オオカミのとおぼえブログ

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2020TOKYO みんなの応援計画 87歳のサムライガイドなど

2017年2月24日にNHK Eテレで放送された「2020 TOKYOみんなの応援計画」のまとめと感想になります。

 

あらすじ

2020年の東京オリンピックまであと3年と気運が高まる中、その日に向けて動き出している様々な人たちの取り組みをご紹介します。今回はサムライ姿で京都を案内する87歳のジョーさん、初めて漢検1級に合格したアメリカ人、そして世界に盆栽の魅力を伝える親方の以上3名に密着しました。

 

 

1 京都の名物サムライガイド
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とある日のAM10:00、京都市役所前。そこに一人の男性が現れた。立派なひげにちょんまげ、そして侍の格好をしたその人物の名はジョー・岡田(87)。彼は京都で外国人観光客向けに"クール・京都・ウォーキング・ツアー"なるものを行うツアーガイドをしている。このツアーは京都市役所~出町商店街までの5kmを5時間かけてひたすら歩くというもの。この日も6ヵ国から12名の参加者がおり、たいへん人気があるツアーのようだ。

最初に一行が訪れたのは自転車の駐輪スペース。毎月2,800円払えば駐輪場をレンタルできるという機械式の地下駐輪場だ。いかにもな日本的テクノロジーに興味津々な参加者たちはガイドブックには載っていないスポットに喜び写真撮影をして満足そうにしていた。

続いてやって来たのは寺町通り。ここでは古書店で掛け軸を見たり、老舗の墨屋で書道教室を楽しめるしくみになっていた。ここで面白いのが、古書店では真面目に日本文化を学べるのに対し、墨屋の書道教室ではジョーさん直々の指導のもと、一人一人が日本語で自分の名前を書き、下手だと容赦なく「B-」という評価をもらえるというシュールな体験ができることだ。こうした参加型・体験型ツアーもこのツアーの特徴であり、外国人観光客の間では人気らしい。

ちょっと小腹が空いたのでしばしの休憩を兼ねて、いなり寿司ならぬ"いなり串"を食べることに。実はこれもジョーさんがツアーのために予めお店に頼んで用意した特別メニュー。また、ちゃんと喉を潤すために日本酒まで用意してあるという心遣いだ。

 

ジョーさんは戦後まもなく米軍キャンプで働いており、そこで出会ったアメリカ人夫婦に気に入られ、彼らと一緒に渡米した。そこでは運転手として働き、帰国後は通訳案内士の免許を取得した。最初は大手旅行会社の専属ガイドをしていたのだが40代で独立し、現在に至る。侍の格好をしているのは、アメリカにいた当時、たくさんの人から侍について聞かれたため、こうした人々の関心に応えたいと思ったから。ちなみに現在このツアーのプログラム中にもジョーさんによる成功率8割の"空中リンゴ切り"という刀さばきを披露するコーナーがある。

京都御所を観光し、時刻は早くもPM3:00。ツアーの最後はみんなで食事をとって終了になるのだが、何とこの日、ジョーさんはごはんを注文し忘れてしまい慌ててスーパーに駆け込んだ。用意したのは寿司と商店街の方が作ってくれた揚げたてのコロッケ、そしてビール。ベジタリアン用には野菜のみを使用した太巻きもある。

最後は酔っぱらっていたこともあり(?)少々ミスもあったが何とかギリギリセーフで無事にツアーは終了した。そして参加者たちの感想からは好評さが窺えた。

そんなジョーさんの目標は、2020年東京オリンピックまで現在の状況をそのまま保持して、ツアーを行うこと。

 

~ちょっとどこか自由なジョーさん。ツアーのおわりは商店街の真ん中で三三七拍子をして解散するんですよ。面白いですよね。お酒はほどほどにしてこれからも長生きして頑張って欲しいです!~

 

 

2 漢検1級 漢字オタクのアメリカ人
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静岡県浜松市にいる強烈な漢字オタク、ブレット・メイヤー。彼は合格率1割以下の漢字検定1級をアメリカ人で初めて合格した強者だ。突然だがあなたは次のカタカナを漢字で書けるだろうか?

 

ショウジョウヒの衣装が美しい。

 

私はそもそもショウジョウヒの意味すら知らない。なんとなくキラキラした星っぽいイメージだろうか…と思っていたが正解は微妙に近く「猩猩緋」と書くらしい。ショウジョウとは架空の赤毛の猿のことで、緋とは赤色のことを言うらしい。つまり猩猩緋とはワインレッドに似た赤のことを意味する。こんな問題をスラスラ解き、説明していくメイヤーさん。彼はなぜこんなに漢字に詳しくなったのだろうか。

メイヤーさんは子どもの頃から大のアニメオタクで日本に興味を持っていた。大学時代には来日し、多くの日本文化に触れたその中で、出会い魅了されたのが漢字だった。すっかり漢字にハマったメイヤーさんは猛勉強の末、4年前に漢検1級に合格。今では「漢字はアート」と話し、昨年には外国人向けの漢字解説本を出版したり、漢字の素晴らしさを伝える役目として、ラジオでは"声だけで漢字の魅了を伝えるコーナー"を担当したりとその活動の幅を広げるまでに至る。

1月某日。メイヤーさんはこの日、外国人に日本語を教えるボランティアに向けての講演会を行っていた。ここでは外国人に漢字を教える方法をレクチャー。その内容はとても独特なものだった。例えば「敬虔(けいけん)」という漢字を覚える時に、ストーリーを浮かべるという考え方を用いると暗記が楽になると言う。敬虔の虔という字には虎と文という字が合わさってることから"あの虎は文字が読めるの?尊敬する!"という風に覚えれば外国人にとっては学びやすいという日本人からみたら思いもよらない斬新な発想だ。

メイヤーさんがここまで熱心に活動する目的には、外国人は漢字が大好きだけど変な意味のタトゥーを入れたり、Tシャツを着たりしているため、彼らがきちんと欲しい意味にあったものを選べるように自らの知識を生かしていきたいという思いがあるからだ。

 

~ここまで一つのことに夢中になれるのは素晴らしいことだと思いますね。もちろんその努力も。ちなみにメイヤーさんは手裏剣打検定の下忍も取得しているそうです。今後のさらなるご活躍を期待しています!~

 

 

3 世界のBONSAI親方


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東京都江戸川区。そこには外国人から人気の盆栽美術館がある。ここにはおよそ1000鉢の盆栽があり、一番高いもので1億円の価値があるという。親方の名は小林國雄。園芸農家に生まれた小林さんは20代の頃、盆栽の世界に魅了されたことから独学で盆栽を学び、41歳の時には内閣総理大臣賞を受賞したというまさに盆栽界の巨匠だ。今では海外で多数の講演を手掛け、自身の教室には世界各国から弟子や生徒が集まっている。

小林さんの1日はAM5:00から始まる。早起きをして初めに行うのは薪割りだ。寮生活をする弟子たちのために部屋を暖めるのだ。

AM10:30 弟子たちが起床し全員で朝食の準備をする。このように生活を共にすることで日本文化に大切な"気配り"を学んで欲しいという狙いがある。

朝食後はいよいよ教室のスタート。日本のわびさびを通訳を通し、言葉と実践で学んでいく。盆栽に必要なのは長い風雪を耐えた心を表現すること。余分な枝を切り取り、針金でうねりを出すことでそれらを生み出していく。こうした作品は長い年月をかけて草が生え、形を変え、完成されていくため自然そのものの美を感じる心を持つことを何よりも学ぶ必要があるようだ。

ちなみにここでの修行を終えると作業場に自身の名前が書かれた板を掲げてもらえるが、その逆は波紋と書かれたコーナーに名前が載ってしまうので入門したい方は覚悟をした方がいい。

そんな小林さんの目標は東京オリンピックで盆栽を飾り、独特な日本のわびさび、日本ならではの文化を選手に見てもらうことだ。

 

~確かに盆栽はオリンピックの緊迫した空気の中で、自然の持つ強さや威厳を放って選手に良いインスピレーションを与えてくれるかもしれませんね。そんな小林さんの思いが届くことを願います!~

 

 

感想

今回紹介された3つのストーリーはどれも面白かったです。サムライガイドのジョーさんはビール片手にツアーしていたり、87歳で5時間歩き回ったりと何ともタフすぎて凄いと思いました。でもいいですよね~元気なおじいさんって。私が同じ年だったらきっとそんなに歩けないだろうし、そもそも80まで生きれるんだろうかというレベルです。目標を持って、日々刺激を受けている人は、自らの人生を存分に謳歌できているからこそパワーに溢れ、輝いているんだろうなぁと感じました。好きなことをとことんやるということは一番の健康の秘訣かも。

 

また漢字オタクのメイヤーさんにも同じパワーを感じました。私なんて漢検といえば学生時代に取った準2級だけですよ(笑)しかもその動機は内申書に何か書ける資格があると良いという典型的なあるあるパターンで取ったもの。しかも携帯やスマホが出てきてからは日本人なのに漢字なんて凄い勢いで忘れてますから!私よりメイヤーさんや厚切りさんの方が詳しいんじゃないかと思われます。

メイヤーさんを見て私には、何か好きなもののために受けた資格なんてないなーと、ちょっぴし思いました。一度江戸時代についての検定を受けてみようと思ったこともありましたが、教材を集めるのが面倒で辞めちゃったんですよね。だから好きなものがあって、それにとことんハマれる行動力って羨ましいです。

 

盆栽の小林さんも独学で盆栽学んであそこまで花開くなんて、やはりこれも行動力なんだなと決定的に思いました!ここの美術館って以前Youは何しに日本へ?で紹介されていたところですよね?多分。日本文化を伝える仕事ってとても魅了的で、その度に自分も何かを伝える人になりたい!と思いますが、いつも思うだけで終わっちゃうんですよね。そこが成功者と凡人の違いか、なんて(笑)いやいや、でも今回そんな小林さんや、87歳でも頑張るジョーさん、異国から本国の人間より漢字を極めたメイヤーさんを見て少しは何かをチャレンジしてみるのもこわくはないのかも?と思ったので、まずはその気持ちを大切にしていきたいですね!

