関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅【ポルトガル】
ここ最近ポルトガルに関する記事が続くな…。
まぁいい。
いざ、10日間1800kmの旅スタートです!!
ポルトガルは日本の4分の1ほどの大きさ。今回はポルトガル北部のヴァレンサ~南部のラゴスまで巡ります。さっそく旅の始まりヴァレンサ駅へ。
【ヴァレンサ】
まちの中心にある商店街に行くと生活用品ばかりがズラリと並んでいます。
関口さん「まったく観光客向けの商品ではない!」
実はここヴァレンサはスペインと国境が近く、スペイン人向けの生活用品がたくさん売られているとか(ポルトガルの方が安いので人気)
国境が近いからと気軽に散歩がてら行き来する人も。面白いですね。
そんなヴァレンサからいよいよ国営ポルトガル鉄道でバルセロスへ!
【バルセロス】
街にはニワトリ像がたくさん!ポルトガルといえばカラフルなニワトリ!150年前からニワトリを作っている工房へおじゃまします。
迎えてくれたのは家族でニワトリ作りを営むコンセイサンさん。子どもの頃は貧しくて自分で作った人形で遊んでいたそう。
かつてこの街には大きな産業がなく、お金のかからない人形作りをするようになった歴史があるのです。
コンセイサンさんのお母様もまた人形作りで行商をしていたらしく、彼女もその伝統を引き継いでいるのです。
そしてご家族が守ってきたニワトリの置物は幸福を招くシンボルとしてポルトガルで愛されている大切なものなんですね。
さて続いてはポルトガル第2の首都ポルトへ向かいます。ポルトはポルトガル発祥の地で、国名の由来にもなっています。
ポルト・カンパニャンからポルト・サン・ベントと乗り継ぎポシーニョ駅へ。
【ポシーニョ】
ポシーニョで降りると車窓から見えたドウロ川とブドウ畑へ向かいます。今はちょうど収穫中。このブドウからポートワインができるのです。
現地の方にお話を聞くと実はこの近くでは、かつてダムをつくる計画があったのですが、急きょ2万5千年前の壁画が見つかったためダム建設反対運動がおこり中止になった過去があるのだとか。
街の人々にとってダムは経済発展のために必要なものではありましたが、それ以上に守りたいものが壁画だったそうです。
何かコレって日本人にも通じる心ですよね。
そんなポルトガルの歴史を尊ぶ心を共有した後は乗り換えでポルトに戻りエインブラへ。
【エインブラ】
ここにはヨーロッパで最も古いエインブラ大学があります。昔は世界の最先端に立っていた国ですもんね。
するとカッパという伝統衣裳のマントを着て歌うトゥナを楽しむ大学生たちが!
若者も伝統を引き続き愛しているんですね。いいな。こういうの。
さらに建物の至るところになぜか"共和国"の看板が。近くにいた学生に尋ねるとどうやら学生寮のことでした。
ちなみに学生寮(共和国)のルール
①男女共同生活
②リーダーを決めない
③個人の自由を尊重
中でも絶対的なルールは
「全員一緒に食事!!」
この食事中に互いの悩みを相談することが大切とか。うわああコミュニケーション嫌いな日本人には厳しそう(笑)
寮を後にしたら次の目的地に向かうためコインブラB→エントロンカメントと列車を乗り継ぎカステロ・ブランコへ。
【カステロ・ブランコ】
最もポルトガルらしい街と呼ばれるモンサント村へ。
ここはかつて巨大な石で要塞を造っていた都市で、各家には岩がめり込んでいます。
現在街はすっかり廃れ、お年寄りばかり…。悲しい。
そんな中ジョアンさんという1人の若者に出会います。彼はリスボン出身でありながら、このモンサントの石でできた家に魅せられ、なんと石の家をホテルに改装しちゃったとか!
今では企業家のジョアンさんでしたが、余所者が村に入って仕事をするには苦労したみたいです。凄く良い方だったので頑張って繁盛して欲しいです。
旅はもう5日目。エントロンカメントに戻り、サンタレンへ向かいます。
エントロンカメント駅に行ったらSLを発見した関口さん、近くにあるエントロンカメント鉄道博物館に寄り道。
ここではヨーロッパでも珍しい列車が多く展示されており、ヨーロッパ唯一の王室列車(19世紀ポルトガル王室用)や大統領専用列車なんかもあります。
大統領専用列車は一度バラバラに解体されたものの市民による列車復元プロジェクトにより当時の姿に再現されました。
ん~こういう歴史を守るための市民の行動力ステキ!
