「アメリカにいる人たちは誰もがアメリカの一部になりたい。移民たちはアメリカという幻想を抱いて泳ぎ回っている魚にすぎない。その魚たちは、それぞれ問題を抱えていて、いつ釣り上げられるかわからない。」

 

ネイティブアメリカンの方からしたら今のアメリカ人は皆移民です。そう考えると何だか今争っている事実がとても滑稽なことに思えてきます。

 

 

ミシガン州 ランシング

最後にトランプ大統領を生んだ町ミシガン州ランシングのリアルボイスを聞いてみたいと思います。ここはかつてGMことゼネラルモーターズで繁栄した町でもありますが、今ではその賑わいは見る影もありません。また、そうした状況に苦しむ多くの人たちがトランプ大統領を支持している場所でもあります。そこで大衆食堂フリートウッドダイナーに行き、夜勤明けのGM職員に話を聞きました。

 

 

労働者が期待する町

店に入ると、すでに夜勤明けの非正規雇用の方々が集まっていました。

 

(トランプ大統領について)

 

「トランプは中国やメキシコをやっつけてくれる!」

 

「仕事を奪ってきた中国にガツンと言ってやらなければならない。」

 

GMを解雇されてもこの仕事はずっと好きです。いつかまたGMで働きたいです。そのためにもトランプ大統領が必要です。」

 

「大企業がコストを抑えるためだけに外国に工場をつくるなんて許せない。仕事を奪わないでほしい。」

 

「四月に解雇されても仕事がない。」

 

「会社は少ない賃金でより多くの仕事をさせようとしている。家族との時間なんてとれない。」

 

出てくる言葉のほとんどが雇用に対する不安です。外国に職を奪われていることやコストカットによる度重なる解雇、昼夜問わない奴隷のような働き方…人々の切実な悲鳴がトランプ大統領に期待せざるおえない状況に陥っています。

 

ダイナーでの人々の様子を見ても格差がはっきりとわかります。正社員はビーフストロガノフを食べ、非正規はコーヒーをご飯代わりに飲んでいるのです。少しでも節約しないと生きていけない。正直アメリカはここまで酷かったのかと驚きました。

 

「困っているときに助けてくれる人はいない。」

 

「トランプに託している。彼に委ねるしかないんだ。」

 

トランプ大統領は彼らに対して助けを差し伸べるような発言をし、行動に起こしたようにも見えましたが、結局トランプ大統領の就任後もGMは予定通り社員を解雇しました。


ある日の朝方、ダイナーの玄関前では雪かきをする男性がいました。彼は会社を解雇された後行き場がなく、職を得るには自主的にこうしてアピールするしかないと言います。

 

また、店内には今日が最後の勤務だからお祝いにと安いハンバーガーを一口一口ゆっくり噛みしめて食べる人がいました。

 

ドナルド・トランプ。彼はこれから自分に将来を委ねた国民たちの期待に応えることができるのでしょうか。

 

 

感想

アメリカといっても州によってこんなに意見や背景が違うとは思いませんでした。特にミシガン州の件については深刻さを感じましたね。彼らの多くが生きるためにトランプ大統領を選らんだのですからね。偉大なアメリカとは何なんでしょう?何が豊かなら幸せなのでしょう?

 

これだけの人種が集まれば意見も多様です。それをまとめ先陣を切るのが大統領の役目です。今後アメリカ国民にとって素晴らしい世界が待っているのか、そうではないのかわかりませんがトランプ大統領のつくるアメリカ合衆国を見守りたいと思います。

 

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