そんな風に考えたら目標を立てたくなりました。何をどうしようか…まず探すのも目標です。漠然と何かをしたい時や頑張っている人を見て自分も変わりたいと思ってる人がいたら一緒に頑張りましょう!

 

おわりに、2020年、東京オリンピックに向けて動き出している人たちの夢が叶うよう応援しています。ファイトー!

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

脳を切る悪魔の手術ロボトミー【フランケンシュタインの誘惑】

2017年2月23日にBSプレミアムで放送された「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿▽脳を切る悪魔の手術ロボトミー」の感想とまとめになります。

 
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脳を切った男

今からおよそ80年前、ワシントンD.C.にあるジョージ・ワシントン大学病院で歴史的な手術が行われた。脳にメスを入れ、精神疾患を治療するという手術である。患者の病名は「激越型うつ病」、これは激しい不安に襲われ取り乱す病で、暴力をふるったり、自殺の衝動にかられたりする深刻なものであった。手術は患者の測頭部に穴を空け、長いメスをさしこみ脳の一部を切り取るといったもの。手術後、目覚めた患者は別人のように穏やかになり、すぐに退院していった。

この手術を執刀したのは精神科医ウォルター・フリーマン。彼はその後、数千人の脳を切ることになる。

 

 

祖父に憧れて…

1895年、フィラデルフィアの医者一族の長男として生まれたフリーマンは、世界初の脳腫瘍摘出手術に成功した脳外科医であり祖父でもあるウィリアム・キーンに憧れ医学の道を志した。フリーマンは名門エール大学を卒業すると医学学校へ進み、精神医学を専門として選んだ。当時、精神疾患は原因不明で治療法もほとんどなかったため患者は一度入院すると、なかなか退院できないことから病院は"絶望の施設"と呼ばれていた。

さらに行われていた治療といえば命の危険にあるものだった。頭部に高電圧の電流を流す"電気ショック療法"は激しい痙攣を引き起こすため背骨を折る患者もいた。また、マラリアにわざと感染させて高熱を出させる"マラリア療法"などもあり、それらのどれもが荒治療ばかりだった。

1924年、フリーマンは28才の若さでアメリカ最大の精神病院セント・エリザベス病院の研究所長に大抜擢された。祖父の期待に応えるためフリーマンは精神疾患の治療法をさがし続けた。脳に異常があるに違いないと睨んだフリーマンは死亡した患者の脳の解剖に明け暮れたが、特に異常は発見されなかった。

 

 

悪魔になるまで

1935年、ロンドンで行われた国際神経学会がフリーマンの人生を大きく変える。チンパンジーの脳の一部を切ると凶暴性が治まると発表されたのだ。すると神経科医のエガス・モニスが「その実験を応用すれば人間を救うことができるのではないか」と質問した。

翌年モニスは精神疾患を抱える患者20人の脳の一部を切ったと発表。これが精神外科の始まりとなった。モニスの論文によるとおよそ7割の患者が治ったか改善に向かったと報告されていたことからフリーマンはその手術にいち早く飛び付いた。

 

 

ロボトミー

1936年9月、フリーマンはヨーロッパから手術器具を集めると、さっそく手術に取りかかった。4ヶ月で6人に脳手術を行った結果、6人のうち3人は退院し、社会復帰を果たした。フリーマンがこの手術につけた名前は"ロボトミー"前頭葉を意味するLOBOと切るを意味するTOMYを合わせたラテン語由来の言葉だ。フリーマンはメディアを積極的に利用し、この手術を広めていった。患者は次々とフリーマンのもとを訪れ、ジョン・F・ケネディの妹ローズマリーも彼の患者の一人だった。

1945年、第二次世界大戦終結すると戦いで精神を病んだ患者たちで病院は溢れた。フリーマンはこれをロボトミーの普及のチャンスと捉えていた。

1946年、フリーマンは改良型ロボトミーを考案。それはアイスピックによる手術で、今朝入院した患者でも明日には退院できるというものだった。麻酔の代わりに電気ショックを使い昏睡状態にした後、目の裏側にある頭蓋骨の一番薄い部分に向けてアイスピックをさしこむ。そこから脳に分け入り神経組織を掻き切るのだ。所要時間はわずか10分足らずの実に簡単な手術だった。フリーマンはロボトミー普及のため全米各地でこうした手術を公開しに行った。その数は23の州で55の病院にまで及び、フリーマンとロボトミーの名前は瞬く間に全米各地に広まっていった。

 

 

失敗と言い訳

1949年になるとエガス・モニスがノーベル生理学・医学賞を受賞し、ロボトミーは世界が注目する治療法となり爆発的に広まった。しかしそんな喜びもつかの間、フリーマンとロボトミーに暗雲が漂い始める。何と手術による重篤な副作用が問題化したのだ。

 

ケース1

キャロル・ダンカンソンさんの母親アナ・ルースさんは偏頭痛に悩まされ、フリーマンのロボトミーを受けた。母親は活気に溢れ美しく、学生時代は成績も良く記憶力に優れ数学も得意だった。しかし、病院から帰ってきた母親は変わり果てた姿だった。トイレも自分で行けず、感情のコントロールも不能。情緒不安定になり、身なりも構わなくなった。

何より問題なのは、こんな状態になってもフリーマンは「頭痛は消え、痛みの不安はなくなった」と手術は成功し、約束通りの結果を出したと言うことだった。確かに頭痛は消えたがその代わりに、母親は家族と離れて暮らすことになり人生の多くを犠牲にした。

 

ケース2

家族に知的障害を疑われロボトミーを受けたローズマリーケネディも手術後、重い副作用に苦しみ老後施設に入った。彼女は死ぬまでの60年余りをここでひっそりと過ごしたと言う。

 

フリーマンの失敗はこれだけではない。

1954年、抗精神病薬クロルプロマジンがアメリカで認可され、ロボトミー同様の効果が得られることがわかると年間200万人が服用するほど広まった。一方フリーマンはというと、ロボトミーの対象を広めることに躍起になっていた。とにかく手術数を増やすため、ついに子どもにまで近づいていたのだ。

 

ケース3

12才のハワード・ダリーくんは父親の再婚相手と折り合いが悪く、暴力的なふるまいをすると継母にフリーマンのもとへ連れてこられた。するとフリーマンは彼女の言い分のみで統合失調症と診断し、ハワードくんはロボトミーを受けることになってしまった。

当時の少年ハワード・ダリーくんは現在68才になっており、今回番組の取材を受けてくれた。ロボトミーを受けてから50年余り経つ今はバスの運転手をしていると言う。

「手術前に受けた電気ショックがとても怖かったことを覚えています。でもそのあとはよくわからなかった。とても目が痛かったのですがなぜなのかわかりませんでした。霧の中にいるようでぼんやりしていたのです。」

この手術を受け、ハワードくんが大人しくなったと判断したフリーマンは、彼を連れてその成果を発表する。しかし、そこで待っていたのは非難の嵐だった。

「まだ子どもじゃないか!」「恥を知れ!」「医者失格だ!」

 

ハワードくんの当時のMRI画像を見ると前頭葉の一部に穴が空いていた。手術後、養護施設を転々とし、ホームレスになったこともあると言う。

ロボトミーを受けてから精神的に弱く傷つきやすくなったと思います。何をするにも意欲が無くなりました。特にそれを感じます。今でも人生をよりよくしたいと思ってはいるのです。でも長続きしません。すぐに諦めてしまいます。」

 

 

暴走の行く末

フリーマンが全米にロボトミーを広めた結果、ロボトミーは暴走を始める。反社会的人物を矯正するという目的で犯罪者や同性愛者にまでロボトミーが行われた。

しかし、その暴走は長くは続かなかった。フリーマンとロボトミーの実態が1962年に発表された小説ケン・キージー著「カッコーの巣の上で」で告発されたのだ。この小説は映画化され、アカデミー賞の主要5部門を独占。人間性を踏みにじるロボトミーの恐ろしさが世界中に知れ渡った。

 

 