【サンタレン】
寄り道しましたが目的地のサンタレンに到着です。
ここでは巨大な塩リウム?に立ち寄ります。
実はこの一帯は大昔は海だったため地下に塩を多く含む地層があるんです。それを井戸からとって干して塩を作っているのです!
リオ・マイオルと呼ばれるこの塩は全て手作業。お値段も高額。しかしとっってもおいしいみたいです。
旅はいよいよ後半!リスボンへ。
【リスボンオリエンテ】
6日目、関口さんはリスボンを巡ります。
カルモ教会という屋根のない教会を見つけます。
なぜ屋根がないのか…それは1755年に起きたリスボン大地震が関係しています。
この大震災により建物は破壊され、6万人が亡くなったと言われています。その後はきらびやかだったポルトガルも衰退の一途を辿っていきました。
この屋根もその大震災の傷跡です。決して日本人にも見過ごすことのできない場所かもしれません。
その後関口さんはギター作りの名人カルドーゾさんの元へ行きます。
12本の弦でできたポルトガルギターを見せられ欲しくなるも約60万~という値段を見て諦めましたが、結局他の楽器店で購入。そして夜はファドの店で音楽を楽しみワイワイというエピソードを挟みリスボン・ロシオ駅へ。
※ファド…民族歌謡「宿命」という意味
リスボン・ロシオ→ミラ・シントラ・メレサス→カルダス・ダ・ライーニャを乗り継ぎナザレ・アルコバザへ。
【ナザレ・アルコバザ】
漁師の街ナザレを歩いていると頭上に洗濯物をいれた桶を乗せた民族衣裳を着たオバサンたちに遭遇。なぜか拉致られ山に連れていかれた関口さん。
すると小さな泉が。
実は今もこうした自然の水でシーツ類などかさばるものは洗濯しているんです。
なぜかというと、まだ水道もない時代夫が漁で留守にしている間、女が家を守るわけですが、女性陣は家事の合間に洗濯場などで歌や踊りをしてのびのびとしていたらしく(笑)その名残があるんだそう。
ファンタスティック!皆さん楽しそうで何より。
さぁ旅も終盤の8日目。
ここからはリスボンオリエンテ駅に戻り、そこからエヴォラへ向かうポルトガル南部の旅になります!
【エヴォラ】
真っ赤な木々がたくさんあるなぁ~と林の奥へ進むと斧で木の皮を剥がしているオジサンが。
実はこれコルク。コルクに使う皮を剥いでいました。
木が赤いのは皮を剥いだため樹皮が色づいたからだったんですね。
9日目。ピニヤルノヴォ→南部最大の都市ファロを乗り継ぎます。
ここで列車を待つ間に関口さんがポツリ…
「日本以外のどこかの国に住むとしたらポルトガルだなぁ。」
今回の旅がいかに充実していたかが伺えますよね。でも確かにポルトガルは日本と同じ心を持っている国。遠い昔の歴史が繋いでいるのかな?という部分があります。
最後の乗り継ぎをアルゴス駅で終えたら、いよいよ終着、ラゴス!!!
【ラゴス】
真っ先に向かうのはサグレスの岬。
大航海時代の要塞の地で関口さんは旅の感想を綴ります。この旅で買ったポルトガルギターで作ったファドと共に。
「この国には時代をやり終えてしまったような感じがある。これは大人じゃないとわからないかも。」
ヨーロッパってどこか新しいものを嫌うところがあるのですが、ポルトガルはそれとちょっと違うんですよね。
国民性も温かくて、自国に今も昔もずっと誇りに思っていたり。
変わることを怖がるんじゃなくて、古さから学ぶことを知っている。
そんな気がしました。
ポルトガル人が愛するファドの歌詞にもそれがたくさん伺えます。
私も日本の童謡や民謡から感じる心を改めて確認し、こんな時代だからこそ大切にしたいと思いました。
食事もおいしいポルトガル。ヨーロッパに旅行を考えている方はいかがですか?
以上、BS番組レポートでした。
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