犠牲から生まれたもの

1953年、ある手術の失敗が脳の解明を推し進めた。てんかん発作を繰り返していたヘンリー・モレゾンもまた、脳の一部を切り取る手術を受けた。手術後、発作は治まったが重大な記憶障害になってしまう。言葉や知能に問題はないが、今日の日付が覚えられなくなっていた。

彼が受けた手術は前頭葉を切るロボトミーとは違い海馬を切るものであった。1955年、脳科学者のブレンダ・ミルナーがモレゾンのもとへやって来た。彼女がモレゾンに自己紹介をすると彼は「誰かの役に立てることが嬉しいんですよ」と答えた。

ミルナーはまずモレゾンに5、8、9という数字を覚えるように言うと、彼はそれらを復唱することができた。次に先ほど自己紹介したミルナーの名前を聞くと、答えることはできなかった。しかしミルナーが「カナダ」という単語を口にするとモレゾンは「カナダのトロントに行ったことがあります」と話した。この調査の結果、モレゾンには少し前の記憶は15秒しか残らないが、古い記憶はあることがわかった。また、新しい記憶には海馬が必要だということもわかったのだ。悲しいことに、それは手術の失敗により新たな医学の進歩が生まれた瞬間だった。

その後もモレゾンのもとには100人以上の研究者がやって来た。その度に彼は「誰かの役に立てることが嬉しいんですよ」と繰り返した。

 

 

恐怖のおわり

カリフォルニア州にあるへリック記念病院は1960年代にフリーマンの行うロボトミーを唯一許可していた病院である。しかし1967年の2月にロボトミーを受けた患者が死亡してから病院は許可を取り消し、フリーマンのロボトミーは終わりを迎えた。それから5年後、フリーマンは癌により76才でこの世を去った。

フリーマンの死から8年後の1980年。精神疾患について初めての客観的な診断基準が作られた。それは現在でも使用され、その診断基準の中心となっているのは病特有の症状だ。例えばうつ病は激しい体重の変化や睡眠の量などを医者が問診や観察で見極めて診断を下す。しかし、未だに科学的救命には至っていないのが現実である。

 

フリーマンはロボトミーを失った晩年の1968年に再び旅に出た。診療所を閉鎖し、家を売り払った金を旅費に当てた。目的は元患者を訪ねる旅だ。6ヶ月に及んだ4万キロの旅で600人以上の消息を確認、その中で230人が退院していたことがわかると、結果を得意気に論文で発表した。しかし、それに興味を示すものなど誰もいなかった。

 

旅の途中、気分が高揚したフリーマンは日記にこう綴った。

 

"アクセルを踏みたくて足がムズムズする。疲れや空腹などお構いなしに走り続けられる。"

 

 

感想

2、3日前に前回の記事をツイッターでいいねして下さった方がいて、それを見たこの番組のプロデューサーさんからまたしても「ロボトミー見てくださいね」的なメッセージを頂いたので嬉しくてブログに書いちゃいましたよ。嬉しいです。

さて、番組の感想ですが私にはこのフリーマンさん自身が心に闇を抱えていたように思えてなりません。精神科医を選び、あの異常なほどの患者を"治してあげたい"という気持ちは医師としては立派だけど、実際は病に対する苦しみがわかるからこそ、その思いが強かったんじゃないのかなという気がします。

彼は幼少期から孤独と共に祖父に対するコンプレックスのようなものを抱えていました。それはいつしか自身を縛り付け、あってはならぬ方向へ暴走してしまいます。

ロボトミー普及のために全米を飛び回った際に"ロボトモビル"と自ら名付けた車で移動していたフリーマン。彼の脳に対する執着はある意味誰にも理解されない、目には見えない病だったのでしょう。

現代社会では心の病を患っている人はとても多いです。そこには、こども~大人まで年齢関係ありません。これは時代のせいなのか、診断基準のせいなのか、他の何かか、わかりませんが体の病にしろ心の病にしろ健康な状態より生きにくいのは確かです。

そもそも心の病という言い方も適切ではないでしょうね。心という言葉を使うと感情的なイメージが先走り、患者にとって理解とは遠い偏見を抱かれやすいのかもしれません。

現段階では、精神疾患に対して、その原因はまだまだ解明されていないため一般的な病気との認識の差に開きがあります。例えばどこかで殺人事件が発生し、逮捕された犯人に精神疾患があった場合、犯行理由は病気のせいだと繋げることも珍しくありません。そういった話が広まれば精神疾患イコール危険だと間違った考えを生み出してしまう恐れがあります。しかしながら世の中の多くの犯行は病気とは無縁の人間が行ったものです。社会に間違った情報が流れないためには、まずは病気を知ることが大切だと思いました。社会の理解という行為だけでも患者にとっては治療法のひとつなるのではないでしょうか。

アメリカでは強迫性障害の患者のみにガンマナイフによる治療が認められているそうです。しかしこの治療では20人に1人が重篤な副作用を起こす危険性もあり、十分な治療法とは言えません。科学は失敗の繰り返しから生まれますが、医療に失敗は許されません。「どうなるかわからない」うちは簡単に広めてはいけないものです。しかし、医師たちの治したい、救いたいという気持ちから数々の治療法が発見されていることも事実です。

もちろん患者は実験台ではありませんが、何かの発見の裏には何かしらの犠牲が生まれて成立しているということを私たちは忘れてはいけません。

 

ロボトミー、ある人たちの人生の大半を奪った悪魔の手術。そこには人間社会全体の深い闇が隠されていました。

 

 

 

中国王朝 よみがえる伝説 悪女たちの真実 楊貴妃

2017年2月22日にNHKBSプレミアムで放送された「中国王朝 よみがえる伝説 悪女たちの真実 楊貴妃」のまとめと感想になります。


 
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楊貴妃の誕生

楊貴妃の名は玉環といい、蜀の国(現在の四川省)で下級役人の娘として育ちました。やがて玉環は成長すると、都 長安の近くの大都市で踊り子になります。その美貌はたちまち評判となり、皇帝 玄宗の妃 武恵妃の目に留まると、宮廷に入り、17才の若さで武恵妃の息子寿王の妃となりました。しかし息子の妃のあまりの美しさに惹かれた玄宗は息子から玉環を奪ってしまうのです。この時、玄宗は60才で玉環は26才。玉環は間もなく貴妃という称号を賜り、"楊貴妃"と呼ばれるようになりました。

 

 

妃の美貌に溺れる日々

当時の長安は100万人近くが住む世界最大の都市でした。シルクロードとの交易で経済は繁栄し、文化面でも絶頂期を遂げ李白杜甫などの詩人が活躍しました。

楊貴妃は躍りや歌が上手で頭の回転も早く、気配りも人並み優れていたと言われています。楊貴妃はこうした皇帝を楽しませる芸術の才能を持ちながらも、巧みな気配りで人を惹きつけることにも長けていたのです。すっかり愛欲に溺れた玄宗は次第に政治を疎かにするようになっていきました。

 

 

この世を謳歌する楊一族

楊貴妃玄宗の寵愛を得たことで彼女の一族も次々と取り立てられました。3人の姉は高い地位を与えられ、皇帝から豪華な屋敷を手に入れると、贅沢な暮らしを送るだけに留まらず、宮廷の人事にまで口出しするようになりました。さらに一族の男たちも宮廷内での要職を得ていき、その中でも楊貴妃の又従兄弟にあたる楊国忠は宰相にまでのぼりつめました。何とこの楊国忠、故郷では賭博に明け暮れてばかりの男でしたが、皇帝に取り立てられてからわずか7年で宰相になると、宮廷内を牛耳り出し、賄賂で私腹を肥やすようになります。

こうして権力を欲しいままにする楊一族。しかし、755年、大きな反乱が起こります。"安史の乱"です。楊一族を除けと兵をあげたのは武将 安禄山長安を陥落させると自ら皇帝を名乗り一時期唐を支配します。繁栄を極めていた都 長安はあっという間に荒れ果て、その光景を前に杜甫はあの有名な詩をうたいます。

国破れて山河在り
城春にして草木探し

都の荒廃を嘆く杜甫は反乱までの経緯を振り返り、原因は楊貴妃にあったと厳しい目を向けたのです。

 

 

破滅への幕開け

実は玄宗が幼い頃の宮廷は激しい混乱の中にありました。君臨していたのは中国史上唯一の女帝 則天武皇。彼女は息子の中宗から権力を奪い皇帝となっていました。彼女の死後、今度は中宗の妃 韋后が中宗を毒殺し権威を奪おうとします。これに対し玄宗のおば太平公主が韋后を殺害。女性たちが皇帝を蔑ろにし、権力争いを繰り広げた中、その混乱を父と共に収めたのが玄宗でした。

この事件をきっかけに女性を恐れた男性たちは「男子居外 女子居内」つまりは"男に外を任せ、女は内を守るべし"という儒教の考えを国に深く根づかせていくことになります。これが後に国を破滅する要素となり得るとは知らずに……。

 

 

安禄山楊国忠

楊貴妃玄宗の運命は安禄山楊国忠という二人の人物によって大きく変わりました。まずは安禄山の歩みから見ていきます。

 

安禄山

安禄山はもともと玄宗の宮廷につかえた軍人でしたが、その執事が唐書に"胡人(以下ソグド人)"と記されています。唐はシルクロードを通して東西の交易が栄えた時代でした。長安から西は遥かローマまで続くシルクロード。その中継点であるサマルカンドなど中央アジアで活躍したイラン系の民族がソグド人です。近年、西安では様々な遺跡からシルクロードにかかわる物が発掘されているそうです。こうしたことから、最近の研究ではシルクロードの交易を支配していたのはソグド人だったと言われています。

では安禄山が実力者となった理由は何か見ていきたいと思います。その背景には玄宗がとった異民族政策にありました。唐は建国以来、異民族の侵入に悩まされていました。それに対処するため玄宗が注目したのが国境をまもる軍司司令官"節度使"です。これに漢民族だけでなく、軍司に秀でた異民族も登用したのです。異民族の力で異民族を征す、その一人として北京の東 平盧の節度使となったのがこの安禄山でした。

以後、安禄山は宮廷の中で着々と実力をのばしていくことになります。そのきっかけとなったのは746年、楊貴妃が妃となった3年目の春、安禄山玄宗のもとを訪れたときのことでした。彼が楊貴妃の前に跪き挨拶をすると、当時挨拶はまず皇帝からするのがしきたりだったため玄宗はその非礼を強く咎めました。すると安禄山は「ソグド人のしきたりでは先に母に礼をすることになっています。私はそれに従ったのです。」と答えました。すると玄宗はソグド人流の最上級の礼をもてなしてくれたと安禄山をすっかり気に入ってしまいます。さらにこの時、玄宗安禄山による"楊貴妃の養子になりたい"という申し出を受け入れてしまいます。こうして安禄山楊貴妃の14才年上の子どもになることに成功しました。

この安禄山を主役の一人とする宮廷での権力争いが、やがて唐王朝を破滅へと導いていくことになります。

 

次に安禄山の争い相手となる楊貴妃の一族、楊国忠について見ていきます。

 

楊国忠

2015年、楊一族の故郷である蜀の国(現在の四川省)で新しい事実が明らかになりました。長安から蜀の国まで続く街道で巨大な唐中期の磨崖仏が発見されたのです。磨崖仏がつくられたということは、この通りが大きかったことを示します。街道の先にある蜀の国は絹や米、塩の産地でした。この道はかつて楊貴妃の好物だったライチを運ぶためのものだと考えられていましたが、それは目的の一つに過ぎず、本当は長安と蜀との物産や情報の流通に使おうとしていたことがわかりました。

蜀は楊一族の故郷でもあり、学のない楊国忠には自分を支える基盤が必要でした。その時支えとなったのが蜀の人脈です。蜀側も彼を通して地位を高めたいという共通認識でありました。金銭勘定が得意だったことで玄宗に徴用された楊国忠は蜀との交易を通して自らの経済基盤を強化していきました。そして政敵を次々と追い落とし安禄山に対抗したのです。

 

 

異民族が呼び起こしたもの

玄宗の時代の都には日本からの多くの遣唐使も訪れました。2004年、中国で亡くなった遣唐使墓誌が発見され、そこには日本人の井真成(いのまさなり)の名が綴られていました。

"彼の才能は天から授けられたものと称えられ、生まれながらに優れていた"

彼が亡くなった時、玄宗はその死を惜しんで特別な扱いで葬ったとされています。このように、彼の他にも様々な外国人が玄宗の宮廷では活躍していたことがわかっていますが、そこには地理的にも国際化せざるを得なかったことが見えてきます。しかし、玄宗の時代に国際化が進む一方でそれに抗う空気も広がっていました。

唐の時代の法律の注釈書には、交易についての法律の中で異民族のことを"化外人"と記してあります。化外人とは儒教の教えに従わない野蛮な人たちという意味の差別用語で、異民族に対する強い警戒心が伝わってきます。

異民族への寛容さと反発が同居する玄宗の宮廷。それは楊貴妃一族を描いた謎の絵からも窺えます。


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(画像はすべてWikipedia)

こちらは「虢国夫人遊春図」という楊貴妃の時代の風俗が描かれた貴重な風俗画です。ちょっと大きい画像が中国のサイトからしか見つからず用意できなかったのですが、先頭で馬を率いる男装した人物が楊貴妃の姉の虢国夫人と思われています。こうした服装は異民族のファッションで当時の流行でした。しかし、実はこの絵の女性は虢国夫人ではないという考えもあります。それについて説明してくださったのは奈良橿原考古学研究所所長の菅谷文則さん。菅谷さんはその理由として、虢国夫人が男装をしていたという資料がないことと、(これもまた分かりにくいのですが)身分の高い女性を示す馬のネックレスをした方の女性が虢国夫人ではないのかということをあげています。ここで大切なのは、虢国夫人は男装などしていないのではないかという新たな考えです。合わせて次の絵をご覧ください。


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「唐人宮楽図」という唐の時代の宮廷の女性たちを描いた絵で女性たちは、頬を赤く塗り、額には花鈿と呼ばれる模様を描いています。これらはインドなどシルクロードから伝わったメイクで、当時宮廷では西域のファッションやメイクが流行していました。ところがこの絵の虢国夫人はメイクの痕跡がなく素顔で、漢民族の伝統衣装を身につけています。ここから読みとれるのは、"なぜ漢民族の美しさを、異民族の美の基準に合わせなければならないのか"という民族としてのプライドです。おそらく虢国夫人はこうした異民族ファッションを好んでいなかったと推測できます。高位高官の夫人がそのような思想を持ったらどうなるでしょうか。それは社会である一定の力になったのではないかと言われています。

 

 

そして動き出す歴史…

楊国忠がさらなる権力のために取り除かねばならなかったのが、異民族であるソグド人の安禄山でした。安禄山は3つの節度使を兼ね15万の兵力を動員できる実力者になっていました。楊国忠安禄山を落とし入れようと玄宗に何度も告げ口を繰り返すようになります。

安禄山は必ずや反乱を起こします!」

これを知った安禄山玄宗に拝謁、異民族の身でありながら高い位を与えられたことに感謝すると共に楊国忠の妬みで窮地に追い込まれたと涙ながらに訴えました。安禄山の巧みな言葉に玄宗の信頼は揺るぎません。一方、楊国忠は財力で強力な派閥を作り宰相にのぼりつめていました。こうして二人の激しい争いは留まることを知らずに動き出していったのです。

 

 

動き出せない歴史

自らの一族を率いる楊国忠、自らの養子でもある安禄山。二人の対立の中で楊貴妃は宮廷でどのように行動したのでしょうか。当時は則天武皇のことがあり、女性が表に出ることが許されない時代、楊貴妃は政治の話を聞くことさえできない状態でした。自身の知らぬ場で何かが決定し、動いていく。もしこの時女性にも政治を行う権利があったのなら歴史は違う方向へ動いたかもしれません。

楊貴妃が宮廷に入ってから10年後、安禄山楊国忠の争いは決定的となります。玄宗は信頼する安禄山楊国忠と並ぶ宰相に取り立てようとしました。ところがこれに激しく反発した楊国忠玄宗に「文字も書けない安禄山を宰相にすると唐王朝は周辺の異民族から軽蔑されます!」と忠告します。これにより、今までは楊国忠の告げ口を聞き入れることのなかった玄宗ですが、この時ついに安禄山の昇進を見送ることにしたのです。

 

 

逆襲、そして崩壊へ

失意の中、任地に戻った安禄山は部下と共に兵をあげ反乱を起こしました。反乱軍の兵は15万。戦いになれた安禄山の軍は唐の軍を次々と破り、都 長安に攻め入ります。玄宗楊貴妃と一族を引き連れ楊一族の拠点蜀へと脱出しますが、その途中玄宗を守る兵たちの不満が吹き出します。まず反乱の原因は楊国忠にあると彼を殺害、さらに一族を次々と手にかけた後、ついには楊貴妃も殺すように玄宗に迫ります。

玄宗楊貴妃に罪はないと庇いますが兵の怒りは治まらず、結局楊貴妃の命を差し出します。

 

楊貴妃38才のことでした。

 

破竹の勢いを示した反乱軍でしたが、間もなく安禄山が内紛で殺されたことをきっかけで弱体化。やがて玄宗は勢いを取り戻した唐の軍と共に長安に戻ります。しかし都 長安がかつての繁栄を取り戻すことは2度とありませんでした。

 

 

唐帝国を傾けたとされる楊貴妃。その生涯は王朝が興亡を繰り返す歴史の中で君主の戒めとして語り継がれていくのでした。

 

 

感想

実はこの歴史の核となる部分は現在の世の中で起きていることと変わらない気がします。よく歴史は繰り返すなんて言いますが、異民族や宗教に対する問題なんてまさに同じですよね。告げ口外交みたいなやりとりまでありますし(笑)やはりこの問題は人類にとって永遠のテーマなんでしょうか。

悪女と呼ばれた楊貴妃も美貌を持ったあまりにこんな人生を歩まなければいけなかったのかなとも思います。楊貴妃は最後、玄宗に命を差し出された時「死んでも恨みません」という言葉を残したそうです。まるでいつかこの日が来ることを覚悟していたのでしょう…そして自身が歴史の渦の中で完全完璧なる悪者にされることも悟っていたでしょうね。

もとを辿れば権力争いに狂った者たちの破滅の繰り返しと言えますが、大国というものには、それだけ大きな問題に悩まされ、また役割も求められることで常に限界と戦わなければならない難しさがあるのだなと感じました。

 

また、中国ではよく歴史上人物の像にイタズラをすることもあるそうで、楊貴妃像もそんな経験があったとかいうニュースを以前目にしたことも思い出しました。美人はいつの世も大変ですね…。

しかしながらこの楊貴妃、実は政治には介入していなかったということもあり、良い人説なんかもあって今でも謎めいた魅力のある女性ですよね。美人一人の存在で目の前が見えなくなっちゃう玄宗さんも凄いけど、人って皇帝という立場でもそんなもんなんですかね?!私にはわからない不思議な世界です。

とにかく上に立つ人間の考え一つで、国の方向がこんなにも左右されるということが歴史のすべてですね。だからこそ国のために判断し、動ける人材を社会が生み、育てることが一番大切なんだと思いました。

 

以上でおわりになります。最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

 

フィギュアスケートはファンも世代交代?問題化する観戦マナー

フィギュア観戦ファンの困った行動、かつては松岡修造もマナー違反スレスレの声かけ

週刊女性PRIME 2/22(水)より一部抜粋

「今や日本で最も人気のあるスポーツのひとつ。昨年3月に行われた『世界フィギュアスケート選手権2016』の平均視聴率は16・3%で、羽生結弦選手の出番には瞬間最高視聴率25・1%を記録しました」(スポーツ紙記者)

 羽生のほかにも宇野昌磨宮原知子など、男女ともに有力な日本人選手がいて、応援にも力が入る。でも、最近ではちょっとマナー違反のファンも目立つんだとか。

「お目当ての選手の出番が終わると、途中で帰る人がいます。昨年の全日本選手権で行われたエキシビションはひどかったです。宇野選手の出番が終わった途端、次に滑る宮原選手を見ずに2割くらいの人が帰ってしまいました。出場する選手全員の演技を楽しむのが本来のマナーなんですけどね……」(ファンの女性・Aさん)

 以前はスポーツとして節度のある応援だったものが、選手をアイドル視するファンが増えたことで、変わってきたらしい。

「バナーという応援旗のようなものを勝手にデザインして、ネットで配布する人もいます。それだけならいいんですが、応援席でバナーを配って歩くのは困りますね。無理やり手渡されたこともありました。応援を強制されると嫌な気分になります」(前出・Aさん)

 ノリを勘違いしている若いファンもいる。

「'14年の世界選手権の会場に、クマのプーさんの着ぐるみを着た女性2人組がいました。禁止されているわけではないのですが、さすがに浮いていましたね。選手の名前や顔が書かれたうちわを持って応援する人もこの大会から急増しました。私は、もともと羽生選手のファンだったのですが、こういうファンと一緒にされるのが嫌で、彼を応援できなくなってしまいました……」(ファンの女性・Bさん)

 サッカーや野球など他のスポーツとは違って、フィギュアは演劇を見るような、静粛な雰囲気で行われる。その中で、着ぐるみやうちわを使って応援すると、選手側からも目につくので、選手の集中力を削ぐおそれがある。

引用元 Yahoo!ニュース http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170222-00009135-jprime-ent


これ前からファンの間では噂されていたことではありますが、私もここ数年のアイスショーや試合を観て変わったなーと思うことは多々あります。

私自身「これはちょっと…」と最初に思ったのはソチオリンピック後のFaoiですね。

私は毎年ステファン・ランビエールを観るためにこのショーには必ず行くのでチケットは早めに購入するのですが、この頃からチケットが手に入らないという人が急激に発生し、ツイッターアイスショー会場の入り口ではチケットを譲ってほしいファンで溢れかえっていました。

私は「あれ~?毎年こんな凄かったっけ?」と思いつつも、まぁこれも羽生効果の影響かな?くらいにしか思っていなかったのですが、やがてネットである書き込みを見るようになってからはとてもガッカリしました。

それはチケットの"転売"です。アイスショーのチケットはそれぞれのショーや席にもよるのですが、Faoiの場合、前列の席で約2万前後となっています。しかし転売チケットではそれが18万とか(もちろんそれ以上も)凄いことになっていました。

イヤイヤ酷いでしょ…よくアーティストのライブでこういう問題は聞くけど、「フィギュアスケートにまでこの問題が及んでくるなんて!」と衝撃でした。そして本番当日、会場に行ってさらに驚いたのは転売者がチケットを買い占めたせいかわかりませんが結構良い席がチラホラ空いているんですよね…。まぁ普通にあんな高値で買える人なんて少ないですよ。どこのセレブだよって話です。会場の外では純粋にショーを観たくてケットを譲ってほしい人もいるのに、もったいなさすぎです!

※補足しておくと、チケットを転売しているのは、昨今のフィギュアブームに目をつけた悪質な業者です。スケオタがするわけないですよね。

 

また、前列いる観客の中には驚くことに、明らかにスケートになんて興味なさげでペチャクチャペチャクチャずっーと話していたり、公演中に集団で立ち上がってウロウロしたりする人もいて、観ないのなら席を替わってほしいと真剣に思いました。その他にも撮影禁止の場で堂々とスマホで撮影し、ショーの様子を実況中継する人やフィナーレになると後列から前列までやって来て視界を防ぐ人なんかも増えてきてとても残念でした。

私は別に観客が居眠りをしたり拍手をしないのは、高いお金を払って観にきている本人のショーに対する評価として全然構わない行為だと思います。もちろん、帰りの交通機関の都合や事情があっての退席も仕方ないことだと思います。

しかし公演中に無意味に席を離れウロウロするのは周りの迷惑を少しでも考えれば"違う"と思います。自分のお目当てのスケーターでなくても後ろの席の方にとっては違うかもしれません。それなのに演技中に遠慮なしに目の前を塞がれ、雑談されたら不快になると思いませんか?こういった迷惑を考えない方に前列を独占されると辛いものがあります。

 
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評価は"応援第一"であってほしい

最近は試合でも気になることがあります。確かに今は日本人選手が強いし、人気です。日本人選手の演技後にはたくさんのお花やかわいらしいヌイグルミ、羽生選手にはプーさんがリンク一面に広がります。

しかし今では、そのプレゼントとフラワーガール・ボーイの数の釣り合いが取れなくなっているように見えます。リンクを去るスケーターの足元も安全であってほしいですし、(ヌイグルミが体に当たっちゃった例もあったので)そろそろ何かしらの対策を練る必要があるのではないでしょうか。

(プレゼントは一人(スケーターひとりに対して)ひとつまでの制限をかける等)

また、過去には演技中に異物が落ちていたなんてこともありました。リンクがキレイであることは、スケーターにとって何よりも大切なことです。すべてのスケーターに与えられる条件がフェアであってほしいという願いは、すべてのファン共通です。その点を含め、観客も運営側もプレゼントの扱いには緊張感を持たなければいけません。

個人的には、素晴らしい演技に対しての評価は、拍手やスタンディングオベーションで十分伝わると思います。その他のプレゼントは、試合前から特別のスケーターあるいは、良い演技をしたスケーターに向けて用意された〈日々の気持ち〉や〈祝福〉ですから、アイスショーやお手紙でその想いを届けられれば一番良いのではないかなと思います。

いまやお花やヌイグルミは人気者の証と言ってもいいでしょうね。しかし、基本的に試合とは勝負を見守る場ですので、拍手やスタオベという姿勢でも観客の心は届くはずです。

多くの海外スケーターたちが「日本のファンは自分たちをホームのように受け入れ、応援してくれる」と言ってくれているように、これからもスケーターの皆さんが気持ちよく滑れるような雰囲気作りをしていけると良いですよね。

 

 

なぜこんな事態になったの?

昔は違ったのに…なぜ今はこんな状態になっちゃったの?と嘆く方もいらっしゃると思います。スケーターと同じようにファンも世代交代しちゃったのか?という意見も目にしました。

しかし、マナーの悪いファンというのは今と限らず昔からいましたよね。別に誰のファンだから悪いとか良いとかはないと思います。完全に個人の問題。それだけ日本のフィギュアスケート界が有望なスケーターを絶え間なく生み出し、ポピュラーな競技になったが故、様々なスケーターに様々なファンが生まれ、それぞれの中にちょいとアレレな問題が起きてしまうだけなんだと思います。

 

実際に、試合やショーと限らずネットで暴れるファンだって立派なマナー違反に含まれますしね。女子なんてもう何年も前から酷いじゃないですか!

それでも色んなところからファンが増えていくのはありがたいし、競技人気の活性化は嬉しいことなので、スケーターをアスリートとしてリスペクトしながら、迷惑をかけずに応援していけたらベストですよね。

 

 

ちなみに

上のニュースサイトの松岡修造さんの件は、過去のオリンピックで村主選手の演技前に「光を放て、村主~!」と声をかけたという内容ですね。うーんこれは…完全に人にもよるかとも思いますが、気が散る人は散るだろうし、励みになる人はなるんだろうから判断は難しいかなぁ。そう考えるとやはり拍手や歓声など自然発生的な応援が一番無難ですね。それにしても松岡さんの台詞がなんとも言えないセンスです…。

 
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まとめ

では、どんな風に観戦していけばいいかについて。私も偉そうなことは言えませんが最低限のルールとしてまとめると

 

①演技中は静かにする

②お気に入りの選手のライバルに暴言を吐かない

③国際競技会や国内選手権はもちろん、写真撮影が禁止されているアイスショーではルールに従う

④演技中の座席への移動(トイレなど)は基本的に休憩中にする。

⑤応援バナーの設置は大会主催者のルールのもと、他の観客の迷惑にならないようにする。

⑥花束やプレゼントは、中身が分散しないように準備してから投げる。

⑦見えにくいからと立ち上がったり、前のめりにならない!そんな時はオペラグラスを使いましょう。

⑧選手の生活の妨げになるような行為(ホテルで出待ち・大会期間追いかける・サインや写真撮影で長時間拘束)はしない

 

以上が皆が気持ちよく観戦できる最低限のルールかな?と思います。他に重要事項があったら、それは多分私の抜けなので申し訳ありません(笑)

 

とにかく大切なのは、楽しく平和に応援していきましょう!と言うこと。きっちり応援してスケーターには競技だけに集中できるような環境にしたいですね!

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

メディアから見える北朝鮮の真実とは

 最近テレビでは北朝鮮について様々な報道がされています。今回はその中で、私が感じたことや印象に残った内容をまとめて紹介したいと思います。


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突然ですが、皆さん「太陽の下で―真実の北朝鮮―」という映画をご存知ですか?

 

 

あらすじを載せると…

8才のジンミは模範労働者の両親とともに平壌で暮らしている。ジンミは金日成の生誕記念「太陽節」で披露する舞踊の練習に余念がない。エリートの娘を持った両親は仕事仲間から祝福を浴び、まさに“理想の家族”の姿がそこにはあった。ところがドキュメンタリーの撮影とは名ばかりで、“北朝鮮側の監督”のOKが出るまで一家は繰り返し演技させられ、高級な住まいも、親の職業も、クラスメイトとの会話も、すべて北朝鮮が理想の家族のイメージを作り上げるために仕組んだシナリオだった。疑問を感じたスタッフは、撮影の目的を“真実を映す”ことに切りかえその日から、録画スイッチを入れたままの撮影カメラを放置し、隠し撮りを敢行するが…。

引用元 「太陽の下で―真実の北朝鮮―オフィシャルサイトより」http://taiyouno-shitade.com

 

この映画は、ヴィタリー・マンスキー監督による北朝鮮平壌で暮らす人々の日常生活を追ったドキュメンタリーなんです………と言いたいところなんですが、実はこの映画には、あらすじの通りある秘密が隠されています。

 

それは当初、平壌で暮らすある家庭の日常を撮影しようとした時に感じた様々な違和感から発覚しました。

 

映画の撮影中に何度も北朝鮮側からNGを出され取り直しを要求される家族たち…。実際にはありもしない嘘の設定と、ドキュメンタリーのはずなのに何故か用意された"台本"の存在。

そんな奇妙な光景を目の当たりにしたマンスキー監督は、ドキュメンタリー映画を撮影する予定を中断し、急遽この不自然な撮影現場の様子を伝えるため隠し撮りをしたのがこの「太陽の下で―真実の北朝鮮―」になります。

 

 

8才の少女ジンミちゃん

映画に出演する8才のジンミちゃんは北朝鮮の"エリート"と言われる「朝鮮少年団」の一員です。ジンミちゃんのお父さんもまた、北朝鮮では超エリート層しかなれない"ジャーナリスト"という職業なのですが、映画では北朝鮮側の演出により職業:縫製工勤務と変えられ、同じくお母さんも乳製品工場に勤務していることにされています。なぜこのような嘘の設定にされるのかについては、"北朝鮮ではエリート層の上流階級でなくても、こんな裕福な暮らしができるんだよ"と言う国力をアピールするためと言われています。

映画には、家族3人で食事をするシーンがあるのですが、そこではお父さんがキムチの偉大さを語り、それに対してジンミちゃんも反応するという流れがあります。しかしこのシーンの台詞は何とも不自然で「キムチは朝鮮固有の食べ物だ」とか「1日に必要なビタミンが全部含まれている」とか「老化やガン防止にもいい」などというようなとにかくキムチは素晴らしい食品だという内容が含まれています。さらにこのシーンでは撮影中に何度もNGを出され、もっと楽しそうに笑いながら会話するように求められるのです。

 

日本で言うと納豆やわさびを食べながらお父さんが「納豆は健康に良くて偉大だね!」とか、娘が「わさびには殺菌作用が含まれているんだよ」と会話し、笑いが広がるのが日常の食卓風景だということです。和食は素晴らしいものとアピールしなさいと強要されているみたいなものです。これが家族団らんのシーンと言えるのか…。

 

これはまだほんの一部分で、例えばジンミちゃんのお母さんが勤務する工場では、撮影中に職員全員が満面の笑みで祖国のために働く喜びを表現することを求められ、北朝鮮当局の合図と共に全員が無表情から一転、精一杯の作り笑顔を浮かべる胸が痛くなるようなシーンもあります。

また8才のジンミちゃんも"本当はケガなんてしていない友達"のお見舞いに行くシーンなんかを撮られたりしています。

 

 

最後の涙の意味は?

こうした撮影が1年続いたある日、1回だけ北朝鮮当局の監視がつかない日がありました。マンスキー監督は、すかさずジンミちゃんに「将来に期待することは何か」とインタビューを取るのですが、ジンミちゃんは言葉につまり目から涙がポロポロ溢れ出てしまいます。やっと出た言葉は北朝鮮でお決まりの忠誠心を表す言葉だけでした。

 

 

演技でできた世界

ジンミちゃんの最後の言葉はもちろん本音ではなく、国から強要された忠誠に過ぎません。以前何かの番組で見た北朝鮮の取材でも、監視がない場面では北朝鮮の人たちも普通の会話をして盛り上がっているのですが、いざきちんとした撮影に切り替わると、私たちが普段目にする北朝鮮の決まり文句「我らが同志偉大なる将軍様は~」と語り出すんですよね。あれはもうそうしないと、この国では生きていけないという本能で演じているのでしょうね。北朝鮮では10才くらいになると自己批判をしたり互いについて批判しあうといったシステムがあり、そこで相手に「忠誠心が足りない!」と指摘されると、それはもう大変なことになるそうです。

 

 

脱北者の現在

こうした環境の中から耐えられず脱北する者も後を絶ちません。かつて脱北者と言えば貧困の餓死状態から死にもの狂いで逃げてくるイメージでしたが、現在は北朝鮮の中でも富裕層がブローカーを使い脱北するケースが多いそうです。

なぜそんなことが出きるのかというと、国境警備員たちも日々生きていくための食料を確保するためにはお金が必要で、こういった脱北者からのお金も重要な賃金になっているからなんですね。北朝鮮はあのパレードで有名な兵士たちでさえ栄養失調だそうですから生きていくためには何かしら行動しないといけない状況であるとも言えます。これでも一応食糧事情はまだマシになったそうなんですが…国の兵士までがそんな生活をしているなんてあまりにも過酷過ぎますよね。

 

また、悪質なブローカーにより中国に送られ望まない結婚をさせられる女性も多くいます。結婚後は奴隷扱いをされ暴力を奮われて、出産後に逃げ出す人もいるとか…。

中には脱北できずに国に忠誠を誓えないまま暮らす人もいます。そのような人の本音が知られてしまえば強制収容所が待っていることも恐怖の一つです。

 

 

北と南の統一

北朝鮮の数々の問題について韓国はどう思っているのでしょう?金一族が操る崩壊した国家とは距離を置きたいのでしょうか?中には同じKoreaで恥ずかしいなんて口にする人もいます。それとも南北が統一すれば偉大な国になる!と思っているのでしょうか?

統一についてはドイツでさえ長期の困難を強いられたのですから、こちらがもしそうなれば、ドイツとは比較にならないほどの困難が待っているでしょうね。そもそも北と南ではもともと民族が違うんじゃないか?というほど今は見た目も思想も全く別に思えてなりません。

 

反日教育に関しては韓国の方が一般国民レベルで浸透、洗脳?が酷い気がしますが、北朝鮮はトップと国民の間では既にかなりの差があるように感じ、韓国ほどの勢いはないように思えます。果たして脱北した人たちは韓国に馴染むことができているのかも疑問なところであります。

 

 

まとめ

金正男暗殺により世界中が揺れている今、この先北朝鮮はどうなるんだろう?と思いながら今回、数々の報道をもとに感じたことをブログに書きました。

正直、北朝鮮の話題が出る度に思い出すのは、横田めぐみさん含める拉致被害者のことです。子どもの頃に偶然横田さん夫妻による拉致被害者の署名活動を目にしたことが印象に残っているからなのか、その時から何だか他人事には思えず、ずっと気になっている問題でもあります。総理大臣が変わる度に何とかならないかと思いますが、年々国の状況は悪化し、難しくなっていくのが現状です。そして今回の暗殺ニュースを聞いて、ますますこの問題が遠のいていくような気がします。横田さん夫妻もかなりご高齢になっています。何とか拉致被害者の問題が1日も早く解決することを願います。

 

今までは「拉致とミサイル実験してくる国」くらいの感覚で、国民については深く考えていなかったのですが、想像以上の環境がそこにはありそうです。

果たして自由が良いことなのか、そうではないのかは分かりませんが当たり前の幸せとは何かを改めて考えさせられるテーマであると感じました。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

四大陸フィギュアスケート選手権2017 まとめ

2017年四大陸フィギュアスケート選手権男女シングルフリーの総まとめになります!まずは女子の総合結果から。

 

【女子 総合順位】

1位 三原舞依 200.85

2位 G・デールマン  196.91

3位 長洲未来 194.95

4位 K・オズモンド  184.17

5位 チェ・ダビン  182.41

6位 マライア・ベル  177.10

7位 李子君 177.05

8位 E・トゥルシンバエワ 176.65

9位 樋口新葉 172.05

10位 本郷理華 167.42

 

三原選手と未来ちゃんはPB更新おめでとう!以下は気になった選手のフリーの結果と感想になりす。

 

 

三原 134.34 72.3 62.04

まずは三原選手初出場初優勝おめでとうございます!最初から最後までプログラムの中に自然にジャンプが溶け込んだ余裕のあるスケートでした。三原選手はこれぞ正統派スケーターって感じな滑りで見ていて気持ちが良いですよね。そして三原選手の何よりの強みだなと思うのは自分に足りないものを知り、身につけていこうとするひたむきさ。今回PBとなりましたが、まだまだ点数アップできる要素はあるので、どんどん上を目指して頑張ってほしいです!

 

未来132.04 69.81 62.23

未来ちゃんメダル獲得おめでとう!フリーを終えた後回転不足がついて点数がのびないと思っていたのか、得点が発表されたとき凄く驚いていましたね。逆にノーミスしても期待できないことが当たり前になっちゃってるのかな…と心苦しかったけどPB更新だったので今大会が未来ちゃんにとっての来季への励みとなったら良いなと思いました。

 
オズモンド 115.96 55.25 64.71

もの凄く痛そうな転倒の仕方をしたので、どこかケガをしていないか心配です。オズモンド選手はフリーを苦手としていますが、そんな中で失敗をしてもリンクを去るまで笑顔を忘れない姿はとても素晴らしいと思います。それは三原選手も同じで、演技が終わってもリンクを去るまではずっとエレガントであろうという落ち着いた姿は見ていて美しいですよね。最近は何だかよく泣く選手や、演技後すぐに振り付けを崩し不機嫌になる選手が増えた中で、チャンピオンになるスケーターというのはこういう演技に余韻残す器を持つ人であってほしいと思いました。

 

トゥルシンバエワ 109.78 52.13 59.65

絶対に両手あげない方がジャンプもクリーンに決まったと思うだけに残念です。今はメドベちゃんがタノジャンプで点数を稼ぐのでやたらとタノブームになっていますが、個人的には見た目が綺麗じゃなくなるから嫌ですね。加点を稼ぐやり方はあれだけではないはずなのに皆が同じになってしまってもどかしいです…。

 

樋口新葉 113.22 57.55 55.67

相当感情のコントロールができていないように見えたので、日本に帰って一度ゆっくり落ち着いて前向きさを取り戻してほしいです。こんなに落ち込むタイプの選手だとは思っていなかったので驚きです。意外とデリケートだったんだね。あまり200点超え!とか無理して自分に目標を設定せずのびのびと滑ってほしいです。もしケガがあるのなら体が一番大切なので無理をしないでほしいです。

 

本郷理華 108.26 50.16 59.1

結果は残念でしたが、全日本と違うのは最後まで諦めず前向きに滑ろうとしたところです。あれは凄く印象が良かったと私は思います。今季なかなか上手くいかなかったけど、フリーの姿を見たら本郷選手なら立ち直れると思いました。お疲れさま!

 

以上が女子の感想になります。三原選手の優勝は日本にとっては、とっても頼もしく嬉しい結果となりました!三原選手には宮原選手と同じような冷静さがあるので、そこが演技の安定感に繋がるのかな?とも思いました。そしてこれからは樋口選手と共に初めての世界選手権となりますが、宮原選手と三人で自由に自分を表現し、今季頑張ってきた成果を存分に発揮できるといいですね。今回上手くいかなかった選手もあと1か月もすればまた調子も変わってくるだろうし、状況も違ってくるのがこの競技なので悔しさをバネにして次に挑んでほしいです。


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 http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLSSXK60522_Y7A210C1000000/ より

 

 

【男子 総合】

1位 ネイサン・チェン 307.46

2位 羽生結弦 303.71

3位 宇野昌磨 288.05

4位 パトリック・チャン 267.98

5位 金博洋 267.51

6位 ジェイソン・ブラウン 245.85

7位 ミーシャ・ジー 239.41

8位 ナム・グエン 237.08

9位 グラント・ホッホスタイン 235.72

10位 閻涵 235.45

 

13位 田中刑事 220.18

 

FS TOP6 順位

1 Yuzuru HANYU 206.67 112.33 94.34

2 Nathan CHEN 204.34 115.48 88.86

3 Shoma UNO 187.77 98.69 91.08

4 Patrick CHAN 179.52 88.94 92.58

5 Boyang JIN 176.18 100.74 77.44

6 Jason BROWN 165.08 79.36 85.72

 

比較すると上位二人のTESがコワイ…。では、男子の感想を見出しつきでザックリいきます!

 

ネーサン、事件です

一人だけ今は平昌オリンピック本番かな?と一瞬思ってしまうくらい圧巻の演技でした。画面からネイサンの集中が伝わってきたのと同時に「あぁ…もうこの人に勝てないわ」という爽やかな迫力を感じました。ポイントは恐ろしいのではなく爽やかってところです。ネイサンからはなんかスマートで爽やかな風を感じるんです。インタビューも謙虚だし、絶対に人気でそう。アメリカもこんな強い選手が出て来たら力入れてくるだろうなぁ。確実に金メダリストとしての器を備えているので日本も覚悟して戦わないといけませんね!ネイサン優勝おめでとう!

 

絶対王者、封印!

多分今回の負け方は相当ショックだっただろうと察します。羽生選手としては今やれる100%を出しての結果だったと思いますからね。最後のリカバリーなんてさすが五輪金メダリストを背負いながら今まで男子フィギュアを引っ張ってきただけあるな、と感じましたもの。何だかフリーの滑りはジュニア時代の必死でスケートする羽生選手の姿を思い出しましたね。もう絶対王者の看板は下げて、今回のフリーのように追いかけていくスタイルの方が本来の力を発揮できるんじゃないかな?と思います。PCSも評価は高いけれど改善できる部分はまだあるように見えるので、そこをレベルアップして経験の差で魅せてほしいです。ここからが正念場だ!頑張れ!

 

こぐまのループ

あんなに小さくて可愛かったこぐまのショーマが実は鬼だった(笑)!何あの4Lo!いつの間にか4回転もズラズラ種類増えてきてるんですけど!アクセルのミスはショートが絶好調だった分フリーは張り切りすぎたのねっと思うことにします。一番良かったのは演技冒頭から動きがキレキレで音ハメ率も正確だったこと。ショーマは試合を重ねるごとに上達していくのがよくわかるし、なかなか他のスケーターにはない表現力を兼ね備えていて魅力的なのでPCSの評価が高いのも頷けます。今回は加点もたくさん付いたし、とても良い経験が積めたのではないかなと思います。

 

鍵盤を弾く指先

ジェイソンが氷上に立つだけでリンクが鍵盤に見えてくる。ジェイソンが舞う姿は鍵盤を弾く指先に見える。そのくらい美しいピアノレッスンでした。感動して泣けたー!!ジェイソンの演技はいつも5回くらいリピートしたくなっちゃうくらい好きです。今のアメリカ男子ネイサンといいジェイソンといい素晴らしいスケーターばかりで実は黄金期なんじゃないですかー?!


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 http://www.asahi.com/sp/articles/ASK2M43Q7K2MUTQP00J.htmlより

 

その他

ちょっと男子のあんな凄い試合見てしまうとネイサンになんて勝てないんじゃない?と思うけれど、ネイサンにも一応アクセルという苦手気味なジャンプありますからね。あと2ループをしないのはもったいないですね。PCSの方でもまだまだ成長中なので、ネイサンに追い付かれる前に皆逃げろー(笑)です。

パトリックのスケートは相変わらず一流ですし、味も出てきて良いですよね。でも、もう少し挑戦的なプログラムも見てみたいなーと思います。

ミーシャは引退するのかな…?というような演技でしたね。SPFPも凄く素敵でしたがミーシャの中で何か決断しているようにも思えてなりません。

 

まとめ

あっという間に終わっちゃいました四大陸選手権。世界選手権ではここにフェルナンデスが入りますし、女子はロシアが仲間入りしてくるので激戦ですよ。コストナーも復帰してますし。コワイ…というより楽しみになってきました。だって順位がよめないんですもん。やっぱり競技はそうでなきゃ面白くありません!新しい風を吹かせてくれた今大会には感謝ですね。海外のコメントを見てたらそろそろメドベちゃんを負かす存在が出てきてほしいとか、三原に期待する、とか三原のスケートはパトリックみたいだ、とか三原ジャンプ上手すぎとかめっちゃ書かれていました。うーん皆さんもフィギュアスケートの金メダル固定ブームの流れには飽きてきたのかな?それでもロシアの壁は高いですが(笑)

 

最後に今大会で気になったことを言って終わりにしたいと思います。

 

「国旗にアイロンかけてーー!!しわくちゃだったよーー!!」

 

四大陸フィギュアの男女SPを愛をこめて解説

2017年四大陸フィギュアスケート選手権から男女ショートプログラムの結果と感想をザックリと書きます。

 

まずは女子から!

 

【女子SP】

1 デールマン 68.25 36.97 31.28

2 オズモンド 68.21 36.42 32.79

3 トゥルシンバエワ 66.87 37.53 29.34

4 三原 66.51 37.31 29.20

5 未来 62.91 32.43 30.48

6 ダビン 61.62 35.56 26.06

7 ベル 61.21 31.69 29.52

8 ジジュン 60.37 31.80 28.57

9 本郷 59.16 29.66 29.50

10 樋口 58.83 31.44 28.39

12 カレン 55.60 26.32 30.28

14 シャルトラン 53.64 26.14 28.50

 
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首位はカナダのデールマン、その次に続くのは同じくカナダのオズモンド、3位はカザフスタンのトゥルシンバエワ、そして4位は日本の三原という結果になりました。

ショートは全体的にミスが見られる大会で、70点オーバーの選手もいないため、やや盛り上がりに欠けたスタートとなってしまいました。ん~個人的にも今のところはこれといってパッとした演技はまだなかったかなぁと思うのでフリーに期待したいです。

 

その中でも三原選手はノーミスの落ち着いた演技で素晴らしいと思いました。ただ点数は予想していたものよりは低めでしたね。PCSが30に届かなかったのは厳しかったかなぁと感じました。

三原選手は上手いのに「何か」がもったいないんですよね。プログラムにもう少し「何か」の手を加えるだけでPCSの評価も全体的にぐんと変わると思っています。例えば髪型を変えるだけでも印象がガラッと違うく見えるかもしれません。

とにかくジャンプも良質でスケーティングもグレイトで、安定感もある選手なだけにそれらを生かした「何か」がプラスされれば宮原選手と二人で日本代表を担ってくれる存在になるんじゃないかなと思います。

その「何か」の部分については私も具体的には上手く表現できないのですが、ホワンとした感じで言うと、三原選手はインタビューからも穏やかな人柄や年齢よりしっかりとした大人な選手だと伝わってくるので、そんな三原舞依の個性が生きるプログラムが見れればいいなといったところです。今は日本人特有の海外勢より若く見えちゃう効果の影響で、どうしてもジャッジからは実際に三原選手が持つ精神面の高さよりもジュニアっぽく映ってしまうのかなと思います。20代にもなると内面がそのまま見た目にも反映されてきますが、10代の頃の外見の大人っぽさってどうしても、内面とは関係なくそれぞれの背丈や顔のつくりとかで違ってくるのでメイクでやれることは限られているし難しいですよね。

 

全体の順位としては、女子は4位までほぼ団子状態ですからフリーまではどうなるか全くわかりません。また、今メダル圏内にいる選手でもフリーが苦手な選手はメダルが危ういといったところでもありますね…。逆にショートが上手くいかなかった選手にも、まだチャンスはあると思うので頑張ってほしいです。

ショートプログラムでも気になったのは樋口選手と本郷選手。この二人の崩れ方はちょっと苦しいものがありましたね。本郷選手は大会出場が急だったこともありますが、樋口選手は韓国に着いてから調子がすっと悪かったみたいなので、今現在でその原因はわかっているのかどうかが心配なところです。

若い選手は技術面だけでなく感情のコントロールが一番難しいのではないかな?と思います。これはどんなベテラン選手でも一度は通る道ですから経験を積んで乗り越えてほしいです。

あとはメダルが難しい選手でも次に向けて、一つでも順位を上げることが大切ですね!

 

しかし、ここにきてカナダは目立ってきてましたねー。来季はパワフル系スケーターの時代になるのかなってくらいパワフルカナダですよ。日本とアメリカは厳しいところですね…。それでもカレンはミスこそありましたがPCSは日本勢より高いです。世界選手権でノーミスされたら少し危険かもしれません。日米3人のショートのPCSを比べても米>日ですからね。

 

表現に力を入れすぎると他が崩れるのもまた難しいところです。樋口選手は今まさにそんな状態な気がしてなりません…。以前はもっと、それこそパワフルカナダのようなパワフルさが持ち味だったんですけど、表現に力を入れ出してからはジャンプやスケーティングにかつての勢いがなくなってしまったように感じます。

樋口選手は、まだ若いので急いで全てを完璧にしようと焦らずに一つ一つじっくりと積み重ねていけると良いなと思いました。

 

また皆のこんなスマイルが見れるといいな
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続いて男子。男子は結果と感想をスピーディーにいきます(笑)

 

【男子SP】 

 1ネイサン
2昌磨
3羽生
4ボーヤン
5Pチャン
6ハンヤン
9ブラウン


11刑事
12ケビン

 

順位関係なくバラバラに書きまーす(笑)

 
刑事 77.55 38.90 38.65

最初の4Sがトリプルになってしまい残念でした。でもこのプログラム好きだから世界選手権ではノーミスでしっかり仕上げて良い結果を出して欲しいです。キスクラでかなり悔しそうにしていたので、フリーはそれをバネに頑張ってくれることを期待します!

マルティネス 72.47 37.23 35.24

モロゾフ振り付けのせいかどことなく安藤美姫流な手の動きアリ(笑)最後のビールマンスピンは相変わらず美しくてgoodです。

ネイサン 103.12 59.58 43.54

ネイサンから色気が出てきて危険です!出だしは曲が流れるのがちょっと早いなと思ったけれど、プログラムが終わるのはもっと早かったです。それくらい素晴らしかった。スコアもついに3桁ですね。時代はネイサンだー!もっと行けー!

 ブラウン 80.77 38.77 43.00

ジャンプミスはあったもののそれ以外は素晴らしかったです。ミスがあっても全体を唯一美しくまとめられる不思議なスケーター。どんな結果の時も笑顔なところが好きです。

羽生 97.04 50.11 46.93

4Sからのコンビネーションが2回転になっちゃったのは痛かったですね。練習でも軸が斜めになっているように見えたので調子がよくなかったのかな?それに筋肉がついたのか少し体つきが大きくなったように感じました。まだまだ金メダルを狙える位置なので最後まで攻め続けて頑張れ!

昌磨 100.28 56.07 44.21

ジャンプの着氷にやや乱れはあったものの大きなミスはなく上手くまとめました。特に4Fはよく堪えたなと思います。バイオリンと管弦楽のためのファンタジーは歴代好きなスケーターが使っていて、何かと良い印象のある曲なんですが、またこの曲から伝説をつくる人が一人仲間入りしそうです。それはズバリ宇野昌磨選手、あなただ(笑)!100点超えおめでとう!

Pチャン 88.46 43.70 45.76

4Tで豪快に転倒してしまいその後もコンビネーションジャンプでミスが続いてしまいました。しかし苦手なアクセルは成功し、相変わらず教科書のようなスケーティングでしたね。若手の中に、こういったベテランらしいスケートが入るとやっぱ上手さが違うなぁと改めて思います。

ボーヤン 91.33 51.26 40.07

得意の4Lz3Tでミスがありましたが、それでも基礎点17.90からのマイナスなので凄い点数ですよね。今季はスパイダーマンのボーヤンというイメージが強くなってて、表現面でもそれだけ力を入れようとしてるのが伝わります。ボーヤンの場合ジャンプに高さがありすぎて着氷が難しそうなのが恐ろしいです。

 
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http://mainichi.jp/graphs/20170217/hpj/00m/050/001000g/4 より「公式練習で国名を間違われる昌磨」

 

さいごに

今日思ったのは、ミーシャはSPの時間内では愛の夢がおさまりきらないのではないか?ということ。それくらい感情こもった演技でしたね。でも何といってもネイサンは凄かった…。あの演技構成で安定されたら恐すぎます。体力ありすぎです。

 

最近はメダリストが固定しているだけに、男女含めてフリーが終わるまでは何が起こるかわからないというこの久しぶりな感じは楽しいです!

 

そんな中、日本勢には焦らずベストを尽くすことだけに集中して頑張ってくれたらな、と思います。

 

ザックリな感想でしたが、読んでいただきありがとうございました